ラグビー日本代表の立ち位置
本気の南アは強かった
日曜日の日本❌南アフリカ戦、キックオフ直後から日本は仕掛け続けた。自陣からのキックパス、トリッキーなラインアウトのサイン、多彩なキックを使って敵陣への侵入と有りとあらゆる準備された全てを出して、何とか5-3という超ロースコアで前半を折り返した。
このスコアをどうみるのか。よくやっている、2点差だから後半も期待できる、なのか、ギリギリトライを一本に押さえているだけで、後半の最後まではもたないよね、なのか。。
明らかな日本の消耗
前半の日本は本当によく戦っていた。きつい場面でもなるだけ反則をせずに体をはって組織的に守れていた。ワイドなパスをつないでの展開もギリギリだけど繋げていた。しかし、ギリギリつながったり、ギリギリ止めれていた。
つまり、余裕がないので何かアクシデントが起きた時には保険がない。それくらい、日本は、大きなリスクを追ってチャレンジし続けていた。ジェイミーの言うところの、リスクを負わずにチャレンジしないのが最大の失敗だ、という哲学を選手全員が体現していた。だが、それは頭と体をフル回転させていた日本の知力と体力の消耗を意味していた。
南アに全て見透かされた日本
前半の立ち上がりは、日本の奇策にリズムをつかめなかった南アも、試合が進み堅いゲームになってくると逆に南アのペースになってきた。全員で前に出るディフェンス、スクラムハーフ・流へ毎回プレッシャーをかける南ア・スクラムハーフのデクラーク、スタンドオフ・ポラードのハイパントからの陣地の回復。日本がやりたいことを全て消しに来た。ラックでもボールを出すのに時間がかかり、日本の電撃戦を局所的に封じた。
高速ウイングのマピンピとコルビも前に出るのではなく、後ろのスペースを埋めながら、田村にキックのオプションを与えなかった。つまり、強力圧迫ディフェンスを力付くか一瞬で切り裂く切れのよさでゲインするしか日本にはオプションがなかった。
大差ではない。だが、点は取れてない。
後半は、ペナルティキックでジリジリ追加点を入れられ、ラインアウトモールで、ゲインを切られまくり、本来日本がしたかった攻撃を完璧なレベルで南アフリカにされてしまった。これが、俺たちの本気のなんだよ、と言わんばかりに。
最後まで、南アフリカはファイトしてきた。たった一度の過去の勝利で、南アにまた勝てると思っている日本の期待を全て握りつぶすかのように、力を見せつけた。しかし、日本は圧倒的に不利な中でも諦めなかった。彼らは、スタジアムの後押しを受けて、何度も何度も立ち上がり、体をぶつけていった。
敗北は確定している。でも、ホームとして圧倒的な国民の応援を受けていた我らの戦士は、諦める姿勢を見せるわけにはいかなかった。
そして、トライはあげられなかったが、点も取らせなかった。3-26。攻め手がなくなっても守り続けた結果のスコアだった。これが、今の日本と優勝候補の現実的な差。こんな試合でも3トライ取れるような攻撃力を磨くこと。それが今後の日本に、突きつけられた強化の課題となった。
国民は楽しんだ
今回の母国開催のW杯。ラグビーをみない人たちも色んな意味でラグビーを目にすることになった。世界最高峰のラグビーはこんなに凄いのか、暴力的に見えるラグビーもどれだけ崇高な精神でプレーしているのか、海外のファンや様々な文化交流がどれだけ素晴らしいことなのか。ラグビーという球技としてのエンターテイメント性を越えて、人間として何かの大切なことを思い起こさせる、そんな大会になった。この思いでは、広く日本国民の中に記憶され、何かに気づき、そして今までになかった形で社会に影響を起こしていくのだろう。
すぐに夏が来る。オリンピックが来る。世界中から旅行者が来る。色んな交わりをもち、多様な価値観を共有する。平和であることの象徴である。
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