コロナ後初めて台湾を訪問して思ったこと(その1)
はじめに
この7月15日から18日、家内・義両親と4人で台湾を旅行していました。
私にとって台湾旅行はコロナ前の2019年秋以来5年ぶり。
初心者向け、夫婦向けのツアー旅行とあり、自由行動の時間こそあまりありませんでしたが、久しぶりの台湾を満喫することができました。
今日から全3回に分けて、5年ぶりの訪台を通して感じたことを、コロナ禍の前後に起こった変化の観点からいろいろお話しようと思います。
1.円安がもたらしたもの
私が初めて訪台した2005年当時は1台湾ドル=約3.3~3.4円のレートで、公共交通機関の運賃、庶民的な食堂や夜市の飲食物、アクセサリーなどが日本に比べてあまりに安いので驚嘆した覚えがあります。
しかし、昨今の円安もあってか、2024年7月現在のレートは1台湾ドル=約5円となっており、台湾での日本円の価値は往時の3分の2に下落。
特に宿泊料金や土産物代などは、以前と比べて大きく割高になっている印象を受けました。
今後、為替の状況がどのように変動するかは分からないですが、しばらくは昔のように台湾でお菓子やお酒、雑貨といった土産物、ブランド物の服飾品や化粧品を安い値段で買い漁ることは難しいと思ったほうが無難かもしれません。
2.新しくできた観光施設たち
コロナ禍で諸外国との行き来が断たれた2020年からの3年間、台湾各地では注目のスポットが数多くオープンしました。
ウォーターフロント開発で多くの観光客を集めていた高雄市のベイエリアでは、2020年に駁二芸術特区の横に高雄港大港橋が開業。
船を通行させるための回転橋であり、橋上からの眺望が観光客の人気を集めています。
高雄といえば、鉄道(台湾鉄路管理局→台湾鉄路公司)の地下化工事に支障するということで2002年に曳家工法で移設されていた高雄駅の旧駅舎も、19年を経た2021年に元の位置に戻りました。
もともと、台湾は日本統治時代に建てられた近代遺産の保存・活用に熱心で、鉄道を単なる移動手段ではなく産業遺産・文化遺産としても大切に扱ってきたお国柄です。
高雄駅旧駅舎のほか、台中駅では旧駅舎とその周辺に台中駅鉄道文化園区が、台北では台北駅に隣接する旧台湾総督府鉄道部庁舎を活用した国立台湾博物館鉄道園区が相次いで開業し、国内外から多くの鉄道ファンや観光客が訪れています。
日本統治時代に建設された近代遺産は鉄道関係以外にも数多く、たとえば台南市では消防署などとして用いられた合同庁舎が消防史料館、旧台南州会の建物が中西区図書館、かつての劇場「戎館」が商業施設となるなど、コロナ前から計画されていた歴史的建造物のリノベーションと再活用が着々と進んでいます。
二・二八事件の犠牲になった日台ハーフの弁護士・湯徳章(坂井徳章)の旧宅も、クラウドファンティングによる整備・修復が進み「湯徳章故居紀念館」として活用される方向とのこと。
こうした近代遺産や偉人の旧居は、日本とともに歩んだ台湾の現代史の生き証人として現代に生きる私たちに大切なことを教えてくれるはずです。
3.都市鉄道(地下鉄・新交通システム・LRT)は延伸ラッシュ
コロナによる渡航制限が敷かれていた時期の台湾では、観光施設や商業施設だけではなく、複数の新しい都市鉄道路線も開業しました。
以下、2020~2024年の台湾に開業した都市鉄道路線をまとめています。
台北・新北・桃園
・新北捷運(注)環状線(新交通システム)(大坪林~新北産業園区間)
・新北捷運安坑軽軌(LRT)
・新北捷運淡海軽軌藍海線(LRT)
・桃園機場捷運(地下鉄)(環北~老街渓間)
(注)2020年の開業から2023年5月までは台北捷運による運営
台中
・台中捷運緑線(新交通システム)
高雄
・高雄捷運環状軽軌(LRT)(籬仔內~愛河之心~哈瑪星間)
・高雄捷運紅線(地下鉄)(岡山高医(旧南岡山)~岡山間)
いずれの路線も、これまで都市規模の割に鉄道網が貧弱だった新北市や桃園市、台中市、高雄市といった各都市の交通事情を改善する切り札として大きな期待が寄せられています。
今回は自由時間がなく乗車を果たせませんでしたが、次の訪台の際に乗車するのを楽しみに待ちたいところです。(続く)
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