
六人の嘘つきな大学生(2024)
僕の中では2007年公開の「キサラギ」が素晴らしかった!って印象がいまだ強い佐藤祐市監督の新作「六人の嘘つきな大学生」を観た。
原作は浅倉秋成さんの傑作ミステリー小説で、見事な伏線が張り巡らされた緻密な作品なのだそうだが、僕は未読である。
しかし、今回劇場で観た映画は、いろんなことを気にせずに薄目を開けて見るようなスタンスで臨めば、なかなか面白い謎解きミステリーとして楽しめる。
けど、しっかりと映画に向き合えば、違和感が多いストーリーや、ちょっと何かが起こる度にギャーギャー大騒ぎして右往左往する登場人物たちに途中から辟易としてしまった。
誰もが憧れる企業「スピラリンクス」の新卒採用で、最終選考まで勝ち残った6人の就活生に課せられたのは“6人でチームを作り上げ、 1か月後のグループディスカッションに臨むこと”だった。
そのディスカッション内容によっては全員に内定を出すと言われた彼らは、みんなで集まり、全員での内定を夢見て万全の準備を整える。
しかし、最終選考の数日前になって、急な課題の変更が通達される。「内定の枠は1名だけ。その1名は皆さんで決めてください」と。
会議室という密室で、共に戦う仲間から1つの席を奪い合うライバルになった6人に 追い打ちをかけるかのように6通の怪しい封筒が発見される。その中の1通を開けると、「●●は人殺し」という密告と共に証拠写真や新聞記事がまとめられていた。
そして次々と暴かれていく、6人の嘘と罪。誰もが疑心暗鬼になる異様な空気の中、 犯人探しをしながら、1人の合格者を選ぶ形で最終選考は進んでいく…
うん。面白そうでしょ!? まぁ、実際のところ、いろいろ気にしなければ、面白いんですよ。
なので、興味を持った方は、ぜひ劇場でご覧ください。
【以下、ネタバレ含む追記】
まず、最終選考の1ヶ月前にグループディスカッションという課題を出されてから週に1回会って準備しようと言うのはいいんだが、彼らの急速な仲良しっぷりが奇妙な印象。正直、気持ち悪い。
かつ、ディスカッションの内容が薄っぺらすぎて、クラクラする。まぁ、表面的な仲良しごっこをしてるんだと解釈すれば良いのだろうが…
最終選考で謎の封筒をひとつ開ける度に大袈裟に騒いで、(ほぼ)みんな揃って右往左往。うるさい。落ち着け!
8年後の謎解き。犯人が指摘された時の絶叫。しかも、犯行の理由が、自分が尊敬する優秀な先輩を落とした「スピラリンクス」人事部への批判と復讐だって。アホか…
確かに、ちょっとしたペーパーテストと、30分や1時間の面接で優れた人物を選ぶのは容易ではない。リアルに採用面接とかしてる僕も、いつも、それは肝に銘じて臨んでいる。
だけどさ。人間の裏も表も何もかも全て見通して選ぶなんて無理だし、君の言う優秀な先輩だって、君の目から見える角度の先輩が優秀なだけで、全部が見えているわけではなかろう。
そこにリベンジするんだって言われても、なんかいちゃもん付けてる風にしか見えないんだけど… とか思った。
結論。この映画は映画として。すぐに原作小説を読みます!