![10展示会産業](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/17047846/rectangle_large_type_2_467f06a451e49e3f98f78535188431ba.jpeg?width=1200)
展示会産業は、日本経済の救世主となる
なぜそこまでの断言を?
それは、現状でも展示会という産業は多大な経済への貢献を行っているものの、実は活用できていない圧倒的なポテンシャルをまだまだ抱えていて、その伸びしろは信じられないほど大きなものがあるからです。
私が普段活動しているフィールドの一つに「展示会」という産業があります。展示会に出展する企業の成果を最大化するための企画立案、場やコミュニケーションのデザインを中心に、出展企業をサポートしています。
展示会とは、商談のための場
さて、展示会という場を訪れたことのある方はどの程度いるでしょうか。よく誤解されがちなのですが、展示会とは「広報宣伝の場」という意味合いよりも「商談の場」という意味合いの方が強いのです。
東京ビッグサイトなど、大規模展示会場のイベントカレンダーをみていただくと分かりやすいのですが、開催されている展示会はその名称だけを見ても、いかに細分化されたニッチな業界をテーマに扱っているかが分かります。
そして、そのニッチな開催テーマの展示会が、わずか3日間程度という会期のなかで数万人を集客してしまうこともあります。その業界で活動しているプレイヤーが一同に会する場、出展企業にとって、これ以上大きな商談の機会はなく、その価値は既に語りつくされている感もあります。
特にB2B、生産財・中間財といったビジネスのフィールドで活動する企業にとって、「展示会」という場は商談機会として外すことができないほど重要なものとなっています。
現状でも展示会産業が経済全体に対して与えるインパクトは多大です。正確な統計は存在しませんが、展示会を介した顧客の出会いによってもたらされる「契約誘発効果」は非常に大きなものです。
10年以上前の調査ですが、東京ビッグサイトで開催された展示会における新規契約誘発効果は、おおよそ年間2.7兆円であるという推計も存在します。これ、全部「新規」の経済誘発効果ですからね、経済全体の取引額と比較しちゃダメですよ、「新規」だけでというところが大きなトコロ。
展示会産業は、そのポテンシャルを活かせていない
さて、展示会産業が経済全体に対して大きなインパクトを与えるというイメージは持っていただけたかと思いますが、私はまだまだ「序の口」だと思っています。
今でも多大なインパクトがある展示会産業ですが、そのポテンシャルを十二分に発揮できているとは言い難い。だからこそ、展示会産業がそのポテンシャルを真に活用できたときに波及するインパクトは日本経済全体に対して「救世主」と言えるほどの影響力に繋がると確信しているのです。
なぜここまで言い切ることができるのか。
その背景には、展示会という場はとてつもなく多大なポテンシャルを持つ一方で、展示会という場が持つポテンシャルを正しく理解し、場の最適な活用を実践している出展企業が非常に少数だという事実があるからです。
では、展示会という場の持つポテンシャルを正しく活用することは難しいことなのか。これ、まったくそんなことはないのです。展示会出展企業がほんの僅かな気付きを獲得し、ほんの少しの努力を重ねるだけで、大きく成果を改善することができるはずなのに。
展示会で成果を出すための活動とは、他のマーケティング活動と総合的に比較したときに、圧倒的に低コスト・低労力で成果の向上を実現することができます。費用対効果が尋常でないほど良いと考えてもらえれば良いでしょう。
大半の出展企業は「独りよがり」な表現に終始している
フラットな視点で大規模な展示会場を歩いてみると、よく分かるポイントがあります。それは、ほとんどの出展企業は「顧客に刺さるメッセージを発信していない」ということ。
「顧客に刺さるメッセージを発信していない」ということは「本当は展示会場内にいた自社の顧客になり得る来場者と出会えていない」ということに他なりません。
展示会場と来場者行動の関係性を紐解くと、実は「キャッチコピー」の精度が展示会で成果を出すためには命であると言ってもよいほど重要なのです。(その理由は以下URLで記載)
しかし、多くの出展企業はキャッチコピーを「顧客に向けて」発信していません。ただ単に自社の考えるセールスポイントを謳うのみ、そのフレーズが顧客にとってのセールスポイントではないとは気付かないままに・・・
キャッチコピーを顧客に対したメッセージとして発信できていないのであれば、ブース内でのコミュニケーションも顧客を基点としたものにはなっていないことも容易に想像できるでしょう。
ある種、圧倒的なプロダクトアウト的文化のなかにあるのが、現状の展示会場で大半を占める出展企業の立居振舞です。
この点については何度かリサーチをしたことがあります。
