理系大学生がアルバイト先と裁判をしてみた 〜ついに裁判編〜
さて、裁判当日を迎える寸前の平日、裁判所から電話がかかってきた。
「相手方が弁護士を雇いました」
今か、この休みが明けた翌平日に裁判なのに、今か。というのが率直な感想だった。さらに言えば、その休日は大学院入試が控えている。そう、ちゃんと理系大学生をしているわけだから、それと合わせて裁判を行う難しさをまさに実感したわけだった。
何を言い訳してもどうしようもない。裁判当日を迎えるわけである。
さて、まず呼び出された裁判所に向かい、指定された法廷へ向かうわけだが、時間を経過しても相手方がこない。相手方は悪びれる様子もなく数分遅れて入室してきた。そして始まるといざ我が独壇場かのように被告代理人の弁護士が話し出すわけである。
当然こちらからの心象は最悪である。また、こちら側の法律や裁判に関連する不手際を突いてくるわけだから尚更である。
しかし、それをわかっているのは裁判官、そして同席していた司法委員も同様であり、仲裁ののち、手続きを進めてくれた。
進め方は、まず原告である私と裁判官、司法委員のみが法廷に残り、原告側の主張を整理する、次に被告(と被告側代理人)と裁判官、司法委員のみが法廷に入り原告の主張に反論する、また原告と裁判官、司法委員のみが法廷に入り被告側の主張に反論する、この繰り返しである。
さてまず問題になったのは私の手元に答弁書が到着していないことである。
恐らく、休日を挟むように被告代理人が直送したために生じたのだと思う。実際にこの訴訟が終了後、帰宅したら普通郵便で送られてきていた。もしこの答弁書を原告の私に到着しないで、答弁書の内容を知らないまま裁判を進めさせようとまで考えが至っていたのであれば、天晴れとしか言いようがない。
これについては、裁判官と司法委員がこちらと話が通じていないことを認識し、確認していただけたおかげでコピーをいただくことができた。
被告代理人から送られてくる答弁書には、原告側の訴状の主張についての反論が記されている。だから、これを法廷で争う前に見られないことは対策されないわけだから有利に物事を進められる可能性が高くなるわけである。
また、答弁書内には明らかに虚偽である内容が記されていると原告として判断できるような内容もあったし、そのことは裁判官や司法委員とも確認した。残念ながら主な争点の対象外になったから無視されただろうが、恐らく被告の虚偽、もしくは思い違いによる発言をそのまま答弁書に書いたのであろうと信じたいばかりである。
さて、争った結果を記せば
1、深夜残業手当については原告の主張を認める
2、有給休暇については、原告が主張している額と被告が主張している額の中間とする
3、(ふっかけた)給付金については全て認めない
となった。これを原告の勝利と見るかどうかは読者にお任せする。
ただし、それぞれこちらの言い分も含めれば
1、深夜残業手当については、被告が労基法109条に背き記録を保管していなかったことから、請求可能範囲期間についても請求できていないことから、被告側の一部勝ち逃げとも受け取れる。
2、有給休暇については、こちらが主張した方法で計算しなかったために主張した権利の侵害を受けたと感じている。また、本来行使可能であった有給休暇が2年間経過のために行使できなかったことも考えれば、被告の一部勝ち逃げに思う。
3、給付金については、労働局の不親切もあったと思うが、それでも労基法109条を被告が遵守していれば問題にすらならなかったことを考えれば、被告の非を一部でも認めていただきたかったと思うばかりである。
とのような感じである。さて、最後に総括をして終わりたい。