目標振り返り面談に『取材・執筆・推敲』が生きる
目標の振り返り面談でのフィードバックが、やや腑に落ちなかった。
自分の所属している会社では、年始に業務目標を立てる。そして、年度の折り返しとなる今頃には、一度振り返りの面談を行うことになる。こういうやり方の会社は多いだろう。その際、上期のあなたのパフォーマンスはこうだった、だから下期はこういう所を頑張ろうね、とコメントを貰う。これがフィードバックである。
が、そのアドバイスがやや腑に落ちなかった。当然、アドバイスはありがたい。頂いた内容も、正しいと思う。が、なぜか少しモヤモヤする。そこを目指して頑張ろうという意欲があまり湧いてこない。
なんでだろ。会議が終わった後に、頂いたアドバイスを文章に起こしつつ、理由を考えていた。そして、ふと、「何か参考になる話があったはず」と思い開いたのが古賀史健さん著の『取材・執筆・推敲』だった。『嫌われる勇気』で知られる日本有数のトップライターの書いたライターに向けた教科書である。
第4章文章の基本構造。P186「説得から納得へ」にこんな記述がある。
では、どうすれば読者の同意を引き出すことが出来るのか。
「納得」だ。
読者にとって、説得とは「されるもの」である。そして納得は「するもの」である。前者は不本意な受動であり、後者は能動である。
うん、「