【なぜ自治体は中国問題に沈黙するのだろうか】
最近、大学生と、元木哲三さんと毎週土曜日にラジオをしている。時事問題を扱う。
共演する大学生はめきめきと時事に関心が深くなった。特に、外交。アジア、中国問題。
最初は台湾もウイグルもゼロ知識に近かったが、若さはすごい。
あっという間に強い危機感と深い洞察を持つようになってくれた。嬉しいことだ。
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さて、中国問題。
この1,2か月だけで、かつてないスピードで状況が展開している。
バイデン政権の誕生に息を合わせたように、尖閣諸島への侵入、海警法の制定、ウイグル人権弾圧(ジェノサイド)、香港の民主勢力の排除、そして台湾への電撃侵攻の気配。
そんな中での北京冬季五輪をどうするのか。
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そして、先週は、見たこともないような、アラスカでの米中外相会談でのバチバチの舌戦。
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「韜光養晦(とうこうようかい)」、つまり「爪を隠して、内に力を蓄える」という言葉を中国は掲げた。
だが、もはや、爪は隠してない。南シナ海への進出をはじめ、上に掲げた動きは、露骨にも見える。
ランドパワーの拡大を、シーパワーがどう対峙するか。
間違いなく、世界史にとって、とりわけ日本にとって、重要な局面に来ている。
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それに対して、日本・アメリカ・オーストラリア・インドはタッグを組んで、環になって、中国を抑えようと動く。
「自由で開かれたインド太平洋」(FOIP)の構想に基づく史上初の首脳会談、日米の2プラス2、イギリスもまだGlobal Britainを掲げてアジアに関わり始めている。
これらの動きを主導したのは安倍外交。明治以来、日本が世界的な戦略を主導し、米国をも動かしているのは画期的なこと。素直に評価すべきこと。
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ところで、なぜ、外交や中国問題には、地方自治体は沈黙するのだろう。
ウイグルの人権弾圧ひとつとっても、
無論、役割分担を言えば、無論「国」の役割である。自治体は行政管轄区域内の行政が役割。
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しかし。
九州・福岡は、元寇まで遡らなくとも、アジア、中国が、混乱すれば、最初にダメージを受ける。
人とモノの交易も盛んだ。「アジアの玄関口」なんてことも言い募ってきた。
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万が一、台湾有事が発生すれば、沖縄→九州、と一気に大波が来ることは不可避だ。
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九州・福岡は、「九州を守る」ことはもとより、日本国の”橋頭堡”として、「日本を守る」役割をも持つ。
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国際情勢に無頓着な地方ではあり続けられない。九州・福岡は特にそうだ。
何も、中国が好きとか嫌いとか、感情論をやれというのではない。
起きている現実を目の前に、どう考え、どう国と連携し、どういう備えをしておくのか。
人が流れこんで来たらどうする?交易が止まったらどうする?電子戦が繰り広げられたらどうする?
途轍もない影響が起こる。
いくらデジタルだ、医療だ、と内向きに盛り上がっていても、一瞬で吹き飛ばされる危険性がある。
そこを、やっておかなければならない。切に思う。
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そのためには、地方政治・行政だけでなく、メディアの役割も大事。教育も大事。
地元ニュースで外交と地域の関係を解説することなどほとんど目にしない。
それでいいいのだろうか、と思う。
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起きてから、では遅い。災害もコロナも同じ。
打撃を受けてから、やおら立ち上がる鈍さでは対処できない。
生命・財産がすべてかかった課題だ。
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九州は沈黙しておられない。
薩摩・長州ではないが、一つの藩で外国と対峙したときの気概を思い起こさなければならない。
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そんなことを胸に、大学生と議論をしている。
彼らも、腑に落ちれば、ぐんぐん問題意識を持って、考え始める。
「次の世代」を、次の日本を守る中心は彼らだからだ。
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沈黙してはおられない。
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