【大人の流儀 伊集院 静 心に響く言葉】 第96回
訃報
2023年11月24日夜に伊集院静氏が亡くなりました。73歳でした。
ご冥福をお祈りいたします。
非常に残念です。「大人の流儀」をもっと長い間拝読したかった……。
大人の流儀
伊集院 静氏の『大人の流儀』から心に響く言葉をご紹介します。私は現在『大人の流儀』1~10巻を持っています。このうちの第1巻から心に響く言葉を毎回3件ずつご紹介していこうと考えています。全巻を同様に扱います。
時には、厳しい言葉で私たちを叱咤激励することがあります。反発する気持ちをぐっと堪え、なぜ伊集院氏はこのように言ったのだろうか、と考えてみてください。しばらく考えたあとで、腑に落ちることが多いと感じるはずです。
『大人の流儀3 別れる力』をご紹介します。
ご存知のように、伊集院氏は小説家(直木賞作家)で、さらに作詞家でもありますが、『大人の流儀』のような辛口エッセーも書いています。
大人の流儀 伊集院 静 心に響く言葉 第96回
第4章 本物の大人はこう考える
「道に倒れて泣く人がいる」から
伊集院 静の言葉 1 (285)
「道に倒れて泣く人がいる」から
伊集院 静の言葉 2 (286)
「道に倒れて泣く人がいる」から
伊集院 静の言葉 3 (287)
⭐出典元
『大人の流儀 3 別れる力』
2012年12月10日第1刷発行
講談社
表紙カバーに書かれている言葉です。
✒ 編集後記
『大人の流儀』は手元に1~10巻あります。今後も出版されることでしょう。出版されればまた入手します。
伊集院静氏は2020年1月にくも膜下出血で入院され大変心配されましたが、リハビリがうまくいき、その後退院し、執筆を再開しています。
伊集院氏は作家にして随筆家でもあるので、我々一般人とは異なり、物事を少し遠くから眺め、「物事の本質はここにあり」と見抜き、それに相応しい言葉を紡いでいます。
🔷生命保険の強制加入と建物の価値がなくなる話が出てきますが、日本では銀行がリスクを負わないことと、土地にしか価値がないという現実があります。
中小企業の場合、借入れをする場合、担保となる土地以外に代表者の個人保証を求められます。万が一、借金を返済できなくなった時には、債務者は自己破産するしかないことがあります。時には自死する場合も。
敗者復活ができない仕組みです。
要は、銀行は人を見て融資するということができなくなっているのです。
大昔は、担保を確保するより、人を見て融資するということが行われたことがありました。
米国の場合、個人保証はつけません。すべてがそうだとは言えませんが、万が一融資先が破綻した場合は、融資した方が融資先を精査する能力がなかったということで決着するそうです。融資先も融資する側も互いにリスクを負うということです。
さらに言えば、日米の土地、建物の評価基準が異なります。
日本は土地にこそ価値があるという考え方で、上物(建物)にどんなに金をかけても年数が経つと価値がなくなります。つまり、土地だけの評価となります。ですから分譲マンションの価値は土地にはありません。
一方、米国では土地が広いので、もちろん場所にもよりますが、土地の価値はほとんどありません。建物に手を入れておくと高い価格で売れます。
意味あいは違いますが、伊集院静氏は年を越せずに逝ってしまいました……。 とても残念です。
「大人の流儀」をさらに何年も続けて執筆してほしかった、と思っています。
今後も、「大人の流儀」に関する投稿を続けていきます。
(3,319文字)
🔶『大人の流儀3 別れる力』について『由美子のいなくなった夏 亡き最愛の妻への想い』の中で言及しています。
夏目雅子さんのプロフィール
🔶伊集院静氏の言葉は、軽妙にして本質を見抜いたものです。随筆家としても小説家としても一流であることを示していると私は考えています。
<著者略歴 『大人の流儀』から>
1950年山口県防府市生まれ。72年立教大学文学部卒業。
91年『乳房』で第12回吉川英治文学新人賞、92年『受け月』で第107回直木賞、94年『機関車先生』で第7回柴田錬三郎賞、2002年『ごろごろ』で第36回吉川英治文学賞をそれぞれ受賞。
作詞家として『ギンギラギンにさりげなく』『愚か者』などを手がけている。