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究極の「自分ブランド力強化法」 第17回

究極の「自分ブランド力強化法」 第17回

「自分ブランド力」強化のためのノウハウ (3)

「自分ブランド力」とは、「自分ブランド」や「パーソナル・ブランディング」などとほぼ同じ概念です。

一言で言えば、自分を、他人と差別化するための能力です。

「尖った」ところを身に付けるために、自分を磨いていくプロセスが重要になります。

これで終わりということはありません。半永久に続けていくことが大切になります。

「◯◯と言ったら、▢▢▢▢」と言われるようになったら本物ですね。

「超一流の経営コンサルタントと言ったら、大前研一」

「セブンプレミアムと言ったら、セブン-イレブン」

「高級アイスクリームと言ったらハーゲンダッツ」

などなどいろいろありますね。

しばらく前の話になりますが、伊勢丹新宿店で、「カリスマバイヤー」と呼ばれた藤巻幸夫ふじまきゆきおさんは、業界人の間で有名なだけでなく、新聞や雑誌にしばしば取り上げられ、その個性的な風貌や、一味違う発言で世間一般に知られていました。

参議院議員でもありました。著書も多数あります。

究極の「自分ブランド力」を身にまとっていた人です。
残念ながら、2014年3月15日に亡くなりました。54歳という若さでした。

私は、苗字が同じということもあり、幸夫さんの著作だけでなく、お兄さんの健史たけしさんの著作もよく読みました。

幸夫さんはファッション業界でつとに著名で方で、一方、健史さんは元米モルガン銀行東京支店長に在任中、債券・為替・株式トレーダーとして名を
馳せ、「東京にフジマキあり」と言われた伝説の方です。 

健史さんも参議院議員です。金融のプロフェッショナルで、金融に関する著書が多数あります。

  


藤巻幸夫 氏(上) と 藤巻健史 氏(下)

藤巻幸夫さんの画像は こちらのWikipedia  から
藤巻健史さんの画像は こちらのWikipedia から
藤巻兄弟の画像は こちらのWikipedia から


藤巻幸夫さんは、自分ブランド力に関する本を書いています。

『自分ブランドの教科書』
(藤巻幸夫 インデックス・コミュニケーションズ
 2007年12月31日 第1刷発行)


この本に基づいて、藤巻幸夫さんが説く、「自分の磨き方」を一緒に学んでいきましょう!

この本は6つの CHAPTER と、 LAST LESSON で構成されています。


目次

CHAPTER 01 自分ブランドとは?
CHAPTER 02 自分マーケティングをしよう
CHAPTER 03 「武器」を鍛える
CHAPTER 04 「センス」を磨く
CHAPTER 05 「表現力」を高める
CHAPTER 06 自分ブランドを進化させる
LAST LESSON さらなる自分ブランドを求めるあなたへ


今回は、

CHAPTER 03 「武器」を鍛える


をご紹介していきます。

藤巻幸夫さんは、『自分ブランドの教科書』の「本書を手にとったあなたへ」というメッセージの中で、「自分ブランド」を定義しています。

まず、そこからスタートしましょう。
定義が明確になっていないと、読者によって解釈が大きく異なってしまいます。

定義は極めて重要です。
本は、著者と読者の知的対決です。同じ土俵(統一した定義)でなければ、
議論が噛み合いません。

自分ブランドとは、あなた自身のブランドのこと。

「あなた」をほかの誰でもない「あなた」にしているもののことだ。

『自分ブランドの教科書』 藤巻幸夫  p.6             


とても分かりやすい定義ですね。
one of them ではなくて、個人としてのあなたの存在を明確にできること、存在理由(レーゾン・デートル)と言い換えても良いと思います。

最近では、存在理由を表す言葉としてパーパス(purpose)が使われることがあります。

尚、名字が私と同じなので、これからは著者名を「幸夫さん」と表記します。



CHAPTER 03 「武器」を鍛える

このチャプターでは、記載されている順序で全13項目について紹介していきます。

1 あなたの武器は何ですか?

