能勢電鉄1700系(元阪急2000系)が2026年春に引退へ
能勢電鉄のニュースリリース(2024年10月28日付)
能勢電鉄1700系の2026年春での引退が決定
能勢電鉄は2024年10月28日付のリリース(詳細は上記リンク参照)で、現役最古参の形式である1700系電車を11月3日から来年1月31日まで「レジェンド1700系」として運行、合わせて事前申込制の撮影会の実施やグッズ販売といった企画を実施する旨を発表しました。
このリリースによれば、1700系は2026年春頃に営業運転を終了する予定であるとのことで、今回の「レジェンド1700系」の企画は事実上1700系の引退記念イベントの第一弾という位置づけになるようです。
能勢電鉄1700系とは
能勢電鉄1700系は、1990~92年にかけて親会社の阪急電鉄(注)で活躍していた2000系(初代)を譲り受け、改造した形式です。
最盛期には4両編成×9本が在籍していましたが、近年では同じ阪急電鉄から譲渡された5100系・7200系(元阪急6000系・7000系)による置換えが進み、2024年11月現在では4両編成×2本が残るのみです。
この1700系の導入完了により、能勢電鉄妙見線・日生線から非冷房車(車体長15m)は全廃され、両線の在籍車両は全て冷房付きの19m車に統一されました。
種車となった阪急2000系(初代)は、1960~64年にかけて神戸線・宝塚線向けにナニワ工機(現アルナ車両)で総勢114両(注2)が製造された車両で、阪急では初となる両開き3扉の近代的な車体と、回生ブレーキ、定速運転機能を装備していました。
1961年には京都線向けの姉妹車・2300系(初代)と同時に鉄道友の会の第1回ローレル賞を受賞しています。
(注)2000系の導入当時の社名は京阪神急行電鉄
(注2)姉妹形式の2100系・2021系を含めた両数
早くも始まった引退記念イベント
「レジェンド1700系」イベントの第一弾として、11月3日(日・祝)から12月8日(日)までの日程で、能勢電鉄1700系1755Fが「レジェンド1755×4R」と銘打ち、特製ヘッドマークを掲出、車内装飾を実施した状態で運行されています。
今後、12月9日(月)~27日(金)には僚車の1757Fに「古参1757×4R最後の重要部検査出場」のヘッドマークが、同28日(土)~2025年1月31日には「レジェンド1757×4R」のヘッドマークが掲出される予定で、こちらも楽しみなところです。
ヘッドマークは計2種類の異なった絵柄のものが用意されており、日生中央・妙見口方の先頭車1755号には1755Fを描いたものが、川西能勢口方の先頭車1705号には1755F・1757Fを描いたものが掲出されています。
「Legend」の字体は、かつて阪急電鉄が発売していたプリペイドカード「ラガールカード」や同社の駅売店「ラガールショップ」(現ローソン)のロゴを思わせるデザインです。
1755Fの車内には記念のプレートも掲出されています。
隣の製造銘板には「ナニワ工機 昭和37年」の文字。
今年で製造から62年、よく今まで働いてくれましたという印象です。
1755Fの車内ではドア横の広告枠を活用し、阪急2000系・能勢電鉄1700系の歴史を振り返る写真展を実施していました。
能勢電鉄移籍当時の1700系は、オレンジ色と緑色の新塗装を纏っていたのが懐かしく思い出されます。
引退までにこの塗装を復刻して欲しいと考えている鉄道ファンは、私含め多いのではと思います。
車内の吊り革にも、1700系にちなんだ装飾が施されていました。
能勢電鉄1700系との思い出あれこれ
能勢電鉄の沿線からさほど遠くないところに実家のある私は、中学校に進学し1人で乗り鉄・撮り鉄に出かける機会が増えてからというもの、たびたび能勢電鉄に足を運んでいました。
その頃、1700系をはじめとする能勢電鉄妙見線・日生線の車両の塗装は、「フルーツ牛乳」と通称されるクリーム色とオレンジ色の塗り分けに統一されていました。
2003年以降は経営合理化の一環で、車体の塗装作業を阪急電鉄に委託したことで、能勢電鉄妙見線・日生線の電車の塗装は阪急電鉄と同じマルーン一色に改められ、「フルーツ牛乳」塗装は見納めとなりました。
阪急2000系時代のマルーン一色に戻された1700系ですが、能勢の里山や紅葉、絹延橋駅の向日葵、鶯の森駅の紫陽花といった沿線の豊かな自然には良くマッチしていたように思います。
また、前面貫通扉の車両番号を阪急時代の車両番号を書いた紙で覆い、さらに前面の方向幕もマルーン色の紙で覆い隠せば、往年の阪急2000系の出来上がり。
ということで、往年の阪急2000系を再現した特別列車や撮影会といったイベントもたびたび実施されていたものです。
1700系はまた、折々の趣向を凝らしたヘッドマークの掲出でもたびたび話題になりました。
たとえば、コロナ禍の2020年夏に「疫病退散」の文字とアマビエを描いたヘッドマークを掲出して運行された「風鈴電車」。
2021年以降春の風物詩となっている、沿線の学校の卒業式をお祝いするアート電車「祝電」。
親会社の阪急電鉄でもお馴染みの、「さくら」・「もみじ」・「初詣」・「祇園祭」・「天神祭」のヘッドマークなどなど。
残された時間は1年半程度しかありませんが、1700系の残り2編成にはその最後の日まで可能な限り多くの晴れ舞台が用意されて欲しいと思うばかりです。