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『ザ・プロフェッショナル』(22)

『ザ・プロフェッショナル』
21世紀をいかに生き抜くか
ダイヤモンド社 2005年9月29日 第1刷発行

<目次>

はじめに 予言は自己実現する

第1章「プロフェッショナリズム」の定義

第2章 先見する力

第3章 構想する力

第4章 議論する力

第5章 矛盾に適応する力


第2章 先見する力

「決して諦めないこと」。よく使われる言葉です。

問題は、どのくらい諦めずにひたむきに取り組むか、
ということです。

大前氏は、ナイキの創業者、フィル・ナイト氏の言葉を
引用して、次のように説明しています。

ナイキのフィル・ナイトが「レストランを開きたいと思っても、厨房で1日23時間働く覚悟がなかったら、やめたほうがいい」と言っているように、わき目もふらずその仕事に没頭できなければ、事業は成就しないのです。

「自分にはこれしかない」とひたすら邁進できるのも、その仕事が好きなればこそです。

そうしたこだわりを信念に高めていくことで、間違いなくビジネスの道は切り拓かれていきます。 

『ザ・プロフェッショナル』 p.80                          

  
ここまで徹底できる人は、そう多くいないでしょう。
ですから、そこまでする人は成功するのです。

ちなみに、大前氏は、かつてナイキ社の社外取締役に
就任していました。

諦めないということを試す企業があります。
ハンバーガーのフランチャイズ・チェーン、モスバーガーを
ご存じでしょう。

店舗を増やしていくことは、チェーン全体の売上増に直結
しますから、すぐにでもフランチャイジー(加盟店)になって
もらいたいところです。

ですが、モスバーガーは簡単には加盟店になることを認めません。

なぜでしょうか?

それは、加盟店になろうとする人の「本気度」を試すためです。

具体的には、実際に店舗で働いてもらって、例えば、店舗改善の
ためのリポートを定期的に書かせるそうです。

半年くらい続くそうです。

さらに、必ず夫婦ともに店舗で働くことを義務付けています。

夫婦共働きということは、子供が小さく、授業参観などの学校行事
があっても参加できない場合も出てきます。

それでも耐えられるのか、といったことを確認するそうです。

そこまで徹底しなければ、チェーン店が長続きしないからです。

「簡単に儲かりそうだから」とか「アルバイトを雇えば回っていく」、
といった安易な気持ちを断ち切らせるためなのです。


同様なことは、日本電産の創業者で会長兼最高経営責任者である
永守重信氏が次の言葉で簡潔に述べています。

「すぐやる、必ずやる、出来るまでやる」と。

そのエピソードをどうぞ。




問題の本質を見極め、自分の判断に最も近い考えをする社員に権限を持たせたのです

ソニーの盛田昭夫氏は好奇心の塊でした。

常に情報のアンテナを立て、関心を持つとだれかれかまわず質問攻めにして、納得するまで相手を放しませんでした。

そこから誕生した新製品は数知れません。

同じく松下幸之助氏も実に質問の上手な経営者でした。難しい意思決定に直面した時は、必ず3人以上の社員を呼んで「それはなぜか」と質問を繰り返したものです。

そうして問題の本質を見極め、自分の判断に最も近い考えをする社員に権限を持たせたのです

オムロン(旧立石電機)の創業者である立石一真氏は、人間は成長するという強い信念を持っていました。

「できません、と言うな。どうすればできるか工夫してみることだ」と語っているように、いかなる苦境にあろうとも成功するまではけっして諦めず、数々の発明で革新的な製品を夜に送り出しました。

『ザ・プロフェッショナル』 大前研一の名言 1 〈640〉            



盛田氏も、松下氏も、立石氏も、寝ても覚めても自分の会社、事業のことばかり考えていました

盛田氏も、松下氏も、立石氏も、寝ても覚めても自分の会社、事業のことばかり考えていました

事業を成功させるには、このように極端なまでのこだわりが必要です。

 『ザ・プロフェッショナル』 大前研一の名言 2 〈641〉             
                        
           

  

最後に戦略に魂を吹き込むのは人です

最後に戦略に魂を吹き込むのは人です

どんなに素晴らしいビジネスプランを描けても、そこに「必ず成功する」という強い信念がなければビジネスは成就しません。

地図も型紙もないジャングルでの戦いで、自分自身の意志以外に信じられるものはありません。

そして、意志ある人材を生むメカニズムこそが、経営のスタイルなのです。

企業組織もビジネスのプロセスも、経営課題における効果最大、リスク最少の解を見つけるなかで持続的に進化していきます。

『ザ・プロフェッショナル』 大前研一の名言 3 〈642〉            



地震発生から1週間 福島原発事故の現状と今後
(大前研一ライブ579) 2011/3/19収録





大前研一 × 堀江貴文 「日本のテクノロジー」対談(完全版) 2013/12/18

       
以上までの記事は、2015年1月2日 に投稿した内容です。
加筆修正した個所があります。


➳ 編集後記

『ザ・プロフェッショナル』という本について

『ザ・プロフェッショナル』 はプロフェッショナルとは何か、プロフェッショナルになるために必要な考え方や行動の仕方、さらに何を身に着けなければならないかについて書かれた本です。