まず、仕事における自分の「武器」をつくることがスタートです。

幸夫さんは武器を下記のように定義しています。

武器=責任を負う力

『自分ブランドの教科書』 藤巻幸夫  p.39             


わかりやすく示せばこうなります。

「これは任せろ」と周りに示せる得意分野=武器

『自分ブランドの教科書』 藤巻幸夫  p.39            


一方で、次のような考え方ではいけないと述べています。

「これは強いのに……」とひそかに思っている得意分野=宝の持ち腐れ

『自分ブランドの教科書』 藤巻幸夫  p.39            

意思表示せよ、ということですね。ただし、それだけの自信も実績もなければできません。空元気だけでは、空回りするだけです。


2 自分の強みを武器にする

一言でいえば、専門性を深めることが大事ということにあります。

例えれば、深く根をはる強みは大木となる → 真の強み

武器にする分野は、やはり深掘することが大切なのです。


つまり、

「次のステージに向かう」という意識を常にもつようにしよう。

『自分ブランドの教科書』 藤巻幸夫  p.40            

ということです。強みをさらに強化する努力が欠かせません。


3 ゼロから武器を身につける

まず、仕事以外の場こそ武器調達の場であるということです。

言葉は悪いですが、

仕事のコツは盗むもの、というのは絶対に正しい!

『自分ブランドの教科書』 藤巻幸夫  p.42            

ということになります。

ここでの結論は下記のようになります。

武器を身につけたいなら、待ちの姿勢になってはいけない。武器を得られるチャンスそのものも、その手でつかみ取っていくべきだ。

『自分ブランドの教科書』 藤巻幸夫  p.42            


4 つまらない仕事も大切にする

遠回りのように感じるかもしれませんが、

つまらない仕事でも武器は磨ける。

『自分ブランドの教科書』 藤巻幸夫  p.45            

ということを頭の片隅にとどめておきましょう。

幸夫さんはあなたにこう呼びかけています。

あなたはすでに、夢への一歩を踏み出している!

『自分ブランドの教科書』 藤巻幸夫  p.45            


5 バーチャル体験は☓

実体験から学ぶか、本から学ぶかに注目してご覧ください。

どちらが良いかではなく、順序が大切だと幸夫さんは指摘しています。
順番を間違えてはいけないと。

まずは実体験から学ぶこと、現場でひたすら試行錯誤を重ねて、どうすればうまく力を発揮できるかを自分自身で考えていこう。

『自分ブランドの教科書』 藤巻幸夫  p.46            


本から得られる知識 < 実体験からの学び
と表現できます。

頭ではなく、体を使え!と解釈しました。
実体験は、実体験した人だけの学びがありますが、本から得た知識は他の人が体験したことを疑似体験することだということです。

アカデミック・スマートとストリート・スマートの違いとも言えますね。


6 「会社のために」の意識を捨てる

幸夫さんは経験談を語っています。

伊勢丹の販売員時代、私は時間さえあれば取引先に自分の顔を売りにいった。また、いずれは商品を買い付けるバイヤーになりたかったので、休みの日に勝手に生地屋や工場を回って、素材や縫製についても学んだ。そのように、会社が求めずとも自分にとって必要だと思って取り組んだことが、あとの仕事で何よりも役に立った。

『自分ブランドの教科書』 藤巻幸夫  p.48            


幸夫さんが語っていることを知ると、幸夫さんは会社にやらされているという意識は全く感じられませんね。自分に課した目標に向かって突き進んでいく姿が目に映るようです。

出世とは「世に出る」と書く。

『自分ブランドの教科書』 藤巻幸夫  p.48            

文字の通りだと早合点しないでください。

この意味を次のように説明しています。

会社云々ではなく自分を高めるために鍛えた武器が、結果的に社内でも認められるあなたのブランドになることは少なくない。

『自分ブランドの教科書』 藤巻幸夫  p.48            


結論はこうなります。

自分で勝負する人のほうが、「会社の方針だから」という言い訳に逃げる人より、最終的には会社の力になるのだと信じてほしい。

『自分ブランドの教科書』 藤巻幸夫  p.48            


7 ルールを壊せ

かなり過激な言葉のように感じるかもしれません。

一言でいえばこうなります。

「従順さ」ではなく、「実力」で勝負していこうじゃないか。

『自分ブランドの教科書』 藤巻幸夫  p.50            


幸夫さんは人材を2つに分類しています。
唯一無二の人材使いやすい人材です。どちらが求められているかは言うまでもありません。前者です。

仮に現在の会社で邪魔な存在として扱われたとしても、他社が放っておくはずがありません。ヘッドハンティングするでしょう。

唯一無二の人材

結果を出すことに一生懸命な人

使いやすい人材

ルールを守ることに必死な人

ここでの結論はこのようになります。

どんなルールにも無批判に従っていては、行動の範囲がせばめられ、実力を出しきれない。

『自分ブランドの教科書』 藤巻幸夫  p.51            


8 常識を身にまとう

「7 ルールを壊せ」と一見すると矛盾するようですが、
「ときには『業界内の常識』といった長いものには巻かれてしまえ!」(p.52) ということも必要なときがある、と幸夫さんは指摘しています。

ただし、一つ大事なことがあります。

朱に交わるうちに自分まで赤くなってはダメだ!

