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当事者が明かす変革の真実 「断」の経営2014.10.06 1/3 2014-10-09 16:09:40

 




<このページでは、『日経ビジネス』の特集記事の概要紹介と、管理人のコメントを掲載しています>



当事者が明かす変革の真実 「断」の経営2014.10.06 1/3 2014-10-09 16:09:40



CONTENTS

PART 1 特別インタビュー 京セラ・第二電電創業者 日本航空前会長 稲盛和夫 日本の変革力を憂う

PART 2 落ちる日本の変革力

PART 3 記憶に残る5大企業変革 今だから話せる真実

PART 4 成し遂げた経営者たちが示す 変革生む3つの「断」



第1回は、

PART 1 特別インタビュー 京セラ・第二電電創業者 日本航空前会長 稲盛和夫 日本の変革力を憂う

PART 2 落ちる日本の変革力


を取り上げます。


今週の特集記事のテーマは

日本企業が反撃力を取り戻し、
“再攻”するためには何が必要なのか。
日経ビジネスが報道してきた企業改革の中から
「読者の記憶に残る変革」を抽出し、
ヒントを探った。
歴史的変革の当事者たちが示す革新の条件は3つの「断」に集約できる
(『日経ビジネス』 2014.10.06 号 p. 025)

です。



当事者が明かす変革の真実 
「断」の経営

(『日経ビジネス』 2014.10.06 号 表紙)


まず、上図をご覧ください。
左上から時計回りで、本田宗一郎、藤田田、松下幸之助、カルロス・ゴーン、小倉昌男、稲盛和夫の各氏です。

6名は著名な経営者ばかりですね。どなたも「時代」を創造してきた方ばかりです。


PART 1 特別インタビュー 京セラ・第二電電創業者 日本航空前会長 稲盛和夫 日本の変革力を憂う

トップバッターは、日本を代表する名経営者の一人である、稲盛和夫さんに登場していただきましょう。


(写真=山田 哲也)

PROFILE
稲盛 和夫(いなもり・かずお)氏
1932年鹿児島県生まれ。鹿児島大学工学部卒業。59年に京都セラミック(現京セラ)設立、社長、会長を経て97年から名誉会長を務める。同年に仏門入りし話題に。85年に第二電電(現KDDI)を設立、会長に就任。2010年には日本航空の会長に就任し再建を主導した。

当事者が明かす変革の真実 「断」の経営 
2014.10.06 


1959年 京セラ創業
独自の「アメーバ経営」を考案。
一代で京セラをグローバル企業に
成長させる当事者が明かす
変革の真実 「断」の経営 
2014.10.06


稲盛さんは、「日本の変革力を憂」えているそうです。

どんなところに憂えれているかに注意しながら、稲盛さんの話に耳を傾けましょう。

企業は、変革し続けなければ現状すら維持できません。社員を雇用しながら 利益を出している良い状態は、言ってみれば空中に浮かんでいるようなもの です。努力を怠ればあっという間に地に落ちてしまいます。当たり前のことです。

何が悪いのか。私はその原因は、改革を断行できる強いリーダーの不在に尽きると思っています。

確かに、大きな判断を誤れば簡単に会社が破綻する時代です。かといって怖がって何もしなければ会社がジリ貧になっていくだけです。

同じことを続けていくだけではリーダーとは呼べないでしょう。

まず経営者は、会社をどうしたいのか、そのために何をどうすべきで何を切り落とすべきなのか、自分の中に確固たるルールを作るべきでしょう。

そして、矛盾するようですが、本当に必要とあればそのルールを自ら破る勇気も持つべきです。

決めたルールは2つです。自分が得意な事業分野に絶え間なく進出する。得意ではない全くの異分野には何があっても手を出さない、です。

当事者が明かす変革の真実 「断」の経営 
2014.10.06 p. 027 


第二電電の設立は、得意分野への投資ではありませんでした。ではなぜ設立に踏み切ったのか。

「今はルールを破る時だ」「時代が変革を求めている」と確信したからです。

当事者が明かす変革の真実 「断」の経営 
2014.10.06 p. 027 


1984年 第二電電(DDI)創業
通信の自由化を切り開く。
2000年にIDO、KDDと合併し
KDDIに
(写真=朝日新聞社)
当事者が明かす変革の真実
「断」の経営 
2014.10.06


