小人の饗宴(1970)
「忘れ得ぬ映画」といえば、フツーはとっても感動した映画とか良い映画ってのが出てくるのだが、全然違った意味で絶対に忘れられない映画っていうものもある。
僕にとっては「小人の饗宴」という映画がそれで、1990年ごろに京都大学のオンボロなナントカ講堂ってところで”自主上映”って形で一度だけ観た映画だ。その”自主上映”のオールナイトでは、ケネス・アンガーの諸作品などなど、奇妙な映画ばかりが何本も上映され、自分の人生の中でも相当なレベルで不思議な一夜だったが、中でも最も強烈なのがこの「小人の饗宴」だったのだ。
その”強烈さ”は、「かつてこんなに胸が悪くなる狂騒とした映画があっただろうか!?」っていう強烈さ。うまく表現できないが、椅子にしばりつけられて黒板を爪でひっかく「キィイイィーーーッ」って音をいやおうなく延々と聞かされるような凄まじい”不快さ”なのであった。
不快ではありながら、あまりに強烈すぎた印象は忘れられないもので、その後、2、3年経ってから僕はこの映画について調べはじめ、監督がヴェルナー・ヘルツォークって人であることや、この映画のビデオ・LDなどが(当時は)一切出ていないこと、そして日本でも滅多に上映の機会には恵まれない作品であることを知り、いつか必ずこの映画に再び巡り会いたいと望むようになった。
そして、ついに2001年1月、BOX東中野でこの映画がちゃんと劇場公開されることになったのである。(かつて日本では手に入らなかった「時計じかけのオレンジ」のビデオをアメリカのレコードショップで発見した時のような感動!) そんなわけで改めてスクリーンて観た「小人の饗宴」。そこには”常識では計り知れないもの”があった。
とにかく、気分が悪くなるのを覚悟して、一度は観てほしい凄い映画です。きっと、一生忘れない作品になるでしょう。
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