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『「リーダーの条件」が変わった』(16)

『「リーダーの条件」が変わった』(16)

「危機の時代」を乗り越える新しい統率力
小学館101新書 2011年9月25日 初版第1刷発行

<目次>
はじめに 能力なきリーダーしかいない日本の不幸

第1章(現状認識)
 東日本大震災でわかった「危機に克つリーダー」の条件
  [スピード]
  1週間でできない「緊急対策」は、1年かけてもできない
  [危機管理力]
  組織のイメージを最小限にする工夫と判断が必要だ
  [行動力と交渉力]
  次世代の国家リーダーに求められる「3つの条件」

第2章(対策)
 組織を元気にするリーダーシップの育て方
  [ビジョナリー・リーダー]
  世界で勝つ企業は人材育成に毎年1000億円かけている
  [中間管理職“再生術”]
  組織を動かすには「“揺らぎ”のシステム」を使いこなせ
  [新・人材教育カリキュラム]
  リーダーシップは“天与”のものではない
第3章(比較研究)
 日本が学ぶべき世界のリーダーシップ
  [イギリス・キャメロン首相①]
  弱冠43歳にしてトップに立ったリーダーはどこが凄いのか?
  [イギリス・キャメロン首相②]
  「グレート・ソサエティ」構想で活かすべき「民の力」
  [ロシア・メドベージェフ大統領]
  「結果を出す指導者」の驚くべき決断力と行動力
  [日本vs中国リーダー比較]
  国民の差ではなくリーダーの差が国家の関係を規定する

第4章(提言)
 私が「リーダー」だったら日本の諸課題をこう乗り越える
  【震災復興】
  「緊急度の掌握」ができなければ非常時のリーダー失格だ
  【電力インフラの再構築】
  原発と送電網は国有化、電力会社は分割して市場開放せよ
  【食料価格の高騰】
  世界の農地に日本の農業技術・ノウハウを売り込め
  【水資源争奪戦】
  水道事業を民営化して「水メジャー」並の競争力をつけよ
  【エコカー開発競争】
  劇的な低価格を実現し、世界市場で優位に立つ「新EV革命」

  【財政危機】
  所得税・法人税ゼロの「日本タックスヘイブン化」で経済は蘇る

おわりに 「強いリーダー」は強い反対意見の中から生まれる  
   

【エコカー開発競争】
 劇的な低価格を実現し、世界市場で優位に立つ「新EV革命」  


今、中国は急速な成長に伴う弊害に悩まされています。
「公害」です。
特に、大気汚染が深刻で、PM2.5による被害が拡大しています。

鉄鋼製造による排煙に含まれる有害汚染物質、硫黄酸化物(SOx)や、自動車の増加に伴う排気ガスに含まれる窒素酸化物(NOx)が大気中に蓄積し、公害の元凶となっています。

中国政府は、現状と将来を憂慮し、EV(電気自動車)の製造に舵を切りました。

日産自動車は中国自動車メーカーと合弁で、EV製造に着手しました。

中国政府の自国内の製造の要求に応える見返りとして、上海に工場建設を打診し、認められました。


EVは、これから中国が圧倒的に進むだろう

EVは、これから中国が圧倒的に進むだろう
なぜなら、中国では急速な自動車の普及によって公害問題や資源問題が深刻化しているため、政府が大気汚染の原因になっている排気ガスの削減、原油依存からの脱却、新エネルギー車技術の開発促進などを目的に、EVの普及を国家プロジェクトとして推進しているからだ。  

『「リーダーの条件」が変わった』 大前研一の名言 1 〈562〉            


EV普及の最大のハードルは「充電インフラ」だが、中国ではEVの充電スタンドも2015年までに4000か所、2020年までに1万か所に増やす計画だ

EV普及の最大のハードルは「充電インフラ」だが、中国ではEVの充電スタンドも2015年までに4000か所、2020年までに1万か所に増やす計画だ
すでに送電会社大手の国家電網と中国南方電網がEV時代の到来をにらんで主導権争いを繰り広げ、前述の6都市(北京、上海、長春、深セン、杭州、合肥)をはじめ全国各地で充電スタンドの設備を加速している。

『「リーダーの条件」が変わった』 大前研一の名言 2 〈563〉           

      

