東京近郊の人気中古マンションを、内覧から5日間で購入できた理由
先月、中古マンションを購入しました。
しかも、人気物件だったので、内覧からたったの5日で。
買ってみてつくづく思ったのは、「難しい決断だったな」、ということでした。
不動産の購入は、人生の中でもかなり重要な決断の1つだと思います。普通の買い物と比べて価格が二桁以上違う。その後の生活の満足度にも大きく影響する。
同時に、あなたが欲しい物件は、他の人からも欲しい人気の物件だったりします。
だから、ある種の競争相手がいることを意識して、スピード感を持って決めないといけない。なので、競争相手が決め切るより早く見つけ、早く動く必要がある。さらに、短期間で決断をする必要もあります。難しい決断であるにもかかわらず。
実際に買ってみて、「こうして良かった」「こうしてなければ買えなかった」ということが幾つもありました。
人生でも数回しかしないだろう経験なので、自分なりに学んだことを共有できればと思います。
先に、この記事の要点を書いておきます。
購入までのあらまし
マンションを見つけてから1週間、内覧をしてからわずか5日間で購入契約まで進みました。
時系列で書くと下記の通り。
12/5(火) 中古マンションサイトで物件を発見。元々付き合いのあった不動産仲介経由に週末の内覧を依頼する
12/7(木) 上記仲介から「今週末は予約が多いため、内覧が出来ない」という連絡を受ける
12/8(金) 中古マンションのサイトに出ている別の不動産仲介に直接電話で交渉。「15分・3組同時の条件で良ければ」という条件で見学許可が出る
12/9(土) 物件の内覧。そのまま、買付依頼書を書く。再度の内覧調整を依頼、翌日30分の内覧許可を得る。妻と長く議論
12/10(日) 再び物件の内覧、妻との長時間の議論
12/11(月) 仕事の空き時間に妻と議論、夜に子供向け教室をやっている知人にヒアリング
12/12(火) 周辺マンションの見学。不動産購入契約の締結
1,自分が求める条件を出来るだけ明確にしておく
まず、そもそも欲しい物件の条件を決めておくことが重要です。でないと、そもそもマンションを選べない。
我々の場合、2年ぐらい少しづつ物件を内覧したり、一度は買付証明書を出して交渉する段階まで行ったので、かなり条件は煮詰められていました。
・管理しやすく資産価値が高いので戸建てではなくマンション
・子どもが4歳で保育園に歩いて通っているので、その保育園から歩いて10分程度に住みたい
・付近に評判の良い小学校が2つあるので、どちらかの学区
・子ども部屋、寝室に加えて、リモートワークが出来る書斎が欲しいので3LDK
・住み替えも考えたいので資産価値が出来るだけ高い物件。具体的には、築浅(20年以下)で、割高感の低い値段(今は全て割高ですが……)
・両方とも勤務先まで電車で1時間弱かかるため、駅近。出来れば、歩いて10分以下
・お風呂の追い炊きが可能なこと
合わせて調べておく必要があるのは、自分が欲しい物件がどのぐらい存在するかです。
私の場合、地域がかなり限定されていました。保育園を移らない時点でその付近に絞られ、しかも、今の保育園と小学校の学区の都合で、選べる物件は限られます。
また、住んでいる街はバブル期に開発された町だったので、築30年以上の物件が非常に多い。特に、一等地で開発を先に進める駅前は、ほとんどが築30年以上。そこを外すと、さらに選択肢は限られます。
意外と「お風呂の追い炊き」機能のありなしで落ちたマンションも多かったです。マンションの場合、リフォームしても後からは付けられない場合がほとんどのようです。でも、慣れるとないと嫌ですもんね、追い炊き。
条件を明確にしたうえで不動産屋さんに何度か相談すれば、エリア内で条件に合う候補を明確にすることができます。
私の場合、すべての条件が満たせる可能性があるのは3-5マンションしかないこと、かつそれらのマンションは戸数がものばかりでした。過去の売却実績を見ても複数年に1度しか出ていない案件が多かったです。
そのため、出てくる可能性は低く、出ても競争が極めて厳しい。
スピード感が求められる短期決戦になるということを覚悟をしつつ、マンション探しを進めました。
2,毎日不動産サイトを見る
短期決戦を制するには、まず情報を早く仕入れることが大事です。
人気がある物件は、早く決まる可能性が高い。であれば、出来るだけ早くスタートダッシュを決めた方が良い。物件を見つけ、内覧を始めてしまった方が良いです。
まず、大事なのは毎日中古マンションのサイトを見て、条件に出来るだけ合う物件を漏らさずに見つけることです。つまり、レースの号砲を見逃さないこと。
うちの家庭の場合、幸い妻がそういう情報を仕入れることが得意だったので、妻がほぼ毎日サイトをチェックし、物件を見つけてくれました。感謝。
これについても分かったことが二つあるので書いておくと……
まず、すくなくとも中古マンションの場合、検索サイトは複数見る必要はないと思っています。
不動産仲介業者は、彼らが共有しているデータベースが存在するようです(参考)。そのサイトに登録されたものは、原則全ての検索サイトに飛びます。
