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サン・セバスチャンへ、ようこそ(2020)
「#MeToo」をきっかけにハリウッドからキャンセルされた映画監督ウディ・アレンの新作は、もう2度と観ることが出来ないのだろうか? と半ば諦めていたのだが、2020年にスペインの資本によって新作が作られることになる。その作品が、現在日本で公開中の「サン・セバスチャンへ、ようこそ」。
とはいえ、「#MeToo」から派生した昔の裁判話の影響は大きく、かつてのような豪華キャストが呼べなかったのであろう事は想像に難くない。
そのせいかはわからないが、本作でアレンの分身となる主人公を演じたのは、名脇役俳優のウォーレス・ショーン。映画全編にわたり、彼が出ずっぱりでかつてのアレンのような発言や行動をするのだが、これがちょっと地味で苦しかった。俳優としては大好きなんだけど、主役を張るには厳しかったんじゃないかなぁ…。
とは言え、いつもの割とよくあるウディ・アレン作品として、きれいな景色の中に素敵な音楽が流れながら次々と場面展開していき、うじうじした主人公の周りでちょっとした事件が起きるという、定番のコメディ路線は健在。まぁ普通といった出来ながら、ウディ・アレンらしくてそれなりに楽しい。
ウディ・アレン監督のリハビリ?作品だと思えば、これぐらいの仕上がりでも新作が見れただけ幸せだなと思ったりした。
劇中、ヨーロッパの古典映画が大好きな主人公が空想や夢の中で見る映像が、「男と女」や「第七の封印」や「市民ケーン」、「皆殺しの天使」、「勝手にしやがれ」などの映画のパロディになっているのもとても面白かった。
ウディ・アレンの次作「Coup de chance」もすでに完成し、昨年秋にフランスで公開されたようなので、こちらの日本公開も楽しみに待ちたい。