たとえば、来場者がその出展企業のブースに立ち寄るかどうかの判断材料として最も大きな要因であるキャッチコピーを「来場者を主語にして」「来場者の目的に言及する」ものとして表現できている出展企業は、展示会場内でどの程度の割合なのか。
展示会によって異なりますが、来場者に刺さる表現ができている出展企業数は会場のなかで10%を超えることはありません。ものづくりワールドという日本最大級の製造業系の展示会では僅か7%でした。
ほとんどの企業が顧客に向けたメッセージではなく、独りよがりな発信に終始しているのです。
ポテンシャルを活かせていないのに、成果のあがる展示会
ここからが今回のキモであり、重要な話題です。
独りよがりな、プロダクトアウトな、自分たちの言いたいことばかりな、そんな状態であっても展示会に出展すれば一定の効果が出ているのです。
だからこそ、多くの出展企業は次年度の展示会にも出展を申し込みます。展示会によっては本番期間中に次年度のブース位置を申し込ませ、契約にまでこぎ着けます。その年の出展成果がどうなるか分からない段階で次年度の出展を決定させるのです。
普通は恐ろしくて仮契約でも勇気が要りますよね。それでも出展企業の多くは当年度の展示会がまだ終了していない本番中に次年度の出展を決定します。なぜならば、一定の成果が挙がるであろうことは感覚値としても理解しているから。
展示会への出展企業数、展示会そのものの開催数、年間をとおした展示会出展面積数は、年々増加しています。日本全体で展示会産業が伸びていっていると考えてよいでしょう。
その根底にあるのは、「展示会に出展すれば自社のビジネスを成長させることができる」という多くの企業が持つ確信です。その多くの企業は「展示会の持つポテンシャルを活かす方法論」からは、かけ離れたアウトプットになっているというのに・・・それでも成果があがってしまうのが展示会なのです。
いかに展示会という場が持つポテンシャルが強力なものであるかということは、なんとなくイメージいただけたでしょうか。
成果に繋がる方法論を実践していないにも関わらず、一定の成果には繋がってしまうポテンシャル・・・では、成果に繋がる方法論を実践したとき、出展企業はどんな状態になってしまうのか!
この点についてはインターネット上や世に発売されている書籍にその声が挙がっています。曰く、展示会への向き合い方を変えると引き合いの軒数が〇〇倍に増えた、曰く、ブースにおけコミュニケーションを顧客志向で実践すると最終的な売上が〇〇倍に増えた。体験談として挙がるものの「成果の増加率」は、何も知らない人からすれば信じられないくらい飛躍的なものです。
私は、ウン倍ウン十倍の成果に繋がっても全く不思議ではないと考えています。それは、現在の展示会出展企業の大半が「自社基点の発信」であり、「顧客起点の発信」を実践している企業はごく少数だから。
ほとんどの出展企業が独りよがりな発信をするなかで、燦然と顧客志向の発信をするブースを見かけたら・・・来場者は間違いなくその企業のブースに吸い込まれていきます。
来場者の行動を想定すると、顧客志向のアウトプットを実践したブースの成果が爆発的に上昇する現象も説明ができるのです。
僅かな労力が、展示会出展企業の成果を最大化する
現状でも、展示会産業はその存在意義をアピールしています。そして、現状のようなコミュニケーションであったとしても存在意義は十分にあります。しかし、存在意義がある一方でポテンシャルを十二分に活かしていない、爆発的な「伸びしろ」が存在することも事実なのです。
少し古い資料から引っ張ってきた数値ですが、2014年の展示会小間総数は約15万小間と言われています。(出展:日本の展示会産業の概要)
小間とは展示会のブースを構成する最小の単位です。展示会によって小間の面積は多少の差異があれど、多くは3m×3mの9㎡ぐらいと考えていただければよいでしょう。
これが、その「伸びしろ」を出展者が活用できていないが為に、1小間あたり100万円の売上を喪失していたとしたら、それだけでも15万小間×100万円=1,500億の損失が産業全体で発生しているということです。300万だったとしたら15万小間×300万円=4,500億円の機会損失が発生しているということです。
ここで、上述したことに立ち返ります。
展示会という場の持つポテンシャルを正しく活用することは難しいことなのか。まったくそんなことはありません。展示会出展企業がほんの僅かな気付きを獲得し、ほんの少しの努力を重ねるだけで、大きく成果を改善することができるのです。
それは、視点を変える作業、顧客のことを真剣に考える作業、メッセージを練り込む作業、コミュニケーションを顧客にとって最適化する作業。これらは、ほんの僅かな気付きと、関係者の努力の積み重ねだけで実現できることなのです。
何も、展示会出展に対して多大な予算を投資しないといけないということでもありません。マーケティング施策にガっと予算を投入するモノとは訳が違う。
基本的には自分たちで気付き、自分たちで言語化し、自分たちで整理する作業です。だから、ほぼ前年と同じ予算でありながら、取組み方を変えるだけで成果が爆発的に増加するというケースは幾らでも考えられます。