各不動産仲介が独自に抑えており外に出していない物件もあるのでは?と思い、色々な人に訊いたり調べたりしてみたのですが、かなり例外的なケースに限られるようです。
また、不動産仲介に「これこれの条件に合う物件が出たら教えてください」とお願いしても、そこまでタイムリーには分からない可能性が高いかと思います。
自分が一番欲しい物件は自分たちがいちばんよく分かるし、一番の熱意で見られる。それが一番早い、という結論でした。
マンション名まで正確に共有しておくと、数日遅れで情報を貰えることはあります。毎日サイトを見られない場合、抜け漏れ防止としては良いかもしれません。
ただ、短期で決めてしまう人がいる場合、数日の遅れが致命的になりえます。今回で言えば、火曜日に出て週末の内覧に間に合っていないと他の競争には絶対に勝てませんでした。そして、その予約は木曜日時点で埋まっています。本当に短期決戦の物件には合わないかもしれません。
3,不動産仲介は「両面」を選ぶ
ただし、今回の物件の場合、順調に内覧まで進めたわけではありませんでした。
はじめは、元々相談をしていた不動産仲介の会社に内覧の依頼をしていました。でも、その仲介企業では、週末に内覧が取れなかった。
でも、短期決戦になることは見えていたので、この週末を逃すと売れてしまうリスクがありました。
是が非でも、内覧はしたい。
その思いで不動産サイトに載っていたこの物件の扱う不動産仲介企業に電話をして、「何とか週末に内覧をさせてもらえないか」と交渉をしました。
今回の場合、私が出した条件は下記2点。
①内覧当日に買付依頼書を出すことも考えている
②現在、他の不動産仲介企業から見学のお願いをしているが、この週末の内覧がOKなら貴社に仲介を切り替えても良い。
それぞれ、条件を出すに至った自分の考えを書いておきます。
①仲介業者は、出来るだけ購入意思が高い人に内覧して欲しいはずです。売主にとっても満足度が高いし、彼らとしても早く手数料が欲しい。営業担当者としては、出来るだけ自分で制約を決めたい。なので、当日、「買付依頼書を出す」と言うことで購入意思が高いことを示しました。
ただ、これは諸刃の剣と言える部分もあります。依頼書は金額や売買契約の時期などを書き記す必要があり、そこに従って決断しないといけなくなります。
元々競争が激しいと認識していたので早く決断する気ではいましたが、ここで短いスパンで売買契約をすると書いたことで、より意思決定までの期限が縮まった側面はあります。
②2つ目は背景として不動産仲介ビジネスの形態から説明します。
不動産仲介は、売り手側、買い手側のそれぞれにエージェントとして不動産仲介が付きます。そして、売買が成立した際、その3%+αを手数料として受け取るというビジネスです。
ただ、これは両方の仲介になることも可能で、その場合は売主から3%、買主から3%の両方を受け取ることが出来ます。
つまり、不動産仲介としては、両方から収益を得られる両面の方が儲かる。だから、そういう買主を優先したい。これが本音じゃないのかな、と推測しています。
これは邪推で、本当にそうかは分かりません。
ただ、今回の場合は、上記条件を提示したことで、結果的に内覧をある意味ねじこんでもらえました。それがなければ、今回の物件は買えなかったと思います。
ちなみに、この週に内覧が出来たのは、3組だけでした。30分の同じ時間枠で、3組が同時に見学するというやや変わった形式でした。
見学していた残りの2組も、見学に同行していたのが同じ不動産仲介でした。なので結果的に、この週に内覧が出来たのはこの不動産仲介に申し込んだ人だけということになります。
これだけ少ないのはお伺いすると理由がありました。
まず、今回の売主の方は共働きでお子さんもいるため、平日は内覧は断っていて受けられるのは週末だけ。
また、この週末、売主の方は他にも色々予定がありました。出したばかりの物件なので、不動産サイトに出すための写真撮影がこの週末に必要。かつ引越先のマンションを買ったばかりで、その手続きも必要。
ということで、今回の場合は、直接、売主側の不動産会社に内覧するのがスピード決着のためには必須でした。
他のケースではどうかは分かりません。ただ、同じリスクがある以上、両面の不動産仲介に依頼した方が短期決戦では確度が高いのでは?と今回体験して感じています。
4,買付依頼書を早めに出す
不動産購入プロセスは「内覧」➡「買付依頼書」➡「不動産購入契約書」と言う順番で進みます。
そして、正式な購入の意思表示は買付依頼書を出した段階から始まります。
これを一番はじめに出すことが、まず短期決戦で購入までたどり着くためには重要です。同じ条件であれば「はじめに意思表示した人だから、優先してほしい」と仲介業者にお願いしてもらえます。
今回であれば、内覧した即日に買付依頼書を出しました。かなり購入の意思が高く、短期決戦になると予測していたためです。
尚、同じ日に内覧をした中に、私よりも1-2日遅れた段階で買付依頼書を出した方がいたそうです。ただ、その人は家族が海外出張に行っていたため、契約まではすぐに至れなかった。その間に私の方が先にその物件を契約した、という状況でした。
