陽炎座(1981)
昨年の4Kリマスター上映では「ツィゴイネルワイゼン」しか劇場で観なかった鈴木清順監督の"浪漫三部作"ですが、先日発売された『鈴木清順「浪漫三部作」【4Kデジタル完全修復版】 UHD+Blu-ray BOX』を購入したので、自宅で「陽炎座」を見返しました。確か5回目かな? 何度見ても、バラバラのシーンだけ記憶に残っていながら、物語全体の記憶はボンヤリしてしまう不思議な映画です。
泉鏡花の小説「陽炎座」を原作に、松田優作演じる劇作家が、偶然知り合った謎めいた美しい人妻に翻弄される姿を描く… のですが、これが全く一筋縄ではいかない。
改めて見て、鈴木清順監督によって、ありえないほどのヘンテコな動きをさせられている松田優作が凄いなと思った。脚本は「ツィゴイネルワイゼン」と同じく田中陽造。そのせいか、物語運びやセリフ回しが似ている印象。松田優作の喋りもどこかしら「ツィゴイネルワイゼン」の原田芳雄っぽかったり。
次々と切り替わるカットの撮り方や、組み合わせ方がやはり凄くて、この独特の画作りを出来る感覚は真似られるものではないな…と。
どこをとっても美しく、どこもかしこも気味が悪い、他に類を見ない見事なアート作品です。
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