つまり、産業全体の構造を変えるような新たな仕組みが必要だとか、ビジネスを飛躍させるイノベーションを生み出さなければいけないだとか、そんなハードルが高いモノではないのです。
そんな作業に比べれば圧倒的に投資額も工数も少なく、会社全体を見渡せば負荷が少なくて済むのが展示会出展に対するアプローチの改革です。
ある意味、「意識」や「マインド」のチェンジなので、多くの企業に対して落とし込むという面ではハードルが高いのかもしれません。しかし、それは経済全体という規模で考えたときの話しです。個々の企業にとっては、これほど容易に実践できる「自社を劇的に成長させる方策」など無いでしょう。
だから、展示会に関わる企業の「マインドを変える」という取組みは、驚くほどの経済効果が期待できるのです。それは、経済の総額ではなく費用対効果という意味でもありますが。
展示会産業が関わる、日本国民の関係者たち
BtoBの市場規模はBtoCのビジネスの20倍と言われています。中小企業の従事者数は全人口の7割を占めると言われています。この双方をクロス集計したような統計は見つからないので断言することはできませんが、それでも日本に住む多くのビジネスマンは「BtoB」の市場で活動する「中小企業」に属する人、と言ってしまえるのかもしれません。
この分野の企業が成長するチャネルとしては「展示会」が最もわかりやすい手段です。だから、展示会に対する「向き合い方の最適化」は、結果的に日本国内の大多数を占める企業とその構成員の成長と幸福に寄与するのです。
一方で、世のクリエイティブとして持て囃されているアウトプットは、大半がBtoCであり大企業の提供するサービスのものです。単体の予算としてはソチラの方が多くなるという理屈は理解できます。
しかし、市場規模であれば圧倒的にBtoBかつ中小企業のフィールドの方が大きなモノです。ですが、この分野にクリエイティブの価値観は落とし込まれていません。
そして、真に「デザインのチカラ」、「クリエイティブのチカラ」を欲しているのは展示会産業です。現状の展示会産業における「デザイン」は世が期待する「デザイン」の効果の二周遅れぐらいの位置に存在します。
展示会出展企業に「デザイン」を提供するはずの装飾会社やデザイン会社は、意匠のデザインばかりに囚われ、コミュニケーションをデザインできるサプライヤーはごく少数です。
よくよく考えてください。多くの国民・経済が関与している分野なのにクリエイティブの進出は二周遅れぐらいの現状で、伸びしろは多大なものがあるという現状。いっそ国策レベルで莫大な投資があれば、いかに成果につながるかということもイメージできるでしょう。
だから、私はもっとクリエイティブ産業に従事する人々に、この市場のことを知ってほしい・参画してほしいとも考えています。それが、産業全体の競争力に繋がるはずだから。
展示会への向き合い方が最適化されたとき、経済に何が起こるのか
荒唐無稽なロジックでしょうか。私はそうは思いません。
展示会産業の価値を信じながら、展示会という場を多くの出展者が正しく活用できていない現状を歯がゆく思います。
もっと、展示会という場の価値を出展企業が適切に活かせるソリューションを作らなければならない。そんな使命感から生まれたのが、「展示会の成果を最大化する13のワークシート」です。このシートを使って展示会ブースの企画を立案すれば、少なくともここまで述べたような課題はクリアできるでしょう。
と、まずは展示会出展企業が気付くことが第一歩。そのためには産業全体、あるいは行政も巻き込んだ活動を実践していかなければいけません。
ですが、残念なことに展示会産業は「出展企業が正しく自社価値をアウトプットする」という方向性の支援はできていません。
もちろん、マッチングの精度を向上させるために来場者に対して「課題」を基点にした出展者探しができるような取り組みを実践したりしてはいます。しかし、そもそも出展企業自身が「顧客から見た自社の価値」を正しく言語化できていないことにはマッチングも何もないでしょう。
展示会規模を拡大し、展示会場を拡大し、来場者と出展者をさらに増やしていく。もちろん、この方策で契約誘発効果は日本全体で、展示会産業全体で高まります。
しかし、相変わらず「自社の価値を正しく言語化し、出会うべき顧客と適切にマッチングする」という展示会が本来持つポテンシャルは活用されないままです。
私は、そんな現状を勿体なく思い、強い課題意識を感じ、大きな期待と希望を抱いています。その現状を改革することが、大きなインパクトを生み出すと信じています。
展示会は、日本経済の救世主になる。
何を馬鹿なことを、と笑われるかもしれません。しかし、私は本気でそれを信じ、私が信じる情報発信とコミュニケーションを実践します。願わくば、多くの方にその価値の一端でも感じてもらえると幸いです。
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