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盛田昭夫 『21世紀へ』(013)

盛田昭夫 『21世紀へ』(013)

盛田さんの著書『学歴無用論』をタイトルだけで判断し、誤解する人たちが多かったようです。

学歴以外に、学校歴という表現がありました。○○大学(□□学部)以外には採用しない、という企業が、私が就活した35~6年前には存在しました。
学校閥を社内で維持するためでした。

今から考えてみると、くだらないことです。
同じような発想しかできない学生を大量に採用し、会社の理念を叩き込むにはそれなりに機能していました。

人と違う発想を認めない、画一的な人間を作り出してきた、と言えるでしょう。

現在は、人と違う発想をする人、ある意味でオタクな人が、社会を変革していくかもしれません。

人と違うことはデメリットではなく、メリットであるという、考え方がもっと広まっていくとよいと思います。

あなたはどう思いますか?


『21世紀へ』 盛田昭夫
2000年11月21日 初版発行
ワック

目次

はじめに

第1章 経営の原則

第2章 人材の条件

第3章 マーケットの創造

第4章 国際化への試練

第5章 経済活性化の原理

第6章 日米関係への提言

第7章 変革への勇気

第8章 日本国家への期待

第9章 新世界経済秩序の構築

あとがき



第2章 人材の条件

「こんな社員は願い下げだ」(1966年)から


戦後に育った人たちのポジティブな、またアグレッシブ(積極性)な性格を私は高く評価したい

 残念なことだが、どうも日本人は否定的な面を見るのが好きなように思える。それも、哀れさがお好きな国民性の所産なのかもしれない。その点、戦後に育った人たちのポジティブな、またアグレッシブ(積極性)な性格を私は高く評価したい。
 だから、入社試験の面接で、私は”暗い感じ”の人をまず除外する。そんな人がソニーに入ってきたら、それこそ大変だ。私は、うちの会社は楽天主義者の集団だと自負している。

21世紀へ 盛田昭夫 037 pp. 69-70 



ソニーでは入社したら学歴はいっさい無視する。といって、学歴否定を学問否定と混同されては立つ瀬がない

 ソニーでは入社したら学歴はいっさい無視する。といって、学歴否定を学問否定と混同されては立つ瀬がない。入社後の講習は、みっちりと用意してある。文科系には理科系の、理科系には文科系の知識を詰め込む。高度な語学力も要求している。
 断るまでもないが、会社は学者を養成する機関ではない。知識といっても、あくまでも会社の ”欲” を実現するための道具を備えさせるのが目的である。 "雑学" の強さといってもよいと思う。

21世紀へ 盛田昭夫 038  p.70 



友人の一人と語らって、文学から産業構造にいたるまでの本を片っぱしから読みあさり、研究室の連中に吹聴したものだ。
会社をつくってから、何か具体的な立案をするときに、この ”雑学” が大いに役立った

 私自身にも経験がある。大学で物理学研究室にいたころ、ある日ふと思いついたことがある。
「こうやって物理学の研究をしているが、偉い学者は、世界といわず日本にも数多くいるではないか。どうせなら、物理学以外のことをなんでもいいから詰め込んでみよう」
 そこで、友人の一人と語らって、文学から産業構造にいたるまでの本を片っぱしから読みあさり、研究室の連中に吹聴したものだ。
「物理学以外のことなら、なんでもいいから聞きにこい」
 その後、会社をつくってから、何か具体的な立案をするときに、この ”雑学” が大いに役立った。

21世紀へ 盛田昭夫 039  pp. 70-71 



盛田昭夫公式ウェブサイト




➳ 編集後記

『21世紀へ』を読み返して感じたこと

『21世紀へ』は、20世紀を全力で走り抜けてきた盛田さんが、このままでは日本がダメになるという危機感に、すべての日本人が気付いてほしいという悲痛な気持ちが伝わってくる本です。

盛田さんの「予言」はいみじくも当たってしまいました。
少なくとも現状においてですが。

この警世の書に書かれていることの多くが当たっています。
盛田さんの慧眼は本当に素晴らしいと思いました。

アマゾンや楽天でなくても、ブックオフ等で目にしましたら、ぜひ手に入れてください。なかなか見つからないかもしれませんが。

その内容の濃さと経験に裏打ちされた説得力のある文章に惹きつけられることでしょう。



🔴「会社は学者を養成する機関ではない。知識といっても、あくまでも会社の ”欲” を実現するための道具を備えさせるのが目的である。 "雑学" の強さといってもよいと思う

企業で働く人は、知識が豊富にあっても、その知識を使って具体的な "形" にすることができなければ役に立たない、と盛田さんは言っていると解釈しました。

学者は研究し、その成果を論文に書くことに専念すればよいかもしれませんが、企業人は常に会社に利益をもたらすことを考え、行動しなくてはなりません。自分の考え方や行動が、企業が進むべき方向と一致していることが重要です。ベクトルを合わせることが大切です。

自分のやりたいようにしたいのであれば、起業するなり、フリーランスで働くという選択肢があります。責任はすべて自分にのしかかってきます。その重圧に耐えられる人だけが生きられる世界だと、私は考えています。



盛田さんは、一点の曇りもなく、自分に正直で、言行一致した行動派の経営者でした。また、今ではなかなか見つからないダンディなジェントルマンでもありました。表現がダサい? 古い?



⭐ソニーの現状 (ソニーグループの子会社)



ソニーを日本企業とは知らない人たちがいることに驚きました。

ここ数十年で業態を変えてきたことは、世の中の変化に素早く対応できることを示しています。

ソニーは「エレクトロニクス・プロダクツ&ソリューション分野」を扱う企業ということになりますが、半導体も生産していますし、得意な映像技術を深掘りしています。映画部門も持っていますね。

極論すれば、音と映像を2本柱にして、これらに関わる技術を開発し、横展開していると言えます。

ただし、ウォークマンが大ヒットしたあと、アップルの iPhone のようなスマートフォンがなぜ作れなかったのかと悔やまれます。技術力はあったはずです。目利きが及ばなかったのでしょう。

スマホがここまで世界中に受け入れられるとは想像していなかったのかもしれません。



⭐『21世紀へ』について

『21世紀へ』に関するこのブログを最初に投稿したのは、アメブロで9年前(2014-07-10 20:47:46)のことでした。

note に再投稿するにあたって、大幅に加筆修正しました。

『21世紀へ』の「はじめに」の1行目から2行目にワック編集部による
この本の説明が書かれています。

本書は、井深大と並ぶソニー株式会社のファウンダー(創業者)盛田昭夫によって、1960年代から90年代にかけて執筆された論文の集大成である。

21世紀へ 盛田昭夫 p.1  



ソニーは日本を代表する世界的企業であることに異論はありません。



✑ 盛田昭夫氏の略歴

巻末の「著者紹介」から

盛田昭夫(もりた あきお)
ソニー創業者。1921年生まれ。大阪大学理学部卒業。
海軍技術中尉に任官し、井深大と出会う。
46年、井深とともにソニーの前身、東京通信工業を設立。
ソニー社長、会長を経て、ファウンダー・名誉会長。
この間、日米賢人会議メンバー、経団連副会長等を歴任。
海外の政財界にも幅広い人脈をもち、日本の顔として活躍した。
98年米タイム誌の「20世紀の20人」に日本人として唯一選ばれる。
99年死去、享年78。
著書に『学歴無用論』(朝日文庫)『新実力主義』(文藝春秋)
『MADE IN JAPAN』(共著、朝日文庫)『「NO」と言える日本』
(共著、光文社)等がある。


⭐出典元



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藤巻 隆
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