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さらば使い捨て経営 「正社員化」だけでは解決しない 2014.05.19 Vol.76 2/2 2014-06-12 23:18:57
日経ビジネスの特集記事 Vol.76
さらば使い捨て経営 「正社員化」だけでは解決しない 2014.05.19 Vol.76 2/2 2014-06-12 23:18:57
<このページでは、『日経ビジネス』の特集記事の概要紹介と、管理人のコメントを掲載しています>
今週号の特集記事のテーマは
限りある人材を“使い捨て”にする経営と決別する。それが実現できない企業に未来はない
ということです。
前回は、「限定正社員」という言葉から判断すると、非正規雇用労働者に労働条件が改善されたような錯覚を抱かせるが、現実には問題点があることなどをご紹介しました。
今回は、「人財」を中心に据えた経営を行なうには、どうしたら良いか、ケーススタディを取り上げます。
その前に、社員には「人財」「人材」「人在」「人罪」の4種類、さらに付け加えるならば、「人剤」(私の造語)があります。
言葉遊びではなく、不作為(対処すべき事柄に対し対処しないで放置すること)か無作為(対処すべき事柄ではないので対処しないこと)かは別として、企業は4種類ないし5種類に社員を選別してきたことは事実です。
5つの「ジンザイ」を簡単に説明します。
「人財」は、社員は会社の「財産」と見なされ、厚遇されます。
「人材」は、可もなく不可もなしの、「ごく普通の社員」です。
「人在」は、「ただ存在するだけの社員」です。成果を上げることが全くありません。
「人罪」は、「存在そのものが罪に当たる社員」です。会社に多大な損害や迷惑を及ぼしている社員です。
通常は解雇されるはずですが、オーナーや経営者一族とのつながりがある場合、簡単に解雇されることはありません。会社をじわりじわりと蝕む存在です。
「人剤」は、私の造語ですが、「剤」が示す通り、「クスリの役目をする社員」です。
どういうことかといいますと、クスリは本来、毒ですね。つまり、「毒をもって毒を制す」という存在です。
企業の陰の部分を受け持つ、実行部隊の一員です。
例えば、リストラ対象者をあぶりだすため、社員のスキャンダルを嗅ぎつけ経営者層に報告する役目も担っています。一言で言えば、社内スパイです。必要悪です。
劇薬でもあるので、取り扱いを一步間違えると企業は傾きます。
では、私はどの「ジンザイ」だったのか、あなたは興味をお持ちになったかもしれません。
自分では、「人財」だと思っていましたが、会社から見ると、私は、「人財」を除いた他の4つの「ジンザイ」のどれかに該当したのです。
異なる会社で、3度も汚いやり方で、リストラされたのですから、間違いありません。
それ以来、社畜や社奴には二度となりなくない、と心に固く誓いました。
私個人のことは、この際どうでもよいことです(苦笑)。
本題に入りましょう!
PART 3 今こそ、「人財」経営
イオングループのケース
さて、「人財」についてですが、イオングループでアルバイトから正社員になり、今春店長になった女性を取り上げています。
イオングループは約37万人が働いていて、その8割以上をパートやアルバイトが占めているそうです。30万人近くが非正規雇用労働者ということになります。
イオングループは、パートやアルバイトのやる気と能力を最大限に引き出すために、10年かけて正規と非正規の人事制度の統合に取り組んできたそうです。昨日や今日のことではないのですね。
今年(2014年)3月にイオン高萩店(茨城県高萩市)の店長になった下田かおりさん(35歳)について、日経ビジネスはどんな点に着目したのか、リポートを見ていくことにしましょう。
下田さんは2001年、埼玉県の店舗に時給制のアルバイトとして入社した。大学を中退して飲食店で“フリーター”として働いていたが、正社員になる道がなかなか見つからなかった。
そんな時、近所にあったイオンの店舗で求人票を見つけ、ギフトコーナーで働き始めた。
転機となったのは、2004年にイオンの総合スーパー部門のイオンリテールが正社員と非正規の人事制度を統合したこと。
2006年に勤務5年を超えた下田さんも、正社員の登用試験を受ける資格を得た。当時の店長に熱心な働きぶりを認められ、「試験を受けてみたら」と勧められ、筆記や面接に臨んで合格した。
pp. 034-035
運命の「出会い」があったのですね。
そして、チャンスをしっかり掴んだということです。
今読んでいる途中の『マキアヴェッリ語録』(塩野七生 新潮文庫 平成4年11月25日発行)に、次の一節があります。気づきがあります。
なにかを為したいと思う者は、まずなによりも先に、準備に専念することが必要だ。
機会の訪れを待っての準備開始では、もう遅い。幸運に微笑まれるより前に、準備は整えておかねばならない。
このことさえ怠りなくやっておけば、好機が訪れるやただちに、それをひっ捕まえてしまうこともできる。
好機というものは、すぐさま捕まえないと、逃げ去ってしまうものである。
―― 「戦略論」 ――
pp. 206-207
イオングループは現在どのような人事制度を採用しているのか、気にかかりました。下田さんのケースが例外であってはならない、と考えたからです。
「雇用を確保するための最後の “宝の山”がパートだ」。
イオンのグループ人事最高責任者の石塚幸男・執行役はこう強調する。
p. 035
「青い鳥症候群」に陥っていたのかもしれませんね。あるいは「灯台下暗し」だったのか。
コマツのケース
コマツは大型建機メーカーとして世界的に有名な企業です。
建機に無線で遠隔操作できるシステムをビルトインしていて、日本国内のコマツから海外にある建機が稼働しているかどうか確認できる、というスゴ技が保有しています。
