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盛田昭夫 『21世紀へ』(021)





盛田昭夫 『21世紀へ』(021)


東京通信工業からSONY(ソニー)へ社名変更した経緯が語られています。

字数が少なく、世界に進出する以上、どこでも同じ発音で読まれ、耳障りがよい名称であることが、条件だったことが分かります。

KODAKという世界一のフィルムメーカーがありました。

カメラフィルばかりか映画のフィルムでも使われました。

KODAKという名称にした経緯を、昔、何かの本で読んだことがあります。なぜこの名称にしたのか?

KODAKを左から読んでも、右から読んでも、ほとんど同じ発音で読めます。

アラビア語は右から左へ読むそうです。そのため、右から左に読んでも音声面で、大きく違わない名称にするために、KODAKにしたそうです。

そのKODAKは成功にあぐらをかき、デジカメ時代の到来を読み違え、倒産してしまいました。

最近、ソニーは「VAIOブランドのパソコン事業を売却する」と平井社長が発表しました。

パソコン事業が儲からなくなったためです。

今後、ソニーはAV(オーディオ・映像)事業に特化していくようです。

4Kテレビ(ハイビジョンテレビの4倍の高精細テレビ)の販売と、スマホのカメラ用半導体の販売などを強化していくようです。

コニカミノルタからカメラ部門を買収し、画像半導体の技術を深化させています。

iPHone6が2014年10月に発売予定だそうです。

今までのiPhoneのカメラ用半導体はソニー製で、高精細な撮影ができる技術は、ソニーが群を抜いている、と言われています。

ただ、このままでは下請けメーカーであり、部品を供給するだけの企業になりかねません。

完成品を市場に投入できなくなることは、ソニーとして屈辱的なことではないのか、と思ってしまいます。
   


『21世紀へ』 盛田昭夫
2000年11月21日 初版発行
ワック


目次

はじめに

第1章 経営の原則

第2章 人材の条件

第3章 マーケットの創造

第4章 国際化への試練

第5章 経済活性化の原理

第6章 日米関係への提言

第7章 変革への勇気

第8章 日本国家への期待

第9章 新世界経済秩序の構築

あとがき




第3章 マーケットの創造

「ソニー・スピリット」(1963年)から


世界市場へ打って出るには、強力な武器となるべきよい新製品と、それを売るに値するよき販売ルートとが絶対に必要である

 世界市場へ打って出るには、強力な武器となるべきよい新製品と、それを売るに値するよき販売ルートとが絶対に必要である。
 研究中のトランジスタ・ラジオは、絶好の武器となると信じられたが、販売方法については、慎重な研究が必要である。そのために、私はその後、毎年海外に出張し、きたるべきラジオの販売のためのマーケティングの研究に着手したのである。
 その間に学んだ根本的な問題の一つが、ブランドと社名のことである。

21世紀へ 盛田昭夫 061 p. 112 



「ソニー・スピリット」(1963年)から


ブランドの信用を確立することが、まず第一の要件である以上、世界中に通用する名をブランドとし、同時に社名ともすることが、一石二鳥の策であるとの結論にわれわれは到達した

 東通工、東京通信工業、いずれにしても、外国人には正しく発音できないものである。市販品を売っていくうえには、ブランドがいかに大切であることか。ブランドの信用を確立することが、まず第一の要件である以上、世界中に通用する名をブランドとし、同時に社名ともすることが、一石二鳥の策であるとの結論にわれわれは到達した。ここに、SONYの誕生のいわれがある。

21世紀へ 盛田昭夫 062 pp. 112-113 


「ソニー・スピリット」(1963年)から


 新しいブランド決定についてはきわめて慎重であったことは、論ずるまでもない。ブランド決定に当たっては、次の二つの重要な決定基準が先に決められていた。すなわち、

 一、字数はあくまでも少ないこと。なぜならば、字数が少ないほど印象
   という面からみて極めて有利である。しかも誰でも簡単に記憶に残し
   てくれる。しかし三文字は、あまりにも多くの三文字の組み合わせが
   使われており、混同を生じてかえって好ましくない。四文字ないし五
   文字であること。