一言でプロフェッショナルと言っても、業界や職種によって求められる資質は異なるかもしれませんが、そこには共通点があるはずです。

そのあたりにも着目してご覧ください。

🔴「ソニーの盛田昭夫氏は好奇心の塊でした」

盛田昭夫氏の著書に『21世紀へ』(盛田 昭夫 ワック 2000年11月21日 初版発行)があります。

この著作の中で、次のように語っています。「実行する勇気」について。

新しい、いいと思ったことは実行する勇気が必要である。ソニーはアイディアがいいといわれるが、じつはアイディアはそれほどずば抜けてよくはないのである。アイディアのいい人は世の中にたくさんあるが、いいと思ったアイディアを実行する勇気のある人は少ない。われわれはそれをがむしゃらにやるだけである。それはいい考えだとなったら、多少の無理はあってもいいから、それをいかにしてやるかを考える、それがソニーの方針である。そして、こういうことのできる人材をわれわれは開発している。企業間の流動性を高めるために、それぞれの経営者が、自分の持っている能力と権限を大いに活かし、それぞれのフィロソフィーにもとづいて広く人材の開発にあたってくださることを望んでやまない。

『21世紀へ』 pp.65-6                           


*盛田昭夫氏は2001年1月1日の21世紀の初日を迎えることはできませんでした。

1993年11月30日、盛田は早朝テニス中に脳内出血で倒れた。
(中略)
6年後の1999年10月3日、あの世に旅立った。盛田昭夫には「21世紀が見たい」との強烈な思いがあったに違いない。
(編集部)

『21世紀へ』 はじめに p.3  


                    




大前氏はプロフェッショナルの中のプロフェッショナルと断言できます。



✅ 大前氏は『ザ・プロフェッショナル』の中でプロフェッショナルという言葉が安易に使われていることに対する警鐘を鳴らしています。

プロ中のプロの大前氏の言葉だけに非常に説得力があります。

世間一般では、本業としてカネをを稼いでいる人がプロで、本業としてでなく、カネを稼ぐことが目的でない人がアマという分け方がありますが、大前氏の考え方ではそういうことではない、ということになります。

道なき道、ルールのない世界でも「洞察」と「判断」をもって組織を動かしていけるのがプロフェッショナルです。

『ザ・プロフェッショナル』                         

大前氏は、パスファインダー(pathfinder=探検者、開拓者)という言葉をよく使います。

次回以降も大前氏の考える「プロフェッショナル」の概念とプロフェッショナルを育成することの必要性等をお伝えしていきます。

下記に掲載した書籍も知的刺激を受ける名著です。
『大前研一 新・経済原論 世界経済は新しい舞台へ』

本書は2005年3月に米国で出版された The Next Global Stage ----- Challenges and Opportunities in Our Borderless World (Wharton School Publishingより刊行) の日本語への翻訳である。発売以来ドイツ、イタリア、スペイン、ポルトガル、中国、韓国、トルコ、アラビア、インドネシア、オランダなど世界の主要言語に訳されており、日本語版が最後となった。

大前研一 新・経済原論 世界経済は新しい舞台へ  吉良直人[訳]         
日本版へのまえがき p.v    

という本です。ページ数は全503ページという大書です。
ですが、濃い内容を平易な言葉で書き、具体例を豊富に掲載していますので、読みやすく理解しやすくなっています。訳者の力量も寄与していると思います。

大前氏のどの本でも知的刺激を受けますよ。
いずれの日にかこの本を取り上げることになるでしょう。

奥付を見ますと、次のようになっています。

2006年9月14日 第1刷発行
2006年11月1日 第3刷発行
東洋経済新報社
今読んでも全く古さを感じません。大前氏の考え方が先行し、時代が後からついてくると考えるのが、相応しいと思っています。




世界のメディアは大前研一氏を高く評価しています。

英国エコノミスト誌現代世界の思想的リーダーとしてアメリカにはピーター・ドラッカーやトム・ピータースが、アジアには大前研一がいるが、 ヨーロッパ大陸にはそれに匹敵するグールー(思想的指導者)がいない、と書いた。
同誌の1993年のグールー特集では世界のグールー17人の一人に、また1994年の特集では5人の中の一人として選ばれている。
2005年の<Thinkers50>でも、アジア人として唯一、 トップに名を連ねている。

