ザ・チャイルド(1977)
ナルシソ・イバニェス・セラドー監督「ザ・チャイルド」を発売されたばかりの45周年特別版Blu-rayで見ました。
子供のころに見て恐ろしかった記憶があったのですが、よく考えたら日本で劇場公開された1977年当時、僕はまだ12歳で劇場では観ていないのです。ということは、自分が見たのは1978年のテレビ放送版なんですよね。そして、そのテレビ放送版は一部がカットされたものだったとことを今回初めて認識したのでした。
テレビ放送時にはなかった映画の冒頭、大人が始めた世界中の戦争や紛争でいかに多くの子供たちが犠牲になったのかが、7分強の尺を使って語られます。つまり、ここでこの映画のテーマがハッキリと指し示されるのです。(言いたいことはわかりますが、これはちょっと長い。ニュース映像の悲惨さも相まってテレビ放送時にカットされたのもやむをえません。)
本編が始まると、最初はスペインに旅してきたイギリス人夫妻がお祭りや海水浴場などを楽しむ様子が描かれ、沖にある島に行くまでに30分が経過します。ここまでは、特に”ザ・チャイルド”じゃないのですが、その島に着いてみたら子供ばかりで大人の姿が見えない。あれれ!?…ヘンだな…ってところから、この映画のメインパートが始まるのです。
その後は人気のない不気味な町と、徐々に姿を現す子供たち…
そして、子供たちの恐るべき行動と、嫌~な雰囲気がどんどん増幅していく展開に。
ノーカットで改めて見ると、今見ても正直気持ち悪いというかなんとも後味の悪い作品で、テレビ放送で見たときの嫌な印象が蘇りました。作られてからこんなに年月が経っているのに、今でも十分すぎるインパクト!
雰囲気が近いのはヒッチコック監督の「鳥」。真っ昼間の眩い陽射しの中で恐ろしいことが起きる映画は、「ミッドサマー」の前にこれもあったのかと。
今回の4Kリマスターの完成度が素晴らしく、映像がとても綺麗になって全く古さを感じさせません。
また、当時の地上波放送吹替版もリマスター映像をわざわざ編集して収録し、綺麗な映像で子供の頃に対峙した恐怖をまんま再現してくれるという…。この豪華絢爛なパッケージ内容には、もはや感動するしかありません。
子供の頃にテレビ放送された「ザ・チャイルド」や「ハエ男の恐怖」、ユニバーサル・ホラー、ヒッチコックの一連の作品などサスペンス映画や恐怖映画を一緒に見ていたのは父。オードリー・ヘップバーン出演作とかクラッシック名画系を一緒に見ていたのは母。そうやって自分の趣味嗜好が育まれていったのだなぁと、そんなことまで思い出しちゃいました。
(2021/2/1記)