 二、世界に進出する以上、どこの国でも同じ発音で読まれ、感じよく耳に
   響く名であること。

 このような基準で、ブランドづくりは数十次にわたって討議され、その結果、生まれたのがSONYの四文字である。このSONYがわずか四、五年にして日本のトランジスタ・ラジオの代名詞のように世界各国で使われたことによっても、ブランドづくりが販売政策上いかに重要であるかがわかるであろう。

21世紀へ 盛田昭夫 063 p. 113 

 


盛田昭夫公式ウェブサイト



➳ 編集後記

『21世紀へ』を読み返して感じたこと

『21世紀へ』は、20世紀を全力で走り抜けてきた盛田さんが、このままでは日本がダメになるという危機感に、すべての日本人が気付いてほしいという悲痛な気持ちが伝わってくる本です。

盛田さんの「予言」はいみじくも当たってしまいました。
少なくとも現状においてですが。

この警世の書に書かれていることの多くが当たっています。
盛田さんの慧眼は本当に素晴らしいと思いました。

本書をアマゾンや楽天でなくても、ブックオフ等で目にしましたら、ぜひ手に入れてください。なかなか見つからないかもしれませんが。

その内容の濃さと経験に裏打ちされた説得力のある文章に惹きつけられることでしょう。


🔴SONYの社名が決定されるにいたる背景を知ると、いっそうSONYに対する親しみを感じるようになるでしょう。

盛田昭夫さんは営業マンとして世界中(主に米国ですが)に出かけ、精力的に営業活動をしてきたことを知ることになりました。

井深大(いぶか まさる)さんは技術者として、また研究者として全力を尽くし、盛田さんは営業マンとして世界中を飛び回り、SONYという名と製品を広める伝道師となったのです。

つまり、盛田さんと井深さんは二人三脚でSONYの発展に尽力してきたのです。



盛田さんは、一点の曇りもなく、自分に正直で、言行一致した行動派の経営者でした。また、今ではなかなか見つからないダンディなジェントルマンでもありました。表現がダサい? 古い?



⭐ソニーの現状 (ソニーグループの子会社)


ソニーを日本企業とは知らない人たちがいることに驚きました。

ここ数十年で業態を変えてきたことは、世の中の変化に素早く対応できることを示しています。

ソニーは「エレクトロニクス・プロダクツ&ソリューション分野」を扱う企業ということになりますが、半導体も生産していますし、得意な映像技術を深掘りしています。映画部門も持っていますね。

極論すれば、音と映像を2本柱にして、これらに関わる技術を開発し、横展開していると言えます。

ただし、ウォークマンが大ヒットしたあと、アップルの iPhone のようなスマートフォンがなぜ作れなかったのかと悔やまれます。技術力はあったはずです。目利きが及ばなかったのでしょう。

スマホがここまで世界中に受け入れられるとは想像していなかったのかもしれません。


⭐『21世紀へ』について

『21世紀へ』に関するこのブログを最初に投稿したのは、アメブロで9年前(2014-07-28 21:19:15)のことでした。

note に再投稿するにあたって、大幅に加筆修正しました。

『21世紀へ』の「はじめに」の1行目から2行目にワック編集部による
この本の説明が書かれています。

本書は、井深大と並ぶソニー株式会社のファウンダー(創業者)盛田昭夫によって、1960年代から90年代にかけて執筆された論文の集大成である。

21世紀へ 盛田昭夫 p.1  


ソニーは日本を代表する世界的企業であることに異論はありません。



✑ 盛田昭夫氏の略歴

巻末の「著者紹介」から

盛田昭夫(もりた あきお)
ソニー創業者。1921年生まれ。大阪大学理学部卒業。
海軍技術中尉に任官し、井深大と出会う。
46年、井深とともにソニーの前身、東京通信工業を設立。
ソニー社長、会長を経て、ファウンダー・名誉会長。
この間、日米賢人会議メンバー、経団連副会長等を歴任。
海外の政財界にも幅広い人脈をもち、日本の顔として活躍した。
98年米タイム誌の「20世紀の20人」に日本人として唯一選ばれる。
99年死去、享年78。
著書に『学歴無用論』(朝日文庫)『新実力主義』(文藝春秋)
『MADE IN JAPAN』(共著、朝日文庫)『「NO」と言える日本』
(共著、光文社)等がある。

(3,578文字)


⭐出典元



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