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私が考える大前研一氏の考え方

🔶 大前氏は自分で考え出したことを自ら実践し、検証しています。仮説と検証を繰り返す行動の人です。

Think before you leap.(翔ぶ前に考えよ)という諺がありますが、Leap before you think.(考える前に翔べ)もあります。

あれこれ考えて、難しそうだからとか面倒くさそうだからやめようでは成長しません。
まず、やってみるという姿勢が大切です。


大前研一氏は、常に物事の本質を述べています。洞察力が素晴らしいと思います
私は、ハウツーものは、その内容がすぐに陳腐化するので読みません。


➔ 大前氏の言葉は、いつでも私たちが忘れがちな重要なことに気づかせてくれます。


🔶 大前研一氏と私は年齢がちょうど一回り(12歳)離れています。

しかし、その年齢以上に遥かに頭の中身と行動力に差がある、と大前氏の著作を読むたびに痛感します。

構想力、コンサルタント力、提案力、実行力……。

どれをとっても私が及ぶようなものは何一つありません。

それでも、いや、だからこそ大前氏の著作やメルマガを通じ、大前氏の考え方を素直に受け入れることにしているのです。

時には、かなり厳しい表現も見受けられますが、それは大前氏がそれだけ真剣に物事を考え、モノマネではなくオリジナルな提案をし、自ら実行しているからです。

そうした姿勢をいつも背中から見ていて、頼もしく感じ、(勝手に)この人に師事し、グールー(思想的指導者)と仰いでいるのです



🔶 大前研一氏と私とは年齢が一回り違います。大前氏は1943年2月21日生まれで、私は1955年6月30日生まれです。
大前氏は、私にとってはメンター(師匠)でもあります。もちろん私が勝手にそう思っているだけです。


🔶 大前氏は評論家ではありません。言うだけで自分では何もしない人ではありません。大前氏は行動する人です。だから大前氏の提言は説得力があるのです。


大前研一オフィシャルウェブ

このウェブサイトを見ると、大前氏の出版物一覧を見ることができます。
私は、大前氏の全出版物の半分も読んでいませんが、今後も読んでいくつもりです。
⭐ 出典元: 大前研一 オフィシャルウェブ



大前氏は1995年の都知事選に敗戦後、『大前研一 敗戦記』を上梓しました。




🖊 大前氏の著作を読むと、いつも知的刺激を受けます。
数十年前に出版された本であっても、大前氏の先見の明や慧眼に驚かされます。

『企業参謀』(1985/10/8 講談社という本に出会ったとき、日本にもこんなに凄い人がいるのか、と驚嘆、感嘆したものです。

それ以降、大前氏の著作を数多く読みました。

『企業参謀』が好評であったため、『続・企業参謀』(‎ 1986/2/7 講談社が出版され、その後合本版『企業参謀―戦略的思考とはなにか』(1999/11/9 プレジデント社)も出版されました。




🔶 大前氏は経営コンサルタントとしても超一流でしたが、アドバイスするだけの人ではありませんでした。自ら実践する人です。有言実行の人です。起業し、東京証券取引所に上場しています。現在は代表取締役会長です。


大前氏の本には、ものの見方、考え方を理解する上で重要な部分が多くあります。大前氏の真意を深く考えなくてはなりませんね。

この元記事は7年前にFC2ブログで書きました(2015-01-02 19:48)。
「新・大前研一名言集(改)」はかなりの量になりました。
私にとっては、いわばレガシィです。

その記事に加筆修正を施し、再編集しました。


✑ 大前研一氏の略歴

大前 研一(おおまえ けんいち、1943年2月21日 - )は、日本経営コンサルタント起業家マサチューセッツ工科大学博士マッキンゼー日本支社長を経て、カリフォルニア大学ロサンゼルス校公共政策大学院教授やスタンフォード大学経営大学院客員教授を歴任。
現在、ビジネス・ブレークスルー大学学長、韓国梨花女子大学国際大学院名誉教授、高麗大学名誉客員教授、(株)大前・アンド・アソシエーツ創業者兼取締役、株式会社ビジネス・ブレークスルー代表取締役社長等を務める。 (Wikipedia から)


大前研一氏の略歴補足

大前氏は日立製作所に勤務時、高速増殖炉もんじゅの設計を担当していましたが、原発の危険性を強く感じていたそうです。

その後、世界一の経営コンサルティングファームのマッキンゼーに転職。
マッキンゼー本社の常務、マッキンゼー・ジャパン代表を歴任。

都知事選に出馬しましたが、まったく選挙活動をしなかった青島幸男氏に敗れたことを機に、政治の世界で活躍することをキッパリ諦め、社会人のための教育機関を立ち上げました。BBT(ビジネス・ブレークスルー)を東京証券取引所に上場させました。

大前氏の書籍は、日本語と英語で出版されていて、米国の大学でテキストとして使われている書籍もあるそうです。



⭐ 今までにご紹介してきた書籍です。

















⭐ 私のマガジン (2022.10.25現在)






















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