スピードが大事、かつ、物件との縁も大事だな、と感じる話でした。
尚、「他の競争相手がいるか?」「競争相手はどのプロセスまで進んでいるか?」という情報の共有も仲介業者の方にはお願いしていました。いつまでに最終的な売買契約締結が必要かを判断するためです。
頂いた情報が全て正しいかは分かりません。私が早く決断するように少しバイアスのかかった情報を貰っていた可能性もあるかと思います。
ただ、一番危ないケースは教えてもらえると思ったので、上記依頼は有効かと思います。
また、この情報提供は売主側の情報なので、全ての買主側の情報も持っている両面の仲介の方がより正しく情報が取れるかと思います。
5,短時間で出来るだけ調べて、家族で話し合う。
スピード勝負には付いていったとしても、最後の難題が待ってます。
「ほんとにその家買うの?」ということです。
買付証明書を最速で出した後、売買契約を結ぶまでにその決断をしなくてはいけません。今回のケースでは4日間。これは極端に短いですが、売買契約締結が購入の最終決定なので競合がいる場合早く決めないと買い逃すリスクがあります。
個人的には、これまで2年近くこのエリアで家を探してきて、自分たちの家選びの条件はかなり見えていた気でいました。
でも、今回、本気で家を買う前提で内覧をすると、これまで考えたことがない条件が見えてきました。
小学校が変わることが一つのポイントでした。考えていたエリアでは2つ小学校があり、どちらも評判は良い。でも、今回の引越で今住んでいるマンションとは通う学校が変わる。少し調べるとクラス数も2クラスと少ないし、今の保育園の友達とも違う小学校になってしまう。何より知り合いも全然いないので、この小学校のイメージがわかない
そして、日当たり。今回のマンションは南向きでしたが、1階かつ、すこし離れて別のマンションが建っていたため、必ずしも朝の日当たりは良くない。
逆に考えもしなかった良い条件もありました。庭が付いていたことです。4歳の息子は、虫や植物などが大好き。内覧中ずっと楽しそうに庭で草をいじったりしていました。今のマンションよりも多く家庭菜園等も出来そう。
これまで考えきれなかった新しい条件が出てきた。でも、短期間で決め切らないといけない。どうするか。
私たちの場合、短時間で出来るだけ情報を集めました。
まずは、小学校については知人で小学校向けの塾を開いている知人がいたので話を聞きました。学校の様子や、保護者の雰囲気、懸念点の確認が出来て、大分安心することが出来ました。
日当たりについては、違う時間に家の前まで見に行ったり、お願いしてもう一度短期間で内覧させてもらうこともしました。特に今回、初回が30分と内覧が短かったので、2回見れたのはとても良かったと感じています。
そして最後に、他の選択肢が本当にあるのか、待てば出てきそうなのか、を出来る限りで調べました。
まず、不動産仲介にお願いして、条件のあうマンションについて、ここ数年で決まった物件を全て見せてもらいました。それを見ると、改めて条件に合う間取りはほとんどない。かつ、予想以上に出ているのも数年に一度。
実際、妻と一緒に他の候補マンションを見に行くこともしました。意外と候補に挙げてても実物を見に行ったりしてないものなんですよね。そして、みてみると、「今の候補の方が全体的にきれいかな……」とか違う基準が見えてきたりする。
「待ったとしても、これ以上の条件が出る可能性はかなり低い」「さらに次の候補を待つとすると、かなり長い期間になる可能性が高い」
この辺りの確認が取れたことで、決断の確度が高まったと思います。
この短時間で決め切らないといけないというのが正直一番苦しかったです。
なんといっても大金を払い、今後、日常を家族と過ごす家。短期間で、色々と調べて、かなり家族で話し合って、それで最終的に家を買うことを決めました。
条件が複数あればあるほど、全てを100点で満たす物件は難しいのだと思います。
なので、どこまでが許容範囲なのか。また、どこまでが買った後に対応できるのか?ということが重要なのかな、と思っています。
現実的には、まだ実際に住んでないので、住んでみたら合わないという可能性はあるんですが。。。ここは住んでからの色々な工夫で「この選択を正解にする」という努力をするところかと思ってます。
まとめ
ということで、今回の件から自分なりに学んだ人気の高いマンションを買うポイントを改めてまとめます。
最後に。
実際家を買ってみて思いましたが、家を買うのは楽しいことであると同時に、「とても怖いこと」だと思いました。
数千万円のローンを背負わなければならない。一度決断すると、それで生活の色々な部分が決定してしまう。そして、不満を解消すべく買い替えると数百万のお金がかかる。
この決断をするのは、かなり難しい。でも、その決断を、今回のようなケースでは、ほんの数日という短期間でしなければならない。
自分も、家族も、かなり悩んだので臆病で慎重すぎるのかな、とも思いました。でも、こうやって並べてみると、やはり難しい決断だと思います。誰にとっても難しい。この慎重さを、誰にも「チキン野郎」と罵られる筋合いはないぐらいには。
では、なぜその決断が出来たのか?
