
相続ショックどうする? あなたを襲う「負の資産」 2013.10.21 #28 2014-03-17 21:26:39
【『日経ビジネス』の特集記事 】 #28 初出 2014-03-17 21:26:39 <バックナンバー>
⭐『日経ビジネス』の特集記事から、私が特に関心を持った個所や重要と考えた個所を抜粋しました。
⭐ 当面は、Ameba(アメブロ)に投稿していた記事を再編集し、加筆修正し、新たな情報を加味し、「バックナンバー」と表示し投稿します。
⭐ 1つのテーマについて複数回投稿している場合(ほとんどが該当します)には、1つにまとめて投稿します。タイトルの後の日付は雑誌の発行日で、最後の日付は投稿日を表わしています。
⭐ 一方、新規で投稿した記事については、異なる壁紙を用意し、本文内に「タイトル」と「雑誌発行年月日」を表示します。
再投稿することにした経緯
再編集して再投稿することにした理由は、次のとおりです。
自分が当時どんな記事に興味があり、どのような考え方をしていたのかを知りたいと思ったからです。
当時の自分を振り返ることで、当時と現在で考え方は変わったか否か、あるいは成長しているかを確認したいと思いました。
記事データは当然古くなっていますが、本質的な部分は必ずあるはずで、しかも普遍性があります。その個所を再度学んでみたかったのです。
さらに言えば、『日経ビジネス』のバックナンバーをご紹介することで、この記事に目を通していただいたあなたに何らかの有益なヒントを提供することができるかもしれない、と考えたからです。
「私にとって、noteは大切なアーカイブ(記録保管場所)です。人生の一部と言い換えても良いもの」だからでもあります。
(プロフィールから)
2022年7月29日現在、週刊誌『日経ビジネス』を購読していませんが、新たに電子版セット(雑誌+電子版)を「らくらく購読コース」で今年の9月以降に定期購読する予定です。
日経ビジネスの特集記事 #28
相続ショックどうする? あなたを襲う「負の資産」 2013.10.21 1/3 2014-03-17 21:26:39
<このページでは、『日経ビジネス』の特集記事の概要紹介と、管理人のコメントを掲載しています>
日経ビジネスは2013年2月4日発行の特集記事で、「庶民が相続税を払う日」を詳細に述べました。
相続税が庶民を直撃する、切実な問題と指摘しました。
ところが、特集を終えた後、日経ビジネス取材班は、「相続の本当の恐ろしさ」に気づくことになったそうです。
それがもとで、今回の特集記事でもう一度、相続問題を扱うことになったということです。
親の危ない遺産10
日経ビジネスは、「親の遺産3大不良債権はこれ!」として、次の資産をあげています。
(1)賃貸用アパート
(2)空き家になった田舎の実家
(3)共有名義の不動産
すべて不動産絡みですね。
この3大不良債権を含めて、「親の危ない遺産10」を列挙します。
1 賃貸用アパート
2 境界線が曖昧な土地
3 空き家になった田舎の実家
4 共有名義の不動産
5 未相続の山林や土地
6 分散した自社株
7 墓
8 借金
9 愛人と隠し子
10 兄弟がニート
初回は、このうち、1 賃貸用アパート から 5 未相続の山林や土地 までを取り上げます。
1 賃貸用アパート
愛知県・黒笹駅前でワンルームアパートを経営するAさんのケース――
名古屋駅から電車で1時間の場所にあった、愛知大学おキャンパスが2012年に、名古屋駅徒歩10分の新設地へ移転。
約3500人が三好キャンパスに通っていたが、そのすべてが移転と同時に街から消えたと、いいます。
Aさんが経営するアパートの、1部屋当たりの賃料は「8畳バストイレ別」で月4万9000円。
ところが、愛知大学の移転と同時に、入居者の半数が退去。
空室を埋めるために、賃貸料を4000円下げたが、大学撤退から1年半が経つが、まだ5戸が空室のままだそうです。
今、愛知大学と同様に、「キャンパスの都心回帰」が全国で相次いでいるそうです。
2000年に入り、国が大学用地の取得規制を緩和。
少子化と大学全入時代を迎え、辺鄙(へんぴ)なキャンパスのままでは競争力を失うことに危機感抱いた大学が都心に回帰している。
愛知大学も時代の流れに逆らえなかった。
ちなみに、母校・青山学院大学の相模原キャンパスも2013年に渋谷に移転しています。
日経ビジネスは、賃貸用アパートについて、次のように説いています。
相続時のトラブル回避のために行った節税対策が、完全に裏目に出る。アパート大家の悲哀が、相次いでいる。
2 境界線が曖昧な土地
5年前、亡くなった父親から千葉県内の実家の土地と建物を相続したBさん(63歳)のケース――