自らにルールを課すのは大切ですが、一つのルールに固執し続けても会社の変革は止まってしまいます。とはいえ、いつルールを破るかという判断もまたとても難しい。

基準をあえて言えば、「それで会社や従業員、顧客が本当に幸福になるか」しかない。

目の前の利益や自分の名声にこだわってはいけません。

当事者が明かす変革の真実 「断」の経営 
2014.10.06 p. 028 


JALの会長就任は何度も固辞しました。
ですが、当時、政権政党だった民主党幹部から何度も説得された結果、最終的に引き受けることにしました。

当事者が明かす変革の真実 「断」の経営 
2014.10.06 p. 028 


会長に就任し、再建を主導。
会社更生法の適用から2年後、
V字回復を果たす
(写真=共同通信)
当事者が明かす変革の真実
「断」の経営 
2014.10.06


理念を明確に打ち出すことで、従業員たちが立ち上がってくれるようになりました。

精神主義かもしれませんが、「みんなのためなんだ」と周知徹底することは改革を進める上で何より重要です。これこそが再建がうまく進んだ理由だと考えています。

当事者が明かす変革の真実 「断」の経営 
2014.10.06 p. 029 


私個人の考えを言えば、やはり、社内で立派な信念と固い志を持った強いリーダーを育てていくのが理想的だと思います。

当事者が明かす変革の真実 「断」の経営 
2014.10.06 p. 029 


顧客と従業員、社会に幸福をもたらすためなら、自らを犠牲にしても大きな決断ができる。

そんな人材を育て上げ、トップにする。これ以外に変革力を高める方法はありません。

当事者が明かす変革の真実 「断」の経営 
2014.10.06 p. 029 


一部、禅問答のような個所があったと感じられたかもしれません。

稲盛さんも熟考に熟考を重ね、機が熟したと思った時に、決断してきたからだと思います。

稲盛さんは、自著の中で、何度も書いていますが、「利他」「私心なかりしか」と考え、そうではない、と確信できてから断行しているのです。

稲盛さんの言葉に、宗教的あるいは哲学的な香りが感じられるのは、1997年に仏門に入った経験や中村天風の教えが影響しているからかもしれません。


1997年 仏門に入る
臨済宗妙心寺派円福寺にて
出家せずに仏門に入る
(写真=朝日新聞社)
当事者が明かす変革の真実
「断」の経営 
2014.10.06


PART 2 落ちる日本の変革力


注:M&Aか事業ポートフォリオ
の組み替えを積極的に実施して
いる企業を高変革企業と定義。
1990年以前から上場しており、
直近売上高が1000億円以上の
事業会社499社を対象に、
変革度と業績の相関関係を調査。
変革度の高低は、2003~13年度
の事業セグメント構成変化が
30%以上かどうか、
または1996~2013年度の
M&A累積買収金額が
時価総額の30%以上か
どうかで判断。
好業績かどうかは、
1990~2013年度の
年率売上高成長率及び
年率利益成長率がともに
上場企業の平均を上回る
かどうか、または、一方が
平均を下回った場合、
それが同じセグメント内の
企業の平均を上回っているか
どうかで、判断した

出所:ベイン・アンド・カンパニー・ジャパンの資料を基に本誌作成
当事者が明かす変革の真実
「断」の経営 
2014.10.06


『日経ビジネス』は日本の変革力が落ちている理由として、
「加速する3つの環境変化」
を挙げています。

1 「ハードル」が高くなった

2 経営層の「高齢化と短命」

3 失われた「変革の渇望」

では、順番に見ていくことにしましょう!

1 「ハードル」が高くなった

ソニーの場合、最も煽りを受けたのがスマートフォン事業だ。業績向上の牽引役と期待したが、中国勢の台頭で新興国での販売が低迷。2014年度には目標を下方修正し、スマホ事業の営業権の全額減損にまで追い込まれた。

製品開発も過去20年で圧倒的に難しくなった。

当事者が明かす変革の真実 「断」の経営 
2014.10.06 p. 032 


「コモディティ化」がキーワードになります。スマホも新興国で低価格化が進行し、日本企業は利益を出せなくなったのです。

PCと同じ運命を辿ろうとしています。


2 経営層の「高齢化と短命」

帝国データバンクの調査によると、2013年における国内企業の社長の平均年齢は58.9歳と過去最高を記録した。

在任期間の短さだ。平均で2期4年。経営者としてここまで短命だと、遠大な戦略的思考をする暇はなく、近視眼的、対症療法的経営にならざるを得ない。

その結果、素養のある人物でも「成し遂げられない人」になってしまうわけだ。

当事者が明かす変革の真実 「断」の経営 
2014.10.06 p. 032 


指摘された点は深刻な問題です。ボディーブローのように効いてきます。

4年で交代では、長期的な戦略を練ることは不可能で、どうしても目先の利益を追いかけることになり、長期的な視点が不可欠な投資はできなくなります。

そうなると、ジリ貧になり傾いてしまいます。シロアリに柱を食い荒らされた家のようにやがて倒壊してしまいます。


3 失われた「変革の渇望」

日本から変革力が消えた3つ目の理由は、社会全体が豊かになり、変革への渇望が失われたことだ。

「裕福になれば、誰だって世の中や会社を変えようという意欲は薄れる。日本人は能力が高いから追い込まれたら力を出すが、もう追い込まれる時代ではない」。

堀場製作所の堀場雅夫・最高顧問はこう話す。

当事者が明かす変革の真実 「断」の経営 
2014.10.06 p. 033 


意欲が刺激されるためには、飢餓感が欠かせないもの、と自覚できなければならないということなのでしょうか?

決して、豊かさは実感できていませんが……。

日本人は、このまま「茹でガエル」になってしまうのでしょうか?


次回は、

PART 3 記憶に残る5大企業変革 今だから話せる真実


をお伝えします。


🔷編集後記

この特集記事(元記事)が公開されたのは、9年前のことで、アメブロでも9年前(2014-10-09 16:09:40)のことでした。

大幅に加筆修正しました。

この記事は9年前のことですが、実体はあまり変わってきていないと感じています。

もちろん、一部の企業は危機感をひしひしと感じ、改革に勤しんでいるところもあります。

しかし、旧態依然とした経営を続けている企業があることは否定できません。現状に甘んじているのです。

経営陣が自分たちが現在の地位に座っている間はあえてリスクを負わず、任期が来たら勇退すればいいと考えを持っている人たちはいるはずです。

稲盛さんの「企業は、変革し続けなければ現状すら維持できません」という言葉はとても重いと思います。



(4,527文字)


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藤巻 隆
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