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第14回 「理念採用」の先にあるもの

1 まず「企業理念に共感できる人材だけを採用する」ことの重要性

“武田斉紀の『大手に勝てる「理念採用」』”もいよいよ最終回です。

 前回は、これまでを振り返った上で、理念採用について私がご相談をいただく際によくされる質問、“「理念採用」で本当に会社は伸びるのか?”についてお答えしました。会社が伸びるか否かは、採用の要因だけには限りませんが、「理念採用」を実践していれば会社は伸びるはずなのです。

 さて最終回の今回は、『「理念採用」の先にあるもの』と題して、「理念採用」で業績も“伸びる”はず…だけではない、「理念採用」の先にある世界についてお話しして締めくくりたいと思います。

 第12回でも触れたように、採用活動においては入社がゴールとなりますが、採用の最終目的は入社後の社員の活躍にあります。

 企業理念として目指す目的や大切にしたい、これだけは譲れないという価値観に強く共感した人材であれば、入社した直後から企業理念の目指す方向に努力を重ねてくれることでしょう。たとえ入り口では知識や能力、技術が足りなくとも、理念を共有できている彼らなら、強い意志を持って努力を重ね、遠くないうちに必要なレベルに追いつき、一気に追い越してくれるはずです。

 逆に入り口で知識や能力、技術が高くとも、企業理念に共感できない方は採用すべきではありません。彼らは会社が大切にしている価値観をないがしろにして、顧客や社会からの信頼を失う可能性があります。

 長年かけて築いてきたブランドイメージを一気に損なうことになれば、会社としての損失は甚大です。社内へのマイナスの影響も小さくありません。

 ある会社にとって「顧客に対して常に誠実であること」が創業以来大切にしてきた、譲れない価値観だとしましょう。この価値観に共感していない優秀な人材は、時として利益のために顧客に対して誠実であることを後回しにするかもしれません。彼らは一度やって味を占めれば、二度、三度とやるでしょう。

 顧客が気付かないわけはありません。「あの会社は顧客に対して誠実だと信じていたのに騙された」となれば、100人の社員のうち99人が誠実に取り組んでいたとしても、悪い噂が流れます。

 早急に彼を説得するなり(説得して納得共感してくれるならいいのですが)手を打たないと、彼の周囲にいる社員にまで悪い影響を与えかねません。騙されたと思った顧客は何も言わずに次々と他社に移っていくでしょう。

 企業理念に共感できる人材だけを採用するという「理念採用」がしっかりとできていれば、知識や能力、技術が十分ではない新人を先輩がフォローし、本人も前向きに努力を重ねながら理念の実現に向けて前進できます。

 知識や能力、技術の上ではすぐに十分とはいえなくとも、自らが共感した「顧客に対して常に誠実であること」だけはないがしろにしないはず。会社を代表して対応する社員も人間、そして顧客も人間。お客様は一生懸命に理念の実現に向けて頑張っている社員の姿を、しっかりと見てくれているはずなのです。

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