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丘の上の本屋さん(2021)
昨年の劇場公開時に観るタイミングを逸したクラウディオ・ロッシ・マッシミ監督の2021年作品「丘の上の本屋さん」を配信で見た。
イタリアの風光明媚な丘陵地帯を見下ろす丘の上の小さな古書店。訪れる風変りな客たちを温かく迎え入れるリベロの店は街のちょっとしたオアシス的な存在でもある。
ある日、店の外で本を眺める移民の少年エシエンに声を掛けたリベロは、好奇心旺盛なエシエンに、コミックから児童文学、中編小説、長編大作、さらに専門書まで次々と店の本を貸し与え、エシエンから感想を聞きながら、様々な知識やものの見方や考え方などを教えていく。
美しい風景や、本棚に並ぶさまざまな本の背表紙をカメラでなぞりながら、幾人かの人生の欠片をこの映画は丁寧に拾い上げていく。
捨てられていた家政婦の日記。自分が過去に書いた著書を探す教授。隣のカフェにいる面倒見が良い店員の恋。そして、メインとなるエンシンとリベロの本を介した交流。
派手さやガッチリしたストーリーはないが、とても静かで美しく、心に沁みる愛すべき映画です。