定年を機に地方移転を決意。知人に土地と建物を売却しようとして、専門家に測量を依頼したら、「隣のZさん宅との境界線が不明瞭」と指摘されたといいます。
Zさんに境界線の話を持ち出すと、強硬な態度に出られ、それまでの良好な関係は崩壊したということです。
こうしたケースは例外ではないそうです。
「都心のオフィスビル街でも、何代も続く地主の土地だったりすると、境界が明確でなく、隣とのトラブルになるケースはいくらもある」とは、都内で土地家屋調査士事務所を営む坂上広氏。
トラブルの長期化で、業務が滞ることもしばしばだという。
さらに、坂上氏はこう指摘しています。
30年以上売買が行われていない物件は、境界線が曖昧なまま放置されている可能性が高い。
やはり、土地を取得した時の経緯や当時の利用状況を知る、被相続人が存命中にはっきりさせておくに越したことはない。
事情が分からない相続人同士の争いは本当に不毛だと思う。
決して、他人事ではないと実感するのではないでしょうか?
3 空き家になった田舎の実家
母親の死後空き家になった、群馬県内の実家を相続したCさん(57歳)のケース――
半年に1回、盆と暮れには墓参りに帰郷して掃除していたものの老朽化が進み、2年経ち、隣家からクレームが入るようになった、といいます。
「ネズミの巣窟になっている」
「地元の中学生が花火をしてボヤ騒ぎになった」など。
市役所に寄付を持ちかけたがやんわり断られたそうです。八方塞がりとなり、相続したことを心から後悔しているといいます。
空き家の実態はどうなっているでしょうか?
総務省の調査によると、全国の空き家総数は2008年現在で756万8000戸。30年前の3倍近い数字だ。
空き家となった理由の過半を占めるのが「居住者の死亡や相続人不存在による管理不全」、そして「所有者が遠方にいて定期的な管理が不能」というCさんのようなケース。
空き家の総数は、想像を超える数でしたね。
こんなに多いとは……。
4 共有名義の不動産
共有名義で不動産を相続したDさん(45歳)のケース――
相続税の申告期限は原則として、被相続人の死亡から10カ月で、長いようで意外に短いですね。
D家は亡くなった父親の代で20筆もの土地を所有していたそうです。
父親は交通事故死で遺言もなかったため、兄、姉、Dさんの3人で「共有名義」で相続しました。
1年後、兄の経営するレストランが食中毒事故を起こし、営業停止処分となりました。
近くにライバル店が出店し得意客を奪われたため、父から相続した遺産で大幅なリニューアルに踏み切った矢先のことだったそうです。
レストランはたちまち運転資金に行き詰まり、土地を売るしか打つ手がないところまで、追い詰められたといいます。
ところが、これには姉が強硬に反対したそうです。
切羽詰まった兄は、最も条件のいい1筆の持ち分権利をたちの悪い不動産業者に売り渡してしまったのです。そのせいで、姉とDさんも当該土地の所有権を手放さざるを得なかったそうです。
共有名義について松本飯塚税理士法人代表社員税理士の飯塚美幸氏は、こう語っています。
「共有名義は、共に憂うの“共憂”名義」
Dさんに重くのしかかるのは、税金です。
日経ビジネス取材班は、このように警鐘を鳴らしています。
自分のことではないとは思っても、もし同様な境遇に置かれたらどうしたらいいのか、
頭を抱えてしまうかもしれません。
原則だが、Dさんが兄と姉を説得し晴れて共有物分割(共有名義の解消)をすることになったとしても、そのたびに登録免許税が課税され、D兄弟のケースではその総額が8ケタに上るという。
安易に共有名義を選択した代償は、かくも大きいものなのだ。
2015年9月には、2014年4月に続いて消費税増税が予定されています。
さらに、2015年からは相続税の非課税枠が縮小されることで、納税者が大幅に増えることが予想されています。
5 未相続の山林や土地
3年前に父親を亡くした後も、母親と2人で実家に住んでいたが、昨年土地の名義を変更しようとした時、思わぬことを知ることになったEさんのケース――
2つの事実に愕然としたそうです。
1つは、父親の名義だと思っていた土地は、祖父の名義のままだったこと。
もう1つは、父親に、Eさんを含め5人の子供がいたことでした。
父親は2度の離婚歴があり、最初の結婚で1人、2度目の結婚で3人の子をもうけていたのです。
母親は2度目の結婚と子供のことは聞かされていたそうです。
3人の「兄弟」の1人に連絡を取ると、父親が亡くなった直後にある程度の金銭を渡していたことがわかり、3人とも了承してくれたそうです。
ところが、母親は、最初の結婚について初耳だったそうです。
Eさんは探偵を雇って調べたところ、長姉は「自分は父に捨てられた」という強い感情を持っていたため、話が難航し、結局200万円支払うことで決着したそうです。