『自分ブランドの教科書』 藤巻幸夫  p.52            

ということです。


ここでの結論は次のようになります。

やっかいなルールや常識を、拒絶せずそこに染まりもせずに、使いこなす。それも自分ブランドを築いていくために欠かせないスキルになる。

『自分ブランドの教科書』 藤巻幸夫  p.52            


9 社員であるメリットを活用しよう

幸夫さんは「6『会社のために』の意識を捨てる」で会社のために働くな、と言っていました。

しかし、そのように言っても、社員であるメリットは活用しましょう、とも述べています。

その理由は、

たいていの会社は、前向きに奮闘する人については、途中でつまずいても受け止めてくれる懐の深さを持っているからだ。

『自分ブランドの教科書』 藤巻幸夫  p.54            

ということだからです。

だからこそ、挑戦しがいがあるということです。

あなたは、上司や社長が「ちょっとは力を押さえろ」となだめにくるくらい、仕事で思い切り暴れてみただろうか?
会社員ゆえの制約もあるだろう。だがしかし、自分の武器がどこまで通用するかを思い切って試してみたいなら、会社に勤めているとき、とくに若いときが、大暴れできるチャンスなのだ。

『自分ブランドの教科書』 藤巻幸夫  p.54            


10 会社のブランドを理解する

幸夫さんは、この本を通して、自分ブランドを確立し、社内外に認知させるためのノウハウを披瀝しています。

ですが、会社のブランドを理解し活用することの大切さにも触れています。

一言でいえば、「あなたの方向性と会社の方向性を揃えることができれば、あなたの武器は磨かれる」ということです。

それはお互いに成長できる関係を築くことを意味します。

つまり、

会社と共鳴しあう関係になったときに、あなたの武器は最大の力を発揮するようになる。

『自分ブランドの教科書』 藤巻幸夫  p.56            

ということです。


11 会社抜きの自分を見つめる

顧客と初めて対面した時、名刺交換をしますね。
名刺には「○○株式会社 △△部 ☓☓課 ⚫⚫⚪⚪」と印刷されていますね。

相手は、個人の名前より先に○○株式会社に意識が集中するはずです。
○○株式会社がよく知られた会社なのか、あるいは初めて聞く名称の会社なのか、それによって対応が変わってくるかもしれません。

いずれにせよ、通常は個人名よりも社名を覚えることが多いでしょう。
よほど初対面で強烈なインパクトを残したのなら別ですが。

どういうことかと言いますと、こういうことです。

率直に言って_______会社という後ろ盾がなくなると、自分の力だけでできることは限られてくる人が多いはず。

『自分ブランドの教科書』 藤巻幸夫  p.58            


独力でやったと思っていたが、実は会社のブランドがあったから成果を挙げることができたという現実があるのです。認めたくなくてもです。

幸夫さんは、それでも、信念を持って戦えとエールを送っています。

なんだかんだで会社に守られている自分を、本気で悔しがろう。
悔しいからといっていきなり会社を飛び出す必要はない。しかし少なくとも「会社の後ろ盾がなくても十分に稼げるようになってやる!」と、会社そのものとさえ張り合っていく。
そうした意地が、あなたの武器をさらに磨き上げ、結果的に、あなたを会社にとってなくてはならない存在へと押し上げていく。

