【回想録 由美子のいなくなった夏 亡き最愛の妻への想い 第73回】
🔷 「後悔の念」の「やって後悔する方が、やらずに後悔するよりずっといい」を掲載します。🔷
『由美子のいなくなった夏 亡き最愛の妻への想い』
(ハードカバー 四六版 モノクロ264ページ)
2016年1月25日 発行
著者 藤巻 隆
発行所 ブイツーソリューション
✍『由美子のいなくなった夏 亡き最愛の妻への想い』(第73回)✍
後悔の念
やって後悔する方が、やらずに後悔するよりずっといい
私の考え方の一つに、やって後悔する方が、やらずに後悔するよりずっといいというものがあります。
どちらも後悔することでは同じですが、やった場合には失敗することもありますが、成功することもあります。
一方、やらなかった場合には失敗することはありませんが、成功することもありません。だから、チャレンジしたほうがいいという考え方です。経験した者には敵(かな)いません。多くの失敗をした経験がある人は、過去にチャレンジしてきたからです。失敗の数はその人の勲章です。
私のような考え方をする人は他にもいるかもしれません。
驚いたことに、全く同じ考え方をした人が六○○年くらい前にいたのです。『ローマ人の物語』の著者、塩野七生さんの『マキアヴェッリ語録』(新潮文庫 平成四年十一月二十五日 発行 平成八年十二月二十日 十三刷)に次の一節があります。
「きみには、次のことしか言えない。
ボッカッチョが『デカメロン』の中で言っているように、
『やった後で後悔するほうが、やらないことで後悔するよりもずっとましだ』
という一句だ」
(前掲書 二四二ページ 原文のまま)
マキアヴェッリは十六世紀の人物ですが、ボッカッチョが執筆した『デカメロン』は更に古く、一三五一年だそうです。つまり十四世紀です。今は二十一世紀ですね。つまり七〇〇年くらいでは、人間の本質的な考え方は変わらないという好例です。
由美子が入院してからこの言葉を反芻し、自分のできる精一杯のことをしようと覚悟を決めました。残念ながら不十分であったと認めざるを得ません。もっと他の方法があったのではないかと悔やんでいます。
最後の最後で、「やって後悔する方が、やらずに後悔するよりずっといい」という考え方を徹底することができませんでした。悔しいと言うより、自分が情けないという気持ちで一杯です。「超高濃度ビタミンC点滴療法」などの免疫療法もその選択肢の一つでした。
もちろん、そうした医療が著効をもたらすという保証はありません。確かにそうですが、試みる価値はあったのではないか、という気持ちがいつまでもくすぶり続けています。
治療法の最終的な選択は、由美子本人に委ねました。主治医、主任看護師、由美子そして私の四人が揃った病室で、私は「本人の意思を最優先させたいと思います」とはっきり述べました。由美子は、しばらく考えた後、主治医に「先生にお任せします」と意思表示しました。
主治医と主任看護師が病室を後にしてから、由美子に訊ねたところ、「信頼できそうな先生だったから」と答えました。
(PP.190-192)
➳ 編集後記
第73回は「後悔の念」の「やって後悔する方が、やらずに後悔するよりずっといい」を書きました。
病に苦しんだ由美子に何もしてあげられなかったことに悔しい気持ちが一杯です。
♯夢で逢えたら
今、鈴木雅之さんのLIVE動画をYouTubeで観ています。
この中で、私が特別な想いがある『夢で逢えたら』が歌われました。
泣けてきました!
【LIVE】鈴木雅之<masayuki suzuki taste of martini tour 2016 step1.2.3 ~ dolce Lovers ~>(後編)