名義を変更するには、法定相続人全員の同意が必要です。その時に、見知らぬ相続人が出現すると、収拾がつかないことにもなりかねません。
国土交通省は、相続人がいない場合の財産処分の事件件数が、2050年には今の4倍の約4万5000件に達すると予想。今後も所有者不明の土地は増加すると見込んでいる。
背筋が寒くなるような話ですね。
相続とは富裕層の人たちだけの話か、と思っていました。2013年2月4日号を読んだ時も、まだ所詮お金持ちだけの問題に過ぎない、と軽く考えていました。
しかし、今号の特集記事を読んで、他人事ではないと実感しました。
次回は、6 分散した自社株 から 10 兄弟がニートまでと、「のれん」相続の悲哀ほかをお伝えします。
日経ビジネスの特集記事 #28
相続ショックどうする? あなたを襲う「負の資産」 2013.10.21 2/3 2014-03-17 21:50:32
<このページでは、『日経ビジネス』の特集記事の概要紹介と、管理人のコメントを掲載しています>
親の危ない遺産10
初めに、「親の初めに危ない遺産10」を再度掲載します。
前回お伝えした5つの危ない遺産だけでも、恐怖感は尋常ではなかったと思います。
1 賃貸用アパート
2 境界線が曖昧な土地
3 空き家になった田舎の実家
4 共有名義の不動産
5 未相続の山林や土地
6 分散した自社株
7 墓
8 借金
9 愛人と隠し子
10 兄弟がニート
このうち残りの、6 分散した自社株 から 10 兄弟がニート を取り上げます。
6 分散した自社株
70年続いた煎餅屋が兄弟間の相続トラブルが原因で、取締役を解任され、尽力してきた煎餅屋を廃業されそうなFさん(48歳)のケース――
「同族企業の事業継承は、一筋縄ではいかないケースが多い」(P.35)と日経ビジネスは指摘しています。
祖父は15年前に他界し、祖母が社長を務めていたいたそうです。その長男であるFさんの父親が社長を継ぐ予定になっていました。
2年前の秋、父親が亡くなった翌月に祖母が後を追うように帰らぬ人となったのです。
残された5人の兄弟が法定相続人となりました。
祖母が100%保有していた自社株を5人で20%ずつ均等配分し、長男が社長、ほかの4人が取締役に就いたといいます。
煎餅屋の実務は、Fさんと母親が引き続き取り仕切ることになったのです。
ところが、独立心旺盛な兄弟たちが事業に失敗すると、次女、次男、三男が結託し、社長である長男を取り込み、取締役会でFさんの解任を決議しました。
3人には切羽詰まった事情があったのです。
次男は運送業の経営に行き詰まり、三男は株の運用に失敗し、次女はアパート経営でローン返済に苦しんでいたのです。
3人は煎餅屋を廃業して資産を売却することを検討しているそうです。取締役を解任された、Fさんはどうしようもありません。
「事実は小説より奇なり」といいますが、このケースは特に、そう感じます。
「自社株の分散による事業継承のトラブルは、決して珍しくない」(P.35)と日経ビジネスは指摘しています。
7 墓
実兄が両親の墓の権利証を持ったまま、音信不通になり、困り果てているGさん(55歳)のケース――
5年前に父が亡くなった際、不動産を売却し、売却金額を兄と半分ずつに分けました。
ここまでは平穏な相続でした。
ところが、兄が墓の権利証を持ったまま音信不通になり、兄に代わって墓地を相続しないGさんが墓地管理料と位牌の預かり代を2年分、立て替えているそうです。
「カネの相続ではもめなかったが、まさか、墓を巡って兄弟間に亀裂が入るとは思いもよらなかった」とGさんは嘆いている。
8 借金
義母が連帯保証人だったため、相続放棄を決めたHさん(57歳)のケース――
昨年義母をなくしたHさん。悲しみにくれる妻に、1通の督促はがきが届いたそうです。
そのはがきによれば、義母が親戚の連帯保証人になっていて、800万円の債務支払義務が発生しているというのです。
実は、義母が連帯保証人になっているという話は、亡くなる10年前に妻から聞いてはいたそうです。
親戚の質屋が倒産し、義母が土地と家を売って借金を肩代わりしていたのです。
福岡市内の一等地にあった土地と家は、合わせて1億円近くになったということですが、そのほとんどを返済に充てたといいます。
Hさんは「それで解決したと思っていた」そうです。
800万円の督促に最も驚いたのは、Hさんの義姉でした。義姉は脳梗塞を患っていて、下半身麻痺の生活を長い間、余儀なくされていたそうです。
身寄りのない義姉は、これ以上新たな負債が出てきたら自分にはどうしようもない――。
そんな義姉の気持ちを慮り、“全会一致”で相続放棄を決めたそうです。
相続放棄にはどのような手続きが必要なのでしょうか?
