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ストップモーション(2023)

ロバート・モーガン監督が、ストップモーションアニメと実写の融合で完成させた初長編作品「ストップモーション」を観た。

昨年、海外で話題になって年末に北米版Blu-rayを購入したのだが、ちょうど手元に届いたタイミングで日本でも劇場公開されることを知ったので、やはり最初はスクリーンで観るべきだろうとシネマカリテに行って観てきた。

偉大なストップモーション・アニメーターを母に持つ主人公エラは、母から"操り人形ちゃん"と呼ばれながら、厳しい指導のもと(めっちゃダメ出しされて)アニメ制作を手伝わされる日々を送っていた。

ある日、母が病に倒れて入院してしてしまい、エラは中断した母の作品を完成させようとひとり奮闘する。しかし、独力では作業が進まず、そこに偶然現れた謎の少女の力を借りながら制作を進めることになるのだが…

"操り人形ちゃん"と呼ばれるくらい母に言われるままに生きてきた主人公が、自分の力で何かを成し遂げようともがき苦しむ中で、彼女が手掛けているストップモーション・アニメの中の世界と現実世界との壁が崩壊し、精神的に追い詰められていくお話。

自分なりの結論としては、「創作への向き合いをテーマに、自分の中の創造性を吐き出すための苦悩と試練を描きたかったのかな?」と、まとめてみたのだが… 正直言って物足りない。

というのも、現実と幻想の境界をあやふやにすることによって、それらしく見せてはいるのだが、肝心のストップモーション・アニメの中身も中途半端でたいしたことないし、現実の部分にもたいした物語がないのだ。

ただ、死体の肉で人形を作るとか、めちゃくちゃ痛々しいシーンを見せるとか、えげつない描写を挿むことでなんとか観客の興味を維持してはいるけど…

ストップモーション・アニメの制作は、普通の人間が恵まれた環境で取り掛かっても狂気に陥っても仕方がないほどに気の遠くなる作業だとは思う。その生みの苦しみを少しでも観客に伝えたかったのかな?

凄い映画だったら、帰宅してすぐにBlu-rayで再見しようとワクワクしていたんだけど、観終わって、ちょっと意気消沈…

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