二つ大きく理由があったと思います。
まず、しっかりと過去に検討をして、準備が出来ていたこと。
短期間で難しい決断をするためには、しっかりと情報を集め、自分なりの「見立て」がないと判断できません。「もっといい物件があるのでは?」「この値段は高すぎるのでは?」そんな疑念があれば、短期間で決められない。
その見立てを持つためには、実際に本気で調べて本気で買おうとしてみるしかありません。色んな物件に内覧に行くこと。家族で議論すること。本気で買うつもりで買付依頼書を出してみたこと。特に最後の一度買付依頼書を出したのは勉強になりました。
これは、他の全ての学びと同じだと思います。
実際に、出来るだけ打席に立つこと。そして、出来るだけ色々な投球を受けること。すこしストライクゾーンから外れてもバットを振って、その時のスイングの振り遅れや投球の速さを知ること。
そうして学んだ自分なりの選球眼があってこそ、本気でヒットを狙ってバットを振れる。
次に、色々な人の助けを借りれたことが大きかったです。
振り返ると、本当に多くの人から情報を貰えたことが、自分の見立てを養ってくれました。
街の情報を頂けた他の不動産仲介の方、過去の経験から様々なアドバイスをくれた両親、小学校の情報を教えてくれた知人。元不動産企業勤務の知人からも的確なアドバイスをもらいました。
さらに言えば、不動産Youtuberの方の情報を見たり、不動産の本を複数読んだことも役立ってます。
闇雲にバットを振り回すだけでなく、バットの振り方を教えてもらったり、一つ一つの打席を振り返って学ぼうとすること。これも、色んな学びと同じですね。
そして何より、最終的に物件を購入する上では、手続きを素早く進めてくれた不動産仲介の方の手助けが必須でした。短期間で購入出来たのは、様々な手続きを急いで進めてくれた仲介の努力なくしては成り立ちませんでした。
改めてそうした方々に感謝を。
このnoteも不動産購入を考える誰かに、すこしでも役に立てれば幸いです。
(追記)
これは、あくまで今回の自分が経験から学んだことを書いています。
物件が違うと、上記が全て正しくないこともありえるでしょう。なので、最後に書いた通り、色々な方から情報を集めた方が良いかと思います。
(追記2)
本文内では書けていませんが、「不動産仲介を内覧依頼後に切り替える」というのは、信義上あまり望ましくない行為だと思っています。売買まで少なくとも取り扱えるという前提で、それまでは無償で様々なサポートをして頂くので。はじめにお願いした方には申し訳なく思っています。
一方で、今回の件においては仲介してもらう企業を切り替えたのは結果的には正しい判断だったと思っています。後で振り返れば、スピード勝負で最後までゴールに辿り着けた原因の一つだった。
なので、もう一度同じプロセスを繰り返せるなら、自分であればはじめからスピード勝負だと分かっていれば、中古マンションサイトに書かれていた仲介業者と直接交渉するでしょう。
(追記3)
この記事では、両面の不動産仲介を奨めていますが、全てのケースには当てはまらないと思います。特に、下記のケースは両面は向いていない気がします。
①交渉すれば価格を下げられる可能性がある物件
不動産業界の論理に通じている仲介の方に売り手の立場に立って相談してもらった方が良いかと思います。
②広く物件情報を知りたい段階の場合
複数の不動産仲介に当たって色々アドバイスしてもらった方が良いかと思います。
逆に、両面は短期決戦型の人気物件を買いきるには向いてるかと思います。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。とても嬉しいです 頂いたサポートで本を買い、書評を書くのが夢です!