相続放棄には、被相続人の出生から死亡までの連続した除籍謄本や放棄する人の戸籍謄本が必要。
Hさんには、やりきれない気持ちがありました。
1人で相続放棄の手続きを終えた後、親戚は「葬式で私たちがかぶった負債について、おわびの一つもなかった」のです。
本人でなくても、気が滅入る話ですね。
9 愛人と隠し子
父親が亡くなった後4年間にわたり、父親の女性関係の整理をする羽目になった
Iさん(50歳)のケース――
今年9月4日、今後遺産相続に大きな影響を及ぼしそうな最高裁の判断が下されました。
結婚していない男女間に生まれた婚外子(非嫡出子)の遺産相続に関して、相続分を法律婚の子(嫡出子)の半分とする民法の規定について、最高裁が違憲判断を示した。
つまり、法の下の平等に反して違憲である、と初めて最高裁が認めたのです。
父親が亡くなる10年前に母親が亡くなったそうです。その直後から父親より16歳年下の飲食店経営の女性が父親の家に出入りするようになったそうです。
父親が亡くなった後、その女性は豹変したといいます。
突然、Iさんに内容証明郵便が届きました。
見ると、父親が残した建物、土地をすべて渡せという内容だったのです。
遺言状を確認したところ、父親が経営するマンションに永久に住まわせること、マン
ションの家賃収入を月々10万円支払うこと、などが記されていたそうです。
さらに驚いたことは、父親が保有していると思われた現金はほとんどなくなっていた
ことでした。
手厚い年金、家賃収入、母親が生前自ら立ち上げた事業経営で得た現金を合わせ、1億円近く残されていると思っていた現金は、ほぼゼロだったのです。
現預金は愛人との海外旅行、高級ブランドバッグなどへ回されていたのでした。
さらに、父親の自宅にあったものは、すべて勝手に処分されていました。
結局、母親名義で残しておいた実家の土地と建物を売却し、愛人に多額の現金を支払う羽目になった。
ふてぶてしい愛人と、愛人に溺れた父親の無責任さがもたらした悲劇でした。
救いようがない話ですね。
10 兄弟がニート
税理士の田村康彦氏(仮名)が、巻き込まれた兄弟間の遺産相続トラブル
長男の嫁は、5年前のことを思い出していたそうです。
3兄弟の父親が亡くなり、遺産として、現金4000万円と、複数のアパートと土地が残されました。
4000万円を兄弟で分けたが、土地と建物でもめたそうです。この時、相談を受けたのが税理士の田村氏だったのです。
長男の嫁の主張は「5つあるアパートと土地は、長男がすべて相続すべき」。
実は、次男と三男は「ニート」だったのです。
親に家まで建ててもらい、実家のすぐ隣に住んでいたのです。
長男の嫁の気持ちは、このようなものでした。
両親の亡き後、次男と三男の“世話”をする羽目になると思うと、両親が残した資産はある程度もらっておきたいというのが、長男の嫁の偽らざる気持ちだった。
次男と三男は家族会議に出席しても、全くと言っていいほど会話をしないことに、税理士の田村氏は頭を悩ませていました。
様々な提案をしても反応はなし。
結局、長男は、兄弟を見捨てる訳にはいかないと、「はんこ代」として、次男と三男に2000万円超のお金を用意したそうです。
アパートと土地は長男が引き継ぐということで嫁の理解を得、次男と三男にまとまったカネを渡して問題解決ができたはずでした。
そして5年後、長男の嫁が恐れていたことが起こったのです。もらった2000万円を使い果たした次男が、長男に泣きついてきたそうです。
その家族会議に、田村氏が呼び出されたのです。
結局、借用書とともに長男は100万円を次男に貸し付けたのです。そのカネが戻ってくる当てはないのですが。
「のれん」相続の悲哀
開業医は、傍目から見ると、収入は多いし、税制面でも優遇され、土日祝日は休診日で、1日の開院時間も短く、羨ましい、と思ったことはありませんか?
