『ザ・プロフェッショナル』(29)
『ザ・プロフェッショナル』
21世紀をいかに生き抜くか
ダイヤモンド社 2005年9月29日 第1刷発行
<目次>
はじめに 予言は自己実現する
第1章「プロフェッショナリズム」の定義
第2章 先見する力
第3章 構想する力
第4章 議論する力
第5章 矛盾に適応する力
第3章 構想する力
最近めったに見聞きしなくなった言葉にグローバル・スタンダードがあります。世界標準という意味ですが、現実にはアメリカン・スタンダードになっています。
なぜなら、米国の企業群、いわゆる GAFAM(Google=Alphabet・Apple・Facebook=Meta Platforms・Amazon・Microsoft)や FATMANG(Facebook=Meta Platforms・Apple・Tesla・Microsoft・Amazon・Netflix・Google=Alphabet)が業界を牛耳っているからです。
つまり、これらの企業群のビジネスモデルがアメリカン・スタンダードであると同時にグローバル・スタンダードになっています。
なぜ日本にはグローバル・スタンダードの企業が出てこないのかという議論がしばしば行われます。
私は大前研一氏の書籍の中にその答えを見つけました。
あなたも一度お考えください。
21世紀型のビジネスモデルに求められるのは、グローバル・スタンダードへ段階的に育て上げるのではなく、グローバル・スタンダードそのものを生み出すことです
グローバル化とは、このような激しい変化が瞬く間に世界中に波及し、文字どおり世界規模で大波がたえず押し寄せ、逃げ込める市場は残っていないことを意味します
現在の経済には「マルチプル」という特性が備わり、物事は累乗的に拡大していきます。ただし、それは必ずしも右肩上がりに作用するわけではありません
地震発生から1週間 福島原発事故の現状と今後
(大前研一ライブ579) 2011/3/19収録
大前研一 × 堀江貴文 「日本のテクノロジー」対談(完全版) 2013/12/18
➳ 編集後記
『ザ・プロフェッショナル』という本について
『ザ・プロフェッショナル』 はプロフェッショナルとは何か、プロフェッショナルになるために必要な考え方や行動の仕方、さらに何を身に着けなければならないかについて書かれた本です。
一言でプロフェッショナルと言っても、業界や職種によって求められる資質は異なるかもしれませんが、そこには共通点があるはずです。
そのあたりにも着目してご覧ください。
🔴「21世紀型のビジネスモデルに求められるのは、グローバル・スタンダードへ段階的に育て上げるのではなく、グローバル・スタンダードそのものを生み出すことです」
この考え方が、日本企業には欠けていたため、グローバル・スタンダードを生み出せなかった、と私は考えています。
具体例を挙げると、若い人たちはご存じないかもしれませんが、NTTドコモが提供していた「iモード」というサービスがありました。
日本中に拡散し、メディアによく取り上げられました。
詳しくは次のウェブサイトをご覧ください。
この「iモード」のどこにグローバル・スタンダードを生み出せなかった原因があるのでしょうか?
それはこのサービスが、最初から国内だけで利用できることになっていたからです。つまり、世界規模でサービスを提供することを構想してこなかったということです。
大前氏が、「21世紀型のビジネスモデルに求められるのは、グローバル・スタンダードそのものを生み出すことです」と指摘しているのは、そういう意味です。
『ザ・プロフェッショナル』は2005年9月29日に出版されました。17年前のことです。
大前氏がいかに先を見通しているかの証左です。
大前氏の頭つまり考え方に、世の中が後からついて来ていると考えるのが妥当でしょう。
大前氏は預言者ではありません。「自調自考自働」の人です。
頭脳はめちゃくちゃ優秀です。天才と言っても過言ではありません。しかし、それだけではありません。疑問に感じたらすぐに行動に移す人です。
地震発生から1週間 福島原発事故の現状と今後
(大前研一ライブ579) 2011/3/19収録
を見れば、そのことがすぐに分かるはずです。
東電福島第一原発事故の発生から1週間後に、原発の専門家という立場と、ビジネス・プロフェッショナルの立場から動画配信していることで納得できるはずです。
大前氏はプロフェッショナルの中のプロフェッショナルと断言できます。
✅ 大前氏は『ザ・プロフェッショナル』の中でプロフェッショナルという言葉が安易に使われていることに対する警鐘を鳴らしています。
プロ中のプロの大前氏の言葉だけに非常に説得力があります。
世間一般では、本業としてカネをを稼いでいる人がプロで、本業としてでなく、カネを稼ぐことが目的でない人がアマという分け方がありますが、大前氏の考え方ではそういうことではない、ということになります。
大前氏は、パスファインダー(pathfinder=探検者、開拓者)という言葉をよく使います。
次回以降も大前氏の考える「プロフェッショナル」の概念とプロフェッショナルを育成することの必要性等をお伝えしていきます。
下記に掲載した書籍も知的刺激を受ける名著です。
『大前研一 新・経済原論 世界経済は新しい舞台へ』は
という本です。ページ数は全503ページという大書です。
ですが、濃い内容を平易な言葉で書き、具体例を豊富に掲載していますので、読みやすく理解しやすくなっています。訳者の力量も寄与していると思います。