自動車の急増による深刻な大気汚染に苦しんでいる国は、中国だけではない

自動車の急増による深刻な大気汚染に苦しんでいる国は、中国だけではない
経済成長を続けているインド、ブラジル、ロシアといった新興国の大都市は、どこも1960年代の高度成長期の日本と同じようにスモッグに覆われて青い空が見えない状態になっている。
そこに、CO2を排出せず、充電インフラを整備する必要がなくて価格も安いインホイールモーター(車輪にモーターを組み込んで直接駆動する仕組み。注:藤巻隆)とカセット式電池を組み合わせたEVが登場すれば、大歓迎されるのは間違いない。
日本がEVの世界標準を確立し、その完成車や部品の輸出で食べていく、という新たな可能性が見えてくるのだ。

『「リーダーの条件」が変わった』 大前研一の名言 3 〈564〉           


        
以上までの記事は、2014年2月15日
 に投稿した内容です。



➳ 編集後記

『「リーダーの条件」が変わった』という本について

『「リーダーの条件」が変わった』 は「優秀な部下たちをマネージし、彼らの意見を聞いた上で、総合的に判断して結論を下す」ことができる人物がリーダーであるという基本的な考えの上に立ってリーダー論を展開している本です。


⭐ EVの開発は世界的な潮流となっています。脱炭素社会との取り組みの一環として重要になっています。

そこでEVの現状について調べてみました。
現状はイーロン・マスク氏が経営するテスラ・モーターズが先行していますが、対抗できるのはトヨタなのでしょうか? それともアップル?

まず、英国のケースを見てみましょう。

✅ 英国のケース

EV普及率、日本「0.9%」イギリス「11.8%」 埋めがたい格差はなぜ生まれたのか? 2022.7.11 Merkmal

から主要な部分を抜粋しました。


🔴 日本の13倍超、驚異的な普及率?

2021年のイギリスの新車登録の上位を見ると、1位英国ボクソール「コルサ」(4万914台)、2位米国テスラ「モデル3」(3万4783台)、3位英国ミニ(3万1792台)と、テスラがランクインしている事実ともつながっている。
自動車製造取引業者協会(SMMT)によれば、イギリスの2021年の新車販売台数のうち、EVは11.6%だった
日本の半分ほどの人口を持つイギリス(6708万人、2020年)で、75万台を超えるEVとPHVが使用されており、これは50台に1台の割合になる

  EV普及率、日本「0.9%」イギリス「11.8%」 埋めがたい格差はなぜ生まれたのか?     

                       

🔶 EVの普及率を比較してみると、日本は 0.9% に対し、英国は 11.6% だそうです。この格差はどこになるのでしょうか?

筆者(鳴海汐氏=日英比較ライター)によれば、

経済的な面で、個人よりも企業の方が高価な電気自動車を購入しやすいことが想像されるが、それだけではない。社用車の場合税率が低くなり、電気自動車への乗り換えのモチベーションとなっているのだという。

EV普及率、日本「0.9%」イギリス「11.8%」 埋めがたい格差はなぜ生まれたのか?     

ということらしいです。
つまり、パーソナルユースよりもビジネスユースの方がEVを使用している比率が高いということです。

ヨーロッパ11か国でタクシーとライドシェア両方のサービスを提供する「FREE NOW」は、国の方針に先駆け、イギリスでは2024年までに全タクシーを、2025年までにライドシェアの車両をゼロエミッション車に切り替えることを宣言している。

EV普及率、日本「0.9%」イギリス「11.8%」 埋めがたい格差はなぜ生まれたのか?     


意外なことに、英国は日本より購入するための補助金が少ないそうです。

イギリスでは電気自動車を購入するための補助金はあるのだが、3万2000ポンド未満の車両で1500ポンド(約25万円)であり、日本よりも少ない。
普及してきたことから予算を多くの利用者に割り振るため、2021年は2500ポンド(約41万円)だったのが引き下げられた形だ。補助金制度は2023年前半までと今のところ決まっている。

EV普及率、日本「0.9%」イギリス「11.8%」 埋めがたい格差はなぜ生まれたのか?     

見逃せない点があると、著者は指摘しています。

見逃せないのが、電気自動車であれば道路税ゼロになるという制度だ。炭素排出量に応じて支払うもので、車両購入初年度は最高2365ポンド、2年目以降はガソリン車では165ポンドのものが、電気自動車であれば無料になるというものだ。

EV普及率、日本「0.9%」イギリス「11.8%」 埋めがたい格差はなぜ生まれたのか?     

🔶 EVを普及させるための仕組みがあるということですね! 国を挙げて脱炭素に取り組んでいる姿勢が見て取れます。

日本ではここまで徹底していませんね。

ただし、英国政府はそれだけではまだ不十分と考えているようで、「グリーンナンバープレートという優遇制度」の検討もしているそうです。

グリーンナンバープレートの優遇制度も計画されている。
これはナンバープレートの端に緑のラインが入ったもので、完全なEV車のみ購入し取り付けることができるものだ。付けるとバスレーンや制限のある道路を走行することが可能になったり、駐車場の割引がなされたりするほか、EVの優先駐車スペースを設けることが企画されている。

EV普及率、日本「0.9%」イギリス「11.8%」 埋めがたい格差はなぜ生まれたのか?     