稼働していなければ、現場の工事がはかどっていないことを意味します。そうすると、建機の代金の返済が滞るおそれがあると判断できるのです。
情報収集をして、対策を講じることができるのです。
そうしたコマツでは、非正規社員を多く雇ってきました。非正規社員の待遇で、他社との違いは明白です。
企業にとって都合の良い存在だからこそ、非正規社員に手厚いサポートを用意している。
まず、契約期間の途中解除は絶対にしない。
期間が満了したのに契約更新しない場合、再就職支援金を払う。職探しのための年休も付与する。労働者が最も困るのが、再就職活動中に新たな住居が決まらない場合だ。
こうした人に対しては、寮や社宅の使用延長も認めている。
p. 036
これだけ、配慮してくれれば、また機会があれば、コマツで働きたいと思うことでしょう。
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さらば使い捨て経営 「正社員化」だけでは解決しない 2014.05.19
「採用氷河期」が到来 備えはあるか
日経ビジネスは、特集記事の最後に「『採用氷河期』が到来 備えはあるか」と題して一石を投じています。
長年買い手市場であった採用状況が、確実に売り手市場に変化してきています。
日経ビジネスは、ドラマ『半沢直樹』のワンシーンで有名になった言葉(2013年流行語大賞の1つ)を使って、企業に厳しい意見を突きつけています。
使える正社員だけ厚遇し、いつでも契約を打ち切れる非正規社員を増やして人件費を抑制してきた。
そのツケは「超」が付く人手不足が時代に“倍返し”で払わされることになる。
p. 040
これから十数年先を概観すると、労働力人口は急激に減少していくことが確実な見通しです。
国立社会保障・人口問題研究所の「日本の将来推計人口(2012年1月推計)」によると、日本の労働人口(15歳以上の人口のうち就業者と完全失業者を合計)は2013年に6577万人。
ピークだった1977年の6787万人から16年間で210万人減少した。
厚生労働省の雇用政策研究会の推計によると、出生率などの条件がこのまま変わらなければ16年後の2030年には労働力人口が5683万人になる見通しだ。
2013年からさらに894万人も減る計算になる。
p. 040
![](https://assets.st-note.com/img/1686494282259-Cdz9oMvzyl.png)
さらば使い捨て経営 「正社員化」だけでは解決しない
2014.05.19
こうした見通しに、内閣府は解決策を今年3月に公表したそうです。その資料を読むと可能性は極めて低い、と言わざるを得ません。
出生率が回復し(2030年に合計特殊出生率が2.07まで上昇)、女性がスウェーデン並みに働き(30~49歳の女性の労働力率が85%)、そして高齢者が現在より5年長く働いたとすれば、2030年の労働力人口は6285万人を維持できる。
p. 041
さらに続けて、こう記しています。
ハードルが高い施策を3つとも成功させなければ、働く人の減少速度を緩められない。それほど日本の労働環境は切迫している。人口減少国家の宿命から逃れることは極めて難しいのだ。
p. 041
日経ビジネスは、次のように締めくくっています。
残された期間は少ない。貴重な「人財」を活かす経営に、本気で舵を切らなければ、企業の方が「使い捨て」にされるだけだ。
p. 041
あなたはもう安泰ですね。
売り手市場で生き残っていくことができるでしょう。
勝ち残っていけるかどうかは、あなたの努力と根性と運次第かもしれませんが……。
(参考 再掲)
ユニクロがパート・アルバイト1万6000人を正社員化するという発表を、今年3月に行いました。
詳しくは下記をご覧ください。
🔷編集後記
この特集記事(元記事)が公開されたのは、9年前のことで、アメブロでも9年前(2014-06-12 23:18:57)のものです。加筆修正してあります。
少子高齢化が進み、生産年齢人口(15歳以上65歳未満)は確実に減少すると予測されています。
つまり、人手不足が深刻になるということです。
しかし、本当に人手不足になるかについては疑問を抱いています。職種によっては人手不足になることはあるでしょう。
AIの進化によって、2040年ころにシンギュラリティ(技術的特異点=AIが頭脳を越える)が到来するという説が耳目を集めましたが、それどころかAIの進化は急激で2025年になると言い出す人まで出てきました。
2023年になり、生成AIのChatGPTが出現し、デスクワークはChatGPTに取って代わられ、事務職の多くは不要になるという極論を展開する人がいます。
プレゼンの原稿作成や図表の作成の依頼、長文の要約などをプロンプトに書き込むと、人が書くよりも優れた文章や図表を作成し、うまく要約してくれるからだという論調です。
私は、ちょっと違うと考えています。ChatGPTは万能なツールではありません。
なぜならChatGPTは「0 から 1」を生み出してはくれません。それをできるのは人間です。
現時点での話になりますが、AIは善悪の判断や予測や推測はできません。正確に言えば、そうしたことができないような設定になっているのです。
また、ビッグデータを収集し、分類し、質問に回答しますが、しばしば間違ったことを提示します。データがない場合にでっちあげてしまうことがあります。出所(出典元)を明示できなかったのです。
私は何度も経験しました。回答を真に受けてしまうと、私たちは間違ったままインプットしてしまうことになります。これは避けなければなりません。
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