甦る南海ホークス時代の南海電車たち
はじめに
10月26日、プロ野球のSMBC日本シリーズが開幕。横浜DeNAベイスターズ(セ・リーグ3位)と福岡ソフトバンクホークス(パ・リーグ1位)のカードで、第1戦はホークスがベイスターズを5-3で下しました。
ある一定の世代以上の方には説明不要と思いますが、福岡ソフトバンクホークスは元をたどれば大阪の南海電気鉄道(←近畿日本鉄道←南海鉄道)が保有していた球団で、1947年シーズン途中(注)から1988年シーズンまでは「南海ホークス」を名乗っていました。
(注)戦時中の企業統制で成立した近畿日本鉄道から南海電気鉄道が分離したことに伴い、それまでの近畿グレートリングから改称。
さて、ホークスのかつての親会社だった南海電気鉄道とその子会社では、昨年からホークスの親会社だった時代の懐かしいデザインを纏った電車が次々登場、鉄道ファンの間で人気を集めています。
今日は、これらの懐かしい電車の写真をまとめてみました。
1.南海6000系(1962年登場)6001F
1962年に南海電気鉄道初のステンレスカーとして登場した6000系。
近年は最新型車輌に置き換えられて廃車が進んでいますが、2023年にトップナンバーの6001号車を含む6001F(6両編成)がデビュー当時の銀一色のデザインに復刻され、高野線(注2)の難波~橋本間と直通先の泉北高速鉄道で運用されています。
(注)厳密には難波~岸里玉出間は南海本線。
2.南海7100系(1969年登場)7169F
南海電気鉄道では初めてとなる両開き扉を装備し、1969年に登場した7100系。
このうちの7169F(4両編成)が8月21日より、デビュー55周年を記念して登場当時の緑の濃淡塗装に塗り替えられて本線と空港線で運用されています。
日によっては、関西国際空港への空港急行や和歌山市・和歌山港への特急「サザン」の運用に入ることもあるようです。
以上、南海電気鉄道の復刻デザイン列車2態をご紹介しましたが、話はこれで終わりません。
南海電気鉄道の子会社2社でも、復刻デザインの電車が登場して話題になっているのです。
3.阪堺電気軌道モ501形(1957年登場)504号
大阪市と堺市で阪堺線・上町線の路面電車2路線を運行している阪堺電気軌道は南海電気鉄道の子会社ですが、実は同社の路線は1980年11月末までは南海電気鉄道の路線でした。
そのため、1980年以前に導入された阪堺電気軌道の車輌は、もとは南海電気鉄道の車輌だったことになります。これは同時に、南海ホークスがあった時代の南海電気鉄道で活躍していた車輌ということも意味します。
写真のモ501形504号は、1957年に当時流行していた和製PCCカー(注3)の流れを汲む高性能車として製造された車両ですが、2024年夏に南海電気鉄道時代の立石電機(現オムロン)の広告電車が纏っていたオレンジ色に白い雲をあしらった塗り分け「雲電車塗装」に復刻されました。
504号に続いて、モ161形162号(1929年製)も水色に白い雲をあしらった「雲電車塗装」に塗り替えられましたが、こちらは冷房がないため冬場まで出番はお預けです。
(注)アメリカの高性能電車PCCカーに触発される形で、1950年代以降日本各地に登場したカルダン駆動や弾性車輪、ドラムブレーキといった新機軸を装備して登場した路面電車。
「PCC」とは「President's Conference Committee(電気鉄道経営者協議委員会)」の略。
4.泉北高速鉄道3000系(1975年登場)3519F
南海高野線と相互直通運転を行っている泉北高速鉄道は現在、南海電気鉄道の子会社となっていますが、2014年までは第三セクターの大阪府都市開発の路線でした。
この大阪府都市開発が1975年に導入した車輌が3000系です。
新型車輌に置き換えられ、残り4両編成2本計8両のみとなった3000系ですが、このほど登場50周年を前に、最後に残った3519F・3523F(1986〜1990年製造)が登場当時のデザインに戻されました。
ただし、厳密にいうと3519F・3523Fのうち一部の車輌は、1988年の南海ホークスの身売り後に製造された車輌です。
ちなみに泉北高速鉄道は、2024年度末を以て南海電気鉄道と経営統合する予定で、復刻デザインの3000系は同社の有終の美を飾ることになりそうです。
5.南海30000系特急「こうや」(1983年登場)
このほかにも、復刻デザインというわけではありませんが、南海電気鉄道で関西国際空港開港に合わせて実施されたCI導入の際、塗装変更の対象にならなかった特急「こうや」用の30000系電車も、まだ南海ホークスがあった1983年登場時とほぼ変わらないデザインで活躍しています。
おわりに
今年の日本シリーズでは基本的にベイスターズを応援するスタンスですが、関西ゆかりの球団であるホークスも何だかんだで馴染みがある球団ですので、今後も折に触れて関西に残る南海ホークスの面影についてお話することができたらと思います。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?