私は、ずっとそう思っていました。
ところが、日経ビジネスの特集記事を読むと、開業医には開業医なりの悩みがあることが分かりました。
足腰が急激に弱まり、引退を決意した、静岡市の開業医、Xさん(80歳)のケース――
自宅兼診療所の継承者は、大学病院で内科医を務める長男(52歳)でした。
Xさんにはほかに2人の娘がいました。
2人は主婦で医師免許は所有していません。
元日に親子が揃ったタイミングで、Xさんは3人の子供の相続の話し合いを持ったそうです。
自宅と病院設備は長男が継承者として相続。
Xさんの預貯金は兄妹で3等分することになりました。
預貯金額は3000万円。妹たちは、「医者だったのに、そんなもの?」と愕然としたそうです。
長男が私立大学医学部に入学し、巨額の教育費がかかったことや、医療設備投資の回収に長年月を費やしたためでした。
さらに追い打ちをかけるような事実に、直面したそうです。
税理士に相談すると、土地の評価額が予想以上に高く、預貯金から相続税を差し引くと、手元に資産がほとんど残らないことが判明したのです。
娘たちは納得できません。長男に土地と建物を持っていかれた上に、自分たちの遺産の取り分はほぼゼロという想定外の出来事です。
「兄を一人前の医師にするために私立医大に行かせ、その教育費は1億円に上るのだから、私たちも最低1億円もらう」。
妹たちの言い分は、「兄がこれまで特別受益を受けており、相続時に相殺されてしかるべき」。
相続税制上、特別受益は生前贈与と見なされる。
お金が絡むと、兄弟は血が濃いだけに骨肉の争いに発展しかねませんね。
生活に四苦八苦している子供兄弟がいる一方で、地方にまだ残っている、昔からのしきたりで、長男に多くの遺産を残すという考え方は早晩、崩れるかもしれません。
安倍首相は、「景気が上向いてきた」とさかんに喧伝していますが、我々庶民は全く実感がありません。
それだけに遺産相続となると、エゴむき出しの様相を呈することにもなるのかもしれません。
庶民には関係ないと思われていた遺産相続が、資産家だけの問題ではないことが、よくわかりました。
あなたが直接経験していなくても、親戚やお友だちに同様な「相続ショック」に遭遇している方がいるかもしれませんね。
次回は、「“死事人”の大攻勢」と「相続が重荷に
なってはいないか」をお伝えします。
普段より深刻な問題を取り上げているため、考えながらブログを書き続けました。書くスピードが上がりませんでした。
日経ビジネスの特集記事 #28
相続ショックどうする? あなたを襲う「負の資産」 2013.10.21 3/3 2014-03-17 23:41:34
<このページでは、『日経ビジネス』の特集記事の概要紹介と、管理人のコメントを掲載しています>
前回は、MOOCとアジアの新興勢力についてお伝えしました。
“死事人”の大攻勢
遺品整理からペットの世話までの、相続関連のビジネスは多岐にわたり、今や市場規模は160兆円にもなるといいます。
遺品整理の需要が増しているそうです。
遺品整理クリーンサービスの増田裕次氏は「5年目は月20件ほど」の依頼だったが、今は100件前後」と言う。
昨年8月にはヤマトホールディングスも「メモリアル整理サービス」という名称で遺品整理業に参入している。
ただ、トラブルが絶えないそうです。
遺品整理業という特殊な業務に関わるルールが確立していないのです。
遺品整理業に特化した規則がないうえ、誰もが好んでやる仕事でないため、トラブルが絶えないのも事実。
国民生活センターには「30万円の見積もりだったが、作業増加などを理由に45万円を請求された」「高価な着物がなくなった」などの苦情が寄せられている。
こうしたトラブルを回避するために、一般財団法人「遺品整理士認定協会」が「遺品整理士」の資格を作り、廃棄物処理法など関連する法令の順守を呼びかけている。
「相続市場」が拡大しているそうです。
ハイアス・アンド・カンパニーによると、団塊世代と、その後10年間に生まれた世代が2025年までに受け取る資産は160兆円に上るという。