🔴 EV比率、2030年には80%に

イギリス政府は2020年11月に、ガソリンとディーゼルの新車販売を禁止するのは2030年と発表した。ハイブリッド車に関しては、炭素排出ゼロで長距離走行可能なものの新車販売を2035年まで認めるとしている。
これには、各メーカーに年間販売目標の義務付けをし、新車販売台数のEV比率を2024年に22%、2028年に52%、2030年に80%にするといった具体的で段階的な施策が発表されている。

EV普及率、日本「0.9%」イギリス「11.8%」 埋めがたい格差はなぜ生まれたのか?     
 

英国政府は、具体的な計画の下で施策を実行しようとしています。


✅ 米国のケース

ところ変わって米国の場合はどうでしょうか?
現状では、EVの販売台数でテスラ・モーターズが圧倒していますが、GMも本気で取り組んでいるようです。

JETRO(日本貿易振興機構)のリポートをご覧ください。

米国のEVシェアは2030年までに50%超と予測、インフレ削減法の効果に期待、米メディア報告書 2022年09月22日

重要な部分を抜粋します。

ブルームバーグは9月20日、2030 年までに米国で販売される自動車の52%が電気自動車(EV)になるとの同社報告書(BNEF)の予測を報じた。
8月16日に成立したインフレ削減法(2022年8月17日記事参照)に盛り込まれた、EVの購入者に対する奨励策などがこれを後押しするとみている。もし実現すれば、2030年までに新車販売の50%以上をEV〔バッテリー式EV(BEV)とプラグインハイブリッド車(PHEV)〕および燃料電池車(FCV)にするバイデン政権の目標が達成されることになる

米国のEVシェアは2030年までに50%超と予測、インフレ削減法の効果に期待、米メディア報告書


米国調査会社のローディアム・グループも、同法の施行により、EVが新車販売に占める割合は2030年時点で最大57%になると予測している。また、ボストン・コンサルティング・グループは、2030年までにBEVとFCVのシェアが合わせて47%、PHEVとハイブリッド車(HEV)を含めると62%に達すると予測している。

米国のEVシェアは2030年までに50%超と予測、インフレ削減法の効果に期待、米メディア報告書

2030年までに英国はEVの普及率を80%にする目標を設定しているのに対し、米国は50%となっています。人口の数や国の広さ、道路事情が異なるため一概には言えませんが、あまりこの数字の差は問題にならないと思います。EVの普及率の目標を50%以上に設定していることに意味があると思っています。

地球環境保護の問題はどこの国においても喫緊の課題です。


最後に日本の場合を見てみましょう。

✅ 日本のケース


カーボンニュートラルに向けた 自動車政策検討会」(経済産業省作成)という資料が見つかりました(PDF)。

この中の「2.グリーン成長戦略 実行計画(抄)自動車・蓄電池産業」「今後の取組」に自分の目を疑うような事柄が記載されていました。

遅くとも2030年代半ばまでに、乗用車新車販売で電動車100%を実現できるよう包括的な措置を講じる。 商用車についても、乗用車に準じて2021年夏までに検討を進める。
この10年間は電気自動車の導入を強力に進め、電池をはじめ、世界をリードする産業サプライチェーンとモビリティ社会を構築。この際、特に軽自動車や商用車等の、電気自動車や燃料電池自動車への転換について、特段の対策を講じていく。

🔶 えっ? 本当にできるの?と思ってしまいました。
いつも感じることは、こうした資料に日付が入っていないことです。
「この10年間」とありますが、スタートはいつなのか明示されていません。

検討だけで終わってしまいかねないことを危惧しています。

英国、米国、日本の取組みを比較してみますと、日本はお題目を並べていますが、実現可能性が低いと感じてしまいます。

官僚による机上の空論で、地に足の付いた考え方ではないと思ってしまうのは私だけでしょうか?


