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あつい胸騒ぎ(2022)

まつむらしんご監督「あつい胸騒ぎ」を観た。

母と2人暮らしの大学生・千夏は、創作小説の課題「初恋の思い出」に取り組んでいる。

"彼の言葉が文字通り私の胸に突き刺さった"

千夏は、幼なじみで初恋相手の光輝から中学時代に言われた言葉を今でも忘れられず、その感情を小説にぶつけつつ、今も続く彼への一方的な想いも相まって、悶々とした日々を送っていた。

そんな千夏に、健康診断で乳がんの疑いがかかる。好きな相手と付き合ったこともないのに、胸のことはずっと気になっているのに、胸を切除しなければならないかもって… なんだよ、それ!

片想いの相手は千夏の気持ちにまるで気付かずに気になる女性の話をしてくるし、お母さんも私の気持ちなんかわかってくれないし、唯一の相談相手だったお母さんの職場仲間のトコちゃんも…

片想いという心の病と、乳がんという身体的な病を抱えてしまった千夏と、周囲の人々との関係性はどう転がっていくのか? とはいえ、重いテーマを内包しながらも暗い方向にいかず、比較的あっけらかんと(誰一人として悪人がいない中で)ユーモアすら交えながら物語は進んでいく。

母親役の常盤貴子が、ちょっとうるさいけど人が良い関西弁のおばちゃんを演じているが、これがとても小気味良い。トコちゃん役の前田敦子は、個人的には今まで見た中でベスト。千夏を演じる吉田美月喜も、非常にデリケートな役柄を見事なバランスで演じている。

そして、ある青年の心の綺麗さに、胸を打たれる。派手さには欠けるが、これは傑作!

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