大前氏のどの本でも知的刺激を受けますよ。
いずれの日にかこの本を取り上げることになるでしょう。
奥付を見ますと、次のようになっています。
2006年9月14日 第1刷発行
2006年11月1日 第3刷発行
東洋経済新報社
今読んでも全く古さを感じません。大前氏の考え方が先行し、時代が後からついてくると考えるのが、相応しいと思っています。
世界のメディアは大前研一氏を高く評価しています。
私が考える大前研一氏の考え方
🔶 大前氏は自分で考え出したことを自ら実践し、検証しています。仮説と検証を繰り返す行動の人です。
Think before you leap.(翔ぶ前に考えよ)という諺がありますが、Leap before you think.(考える前に翔べ)もあります。
あれこれ考えて、難しそうだからとか面倒くさそうだからやめようでは成長しません。
まず、やってみるという姿勢が大切です。
大前研一氏は、常に物事の本質を述べています。洞察力が素晴らしいと思います。
私は、ハウツーものは、その内容がすぐに陳腐化するので読みません。
➔ 大前氏の言葉は、いつでも私たちが忘れがちな重要なことに気づかせてくれます。
🔶 大前研一氏と私は年齢がちょうど一回り(12歳)離れています。
しかし、その年齢以上に遥かに頭の中身と行動力に差がある、と大前氏の著作を読むたびに痛感します。
構想力、コンサルタント力、提案力、実行力……。
どれをとっても私が及ぶようなものは何一つありません。
それでも、いや、だからこそ大前氏の著作やメルマガを通じ、大前氏の考え方を素直に受け入れることにしているのです。
時には、かなり厳しい表現も見受けられますが、それは大前氏がそれだけ真剣に物事を考え、モノマネではなくオリジナルな提案をし、自ら実行しているからです。
そうした姿勢をいつも背中から見ていて、頼もしく感じ、(勝手に)この人に師事し、グールー(思想的指導者)と仰いでいるのです。
🔶 大前研一氏と私とは年齢が一回り違います。大前氏は1943年2月21日生まれで、私は1955年6月30日生まれです。
大前氏は、私にとってはメンター(師匠)でもあります。もちろん私が勝手にそう思っているだけです。
🔶 大前氏は評論家ではありません。言うだけで自分では何もしない人ではありません。大前氏は行動する人です。だから大前氏の提言は説得力があるのです。
大前研一オフィシャルウェブ
このウェブサイトを見ると、大前氏の出版物一覧を見ることができます。
私は、大前氏の全出版物の半分も読んでいませんが、今後も読んでいくつもりです。
⭐ 出典元: 大前研一 オフィシャルウェブ
大前氏は1995年の都知事選に敗戦後、『大前研一 敗戦記』を上梓しました。
🖊 大前氏の著作を読むと、いつも知的刺激を受けます。
数十年前に出版された本であっても、大前氏の先見の明や慧眼に驚かされます。
『企業参謀』(1985/10/8 講談社)という本に出会ったとき、日本にもこんなに凄い人がいるのか、と驚嘆、感嘆したものです。
それ以降、大前氏の著作を数多く読みました。
『企業参謀』が好評であったため、『続・企業参謀』( 1986/2/7 講談社)が出版され、その後合本版『企業参謀―戦略的思考とはなにか』(1999/11/9 プレジデント社)も出版されました。
🔶 大前氏は経営コンサルタントとしても超一流でしたが、アドバイスするだけの人ではありませんでした。自ら実践する人です。有言実行の人です。起業し、東京証券取引所に上場しています。現在は代表取締役会長です。
大前氏の本には、ものの見方、考え方を理解する上で重要な部分が多くあります。大前氏の真意を深く考えなくてはなりませんね。
⭐お知らせ⭐
前回の『ザ・プロフェッショナル』(28)までの元記事は7年前(2015.06.23)まではFC2ブログに投稿していました。
ところが、前回の編集後記で書きましたように、2015年6月に妻が体調不良になり同年8月にこの世を去りました。
そのため、深い悲しみが全身を覆い、心身ともに疲弊し、ブログを更新することができなくなりました。
というわけで、今回からの投稿は書き下ろしということになります。
✑ 大前研一氏の略歴
大前 研一(おおまえ けんいち、1943年2月21日 - )は、日本の経営コンサルタント、起業家。マサチューセッツ工科大学博士。マッキンゼー日本支社長を経て、カリフォルニア大学ロサンゼルス校公共政策大学院教授やスタンフォード大学経営大学院客員教授を歴任。
現在、ビジネス・ブレークスルー大学学長、韓国梨花女子大学国際大学院名誉教授、高麗大学名誉客員教授、(株)大前・アンド・アソシエーツ創業者兼取締役、株式会社ビジネス・ブレークスルー代表取締役社長等を務める。 (Wikipedia から)
大前研一氏の略歴補足
大前氏は日立製作所に勤務時、高速増殖炉もんじゅの設計を担当していましたが、原発の危険性を強く感じていたそうです。
その後、世界一の経営コンサルティングファームのマッキンゼーに転職。
マッキンゼー本社の常務、マッキンゼー・ジャパン代表を歴任。
都知事選に出馬しましたが、まったく選挙活動をしなかった青島幸男氏に敗れたことを機に、政治の世界で活躍することをキッパリ諦め、社会人のための教育機関を立ち上げました。BBT(ビジネス・ブレークスルー)を東京証券取引所に上場させました。
大前氏の書籍は、日本語と英語で出版されていて、米国の大学でテキストとして使われている書籍もあるそうです。
⭐今までご紹介してきた書籍です。