私が考える大前研一氏の考え方

🔶 大前氏は自分で考え出したことを自ら実践し、検証しています。仮説と検証を繰り返す行動の人です。

Think before you leap.(翔ぶ前に考えよ)という諺がありますが、Leap before you think.(考える前に翔べ)もあります。

あれこれ考えて、難しそうだからとか面倒くさそうだからやめようでは成長しません。
まず、やってみるという姿勢が大切です。


大前研一氏は、常に物事の本質を述べています。洞察力が素晴らしいと思います
私は、ハウツーものは、その内容がすぐに陳腐化するので読みません。


➔ 大前氏の言葉は、いつでも私たちが忘れがちな重要なことに気づかせてくれます。


🔶 大前研一氏と私は年齢がちょうど一回り(12歳)離れています。

しかし、その年齢以上に遥かに頭の中身と行動力に差がある、と大前氏の著作を読むたびに痛感します。

構想力、コンサルタント力、提案力、実行力……。

どれをとっても私が及ぶようなものは何一つありません。

それでも、いや、だからこそ大前氏の著作やメルマガを通じ、大前氏の考え方を素直に受け入れることにしているのです。

時には、かなり過激な表現も見受けられますが、それは大前氏がそれだけ真剣に物事を考え、モノマネではなくオリジナルな提案をし、自ら実行しているからです。

そうした姿勢をいつも背中から見ていて、頼もしく感じ、(勝手に)この人に師事し、グル(思想的指導者)と仰いでいるのです。



⭐ 関連書籍



🔶 大前研一氏と私とは年齢が一回り違います。大前氏は1943年2月21日生まれで、私は1955年6月30日生まれです。
大前氏は、私にとってはメンター(師匠)です。もちろん私が勝手にそう思っているだけです。


🔶 大前氏は評論家ではありません。言うだけで自分では何もしない人ではありません。大前氏は行動する人です。だから大前氏の提言は説得力があるのです。


大前研一オフィシャルウェブ

このウェブサイトを見ると、大前氏の出版物一覧を見ることができます。
私は、大前氏の全出版物の半分も読んでいませんが、今後も読んでいくつもりです。
⭐ 出典元: 大前研一 オフィシャルウェブ



大前氏は1995年の都知事選に敗戦後、『大前研一 敗戦記』を上梓しました。




🖊 大前氏の著作を読むと、いつも知的刺激を受けます。
数十年前に出版された本であっても、大前氏の先見の明や慧眼に驚かされます。

『企業参謀』(1985/10/8 講談社という本に出会ったとき、日本にもこんなに凄い人がいるのか、と驚嘆、感嘆したものです。

それ以降、大前氏の著作を数多く読みました。

『企業参謀』が好評であったため、『続・企業参謀』(‎ 1986/2/7 講談社が出版され、その後合本版『企業参謀―戦略的思考とはなにか』(1999/11/9 プレジデント社)も出版されました。





🔶 大前氏は経営コンサルタントとしても超一流でしたが、アドバイスするだけの人ではありませんでした。自ら実践する人です。有言実行の人です。起業し、東京証券取引所に上場しています。現在は代表取締役会長です。


大前氏の本には、ものの見方、考え方を理解する上で重要な部分が多くあります。大前氏の真意を深く考えなくてはなりませんね。

この元記事は8年前にFC2ブログで書きました(2014-02-15 17:16)。
「新・大前研一名言集(改)」はかなりの量になりました。
私にとっては、いわばレガシィです。

その記事に加筆修正を施し、再編集しました。


✑ 大前研一氏の略歴

大前 研一(おおまえ けんいち、1943年2月21日 - )は、日本経営コンサルタント起業家マサチューセッツ工科大学博士マッキンゼー日本支社長を経て、カリフォルニア大学ロサンゼルス校公共政策大学院教授やスタンフォード大学経営大学院客員教授を歴任。
現在、ビジネス・ブレークスルー大学学長、韓国梨花女子大学国際大学院名誉教授、高麗大学名誉客員教授、(株)大前・アンド・アソシエーツ創業者兼取締役、株式会社ビジネス・ブレークスルー代表取締役社長等を務める。 (Wikipedia から)


大前研一氏の略歴補足

大前氏は日立製作所に勤務時、高速増殖炉もんじゅの設計を担当していましたが、原発の危険性を強く感じていたそうです。

その後、世界一の経営コンサルティングファームのマッキンゼーに転職。
マッキンゼー本社の常務、マッキンゼー・ジャパン代表を歴任。

都知事選に出馬しましたが、まったく選挙活動をしなかった青島幸男氏に敗れたことを機に、政治の世界で活躍することをキッパリ諦め、社会人のための教育機関を立ち上げました。BBT(ビジネス・ブレークスルー)を東京証券取引所に上場させました。

大前氏の書籍は、日本語と英語で出版されていて、米国の大学でテキストとして使われている書籍もあるそうです。



⭐ 今までにご紹介してきた書籍です。
















⭐ 私のマガジン (2022.09.29現在)























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