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ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ(2024)

あまりの賛否両論(どちらかといえば否定的な声が大きく聞こえる)っぷりに早く自分の目で確かめなければ!と、トッド・フィリップス監督「ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ」を観てきた。

個人的感想を結論から言えば、娯楽作としての面白みには欠けるが、凝った作りの、興味深い作品であった。そこまで歌わなくていんじゃね? ってとこまで歌うのはちょっとウザかったけど。それを除けば、全体的に普通に良かったよ。

何を書いてもネタバレになりそうなので、僕が言えるのは、世間では否定的な意見が多いけど、1本の映画として観れば面白い。ホアキン・フェニックスはガリガリに痩せた体作りも含めて圧巻の演技だし、レディー・ガガも彼女にしか出来ない役柄を全うしていたし、物語がほぼ存在しないのと、映画の作りのバランスがイマイチなところ以外は良かったです。

そもそも監督は前作もメジャー感のある映画を目指して作ってなかったと思うんだよね。それが、社会の空気感とシンクロして化学反応を起こして大ブレイクしちゃった。だから、その延長線上を観客は望み、監督は前作とは別の切り口で決してメジャー志向ではない映画を作った結果、今回は全くシンクロが起きずに興行と評価は大惨事… と、それだけの結果かと。

前作を観た時に嫌な感じがした"観客をも病的な世界に引き込む"吸引力を持たせず、逆にそういった観客を突き放す方向に舵を切ったのも、監督の明確な意図ですね。

【以下、ネタバレです】
本作は前作でセンセーショナルな殺人事件を起こし逮捕された主人公が刑務所の中で過ごす日々と、その後に訪れる裁判を描くだけの物語なので、最初から物語として広がりようがない。

そこにジョーカーを信奉する1人の女性を登場させて、主人公が彼女との妄想の世界に浸る様をミュージカルスタイルで描くという切り口で1本の映画に仕立て上げた。それはそれで、見事じゃない?

ただ、この映画全体が観客を突き放すスタンスな上に、ラストで完全決別を図るので、観客が楽しい気持ちで劇場を後に出来なくなっちゃうんだよね。だから、否定的な意見が溢れる… のだけど、最初から監督はそれを織り込み済みなんじゃないのかなぁ。これで二度と続編作れとか言われなくてすむし! と、僕は解釈しました。

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