『自分ブランドの教科書』 藤巻幸夫  p.58            


12 失敗をプラスに変える

10のプロジェクトに携わったとして、そのすべてで成功するなどということはありません。うまくいかなかったこと、失敗したことは必ずあります。

ユニクロやGUを運営するファーストリテイリングの会長兼社長の柳井正氏は『一勝九敗』という本を上梓しています。

柳井氏は自ら失敗した経験を明らかにしています。何度も失敗したことから貴重な教訓を得て、成功に導いてきたのです。成功の連続はないのです。

いえ、もう少し正確に言えば、小さな成功を積み重ねるということはあるでしょう。しかし、それでは大きな成功は達成できないのです。

安全策ばかりを講じていては成長しないのです。
もちろん、大胆な政策を打ち出せるのはオーナー社長だからできるという意見もあるでしょう。

確かに、その意見にも一理あります。

しかし、ビジネスは勝率ではないのです。

プロ野球の世界では、優勝を決定するのは勝率です。勝利数が多くても、引き分けの数が少ない場合には、優勝できないことが起こります。

NPBの年間ゲーム数は現在143(リーグ戦 125、交流戦 18)です。

143から引き分け数(D)を引いた数(T)を分母にして、勝利数(V)を(T)で割ります。それが勝率です。

勝率 =(V / 143-D)× 100 = (V  / T)× 100

サッカーJリーグの場合は、勝ち点が最多のチームが優勝します。
勝ち点は、勝利は3、引き分けは1そして負けは0です。
勝ちと負けで勝ち点は2の差が出ます。

野球の場合、1試合ごとに勝利、敗戦、引き分けによって勝率が変化します。

サッカーの場合、1試合ごとに勝ち点が変化します。

ビジネスの世界では9敗しても、たった1勝で9敗した分を取り返せるばかりかそれ以上の成果を挙げることが可能です。

株式投資でも同様なことが言えます。今まで大負けしていても、たった1回の投資で大勝ちできることがあります。

幸夫さんはこう述べています。

私は、仕事も人生も「勝ち続けなくていい」と思っている。
そもそも自分だけが独り勝ちしていたら、退屈すぎてそれほど成長できそうにない。七転び八起き、8勝7敗ぐらいでちょうどいい。すると8勝目を迎えるころには、7敗したはずの失敗がすべて最終的な勝利のために必要だったことが実感できるだろう。

『自分ブランドの教科書』 藤巻幸夫  p.60            


13 信念という武器をもつ

自分ブランドに欠かせない3つとは

1 History コアとなる武器を鍛えてきた「歴史」

2 Philosophy 人々の心をつかむ「信念」

3 Story 信念を貫こうと動き出した「物語」


信念とは

信念とは、「これをどうしても実現させたい!」「こうすればもっと大勢の人に喜んでもらえるはず!」といった、積み重ねてきたことに裏打ちされた揺るぎなき思いだ。

そうした信念こそが、人の心を動かし、熱い支持を生み出していく。

『自分ブランドの教科書』 藤巻幸夫  p.62            


ここでの結論は次のとおりです。

Historyヒストリー」「Philosophyフィロソフィー」「Storyストーリー」。
自分ブランドとは、この3つがすべてそろうことで形成される。
フジマキはそう思うのだ。

『自分ブランドの教科書』 藤巻幸夫  p.62            



次回は、

CHAPTER 04 「センス」を磨く


をご紹介します。


前回までは、アメブロに投稿した記事に加筆修正した上で、再投稿しました。
今回からは書き下ろしとなります。
新鮮な気持ちで原本にあたり、読み返しています。


➳ 編集後記

アパレル業界で名を馳せた藤巻幸夫(幸大とも表記したことも)さんと、金融業界で「トウキョウにフジマキあり!」と言われた藤巻健史さんのご兄弟。

健史さんは幸夫さんより10歳年上でした。健史さんは1950年6月3日生まれで、幸夫さんは1960年1月5日生まれ。

実はご両人は異母兄弟でした。ですが、とても仲が良かったそうです。

幸夫さんは健史さんのファッションアドバイザーでもありました。

やはり一つのことを成し遂げた人の言葉は心に響きます。
とても説得力があります。

自分の「強み」や「弱み」をきちんと把握して、その土台をもとに、どんなブランドを形づくるかを考えていくのだ。

無我夢中にのめりこめばのめりこむほど、それがいずれ、あなたの揺るぎない強みとなりブランドを形づくる武器となる。

一つの分野を極めること、一芸に秀でることはすばらしいことだ。だが、自分ブランドとは「一発しかない人」のことではない。

実力も、人を見る目も信頼できるメンターに、自分のことを聞いてみることだ。

大切なことは、それを手帳にこまめに書き出すことだ。

今回は書き下ろしということもあり、気合を入れ直して書きました。
原本を読み返してみたら、藤巻幸夫さんの熱意が、発せられた言葉に乗り移り、伝わってきました。

幸夫さんが亡くなられたことはとても残念です。
もっと各方面でご活躍できたであろうにと考えると、大切な人をなくしたなと思います。


⭐プロフィール


⭐参考文献


⭐回想録


⭐マガジン (2023.05.01現在)



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