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灼熱の魂(2010)
ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督の2010年作品「灼熱の魂」のデジタルリマスター版が現在劇場公開されているので、(Blu-rayで何度か見てるんだけど)初めて劇場のスクリーンで観てきました。
本作は、とてもシリアスで厳しい物語を描いており、めっちゃ大人向けで、重く、美しい、"心が揺さぶられる"という表現がこれ以上相応しい映画はないんじゃないかと思うような一作です。
カナダで暮らす双子姉弟が亡き母から受け取った奇妙な遺言状。そこには、幼少期に死んだはずの父と、存在も知らない兄を探せと書かれていた。
こんな突拍子もない話があるわけない。お母さんは錯乱してこんなことを書いたんだと怒る弟をよそに、姉は母の故郷を訪ねる。そして、わずかな手掛かりを頼りに辿り始めた母の人生は、実はとてつもないものだった。
内戦で荒れる国を舞台に、戦争で踏み躙られ、翻弄されながらも強い意志を持って地獄を生き抜く女性の姿と、彼女が辿った壮絶な運命を骨太に描く。その生き地獄の果てに行き着いた真実は強烈に胸を突き、慟哭の果てに深い感動すら覚える。
母親の人生を演じ切ったルブナ・アザバルは素晴らしい。そして、本作に出会ったとき、ドゥニ・ヴィルヌーヴという監督は本当に凄い才能の持ち主だなと思い、それ以来、監督のファンになったのでした。