これだけの市場規模があれば、アリが砂糖に群がるように、少しでも分け前に与ろうとする人たちが出てきても不思議ではありません。
「160兆円の資産の7割が不動産であり、ここを狙わない手はない」と考える業者がいるのは、必然と言えます。わずか0.1%でも1600億円ですからね。
金融機関も相続市場に目をつけ、信託商品の拡充を急いでいます。
信託とは資産の運用、管理を第三者や専門機関に任せる仕組みだ。
相続関連では遺言信託の活用が増えている。信託銀行などが遺言書の作成支援や保管から、相続財産の名義変更、遺言の執行など、相続関連の手続きをワンストップで手がける。
相続が重荷になってはいないか
日経ビジネス取材班が考えた、相続対策をご紹介しましょう。
そもそも資産とはどのようなものなのか、からスタートすることにしましょう。
人が亡くなれば、その時点で、預貯金や有価証券、不動産の額はもちろん、資産価値のあるクルマや美術品、家財道具などは「資産」と見なされる。
税理士や司法書士ら多数の専門家に、日経ビジネス取材班が、取材して得た、円満相続のための方法をご紹介します。
大きく分けると、「生前、親がすべきこと」と「相続人がすべきこと」の2つです。
生前、親がすべきこと
① 遺言書に「感謝の気持ち」を書く
② 換金可能なものはカネに換えておく
相続人がすべきこと
① 「マイナス資産」から分配する
② 親と旅に出る
この中で、相続人がすべきことの① 「マイナス資産」から分配するに
ついて簡単に補足説明しましょう。
税理士、飯塚美幸氏が提唱する方法は、プラスの資産に目を奪われないための考え方。
「3S」と呼ばれる負の遺産、つまり①債務 ②妻子(生活) ③祭祀(墓・仏壇など)――を、プラスの財産より先に話し合う。
日経ビジネス取材班は、独自の大胆な提言をしています。
「相続はしないに限る」。
子供は「相続しない」。親は「何も残さない」。
これで、問題は瞬時に解決する。今特集で取り上げた節税対策の賃貸経営による悲劇や、土地分割を巡る揉め事などが一切なくなる。
実は、被相続人が抱えている資産が、さほどの「価値」を持たないことが多い。田舎の土地や山林、「お宝だ」と信じきっている美術品、家財道具、蔵書、クルマ、楽器・・・。
換金しても大した財産にはならないと考えたほうがよい。
カネや有価証券以外で売却してまとまった相続財産になり得るのは、基本的に①都市部のきちんと登記された不動産のほか、せいぜい ②まとまった量の貴金属(宝飾類) ③超高級腕時計くらい。
庶民でこれらを保有している人はどれほどいるだろう。二束三文のモノを巡って、相続争いするのはあまりに虚しい。
私の親戚に、ご主人が経営する会社が倒産し、ご主人が莫大な債務を抱え、亡くなり、相続人となった人がいます。負の遺産を相続放棄したのは言うまでもありません。
今は亡き母は長女でしたので、妹に相続放棄を勧めたそうです。母から直接聞きました。
今回の特集は、誰でも直面する可能性がある、「相続のショック」をいかに緩衝するかという、重いテーマでした。
一度、他人事ではなく、自分事として考えてみることが、必要ではないでしょうか?
🔷 編集後記
さて、この特集記事(元記事)が公開されたのは、9年前のことです。私のブログは8年前のものです。
相続に関して、私も何度も体験していますので、時間も手間もかかることと実感しました。
自分でできる所は自分でやりましたが(例えば連続した戸籍謄本の収集など)、あとは専門の司法書士事務所に依頼しました。
Amazon Primeビデオに『遺産相続』ではなく、『遺産争続』(2015年)がありました。
現預金や不動産の相続にまつわる争いごとをシリアスに時にコミカルに描いたドラマでした。
今回の投稿は今までで一番長いものとなりました。12,000文字以上(12,418文字)になりました。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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