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異人たち(2023)

山田太一さんの小説「異人たちとの夏」を、アンドリュー・ヘイ監督が映画化した「異人たち」を観た。予告編も何も見ずに映画に対峙し、登場人物の設定にやや驚き、とてつもなく寂しくて悲しい内容に打ちのめされた。いやぁ… ビックリしたなぁ!

夜になると人の気配が遠のくロンドンのタワーマンションに一人暮らす脚本家アダムは、同じマンションに暮らすもうひとりの住人・ハリーの深夜の訪問を機に、ありふれた日常が変化していく。

アダムは12歳の時に交通事故で両親をなくしているのだが、電車に乗って昔の家を訪れてみると、そこには自分が子供だった頃のまんまの姿をした両親が住んでいて、大人になったアダムを優しく迎えてくれる。

昔の家を訪れては、今まで両親に話せなかったことを話して甘え、マンションに帰ってはハリーと親密に時を過ごす。これまで人を愛することを避け、ずっと一人で過ごしてきたアダムの暮らしはガラリと様相を変える。

しかし、この不思議で幸せな日々には終わりが待っていた…

なんと寂寞たる姿。最後の最後まで、こんなに寂しくて良いのか? そこに逃げ込んで安定して良いのか? 生きている上でどうしても超えられない壁と、恐ろしいまでの寂しさを描き切ったのは見事だが、これは人によっては相当なダメージを受けるのではないか…と心配になった。

とはいえ、逆に優しさの映画でもあるし、ある意味では主人公は過去の自分を乗り越えているし、いろんな部分で胸を打たれるのも事実。なかなかの佳作だと思いました。

役者のみなさんは、皆、素晴らしい演技で、この世界を説得力のある形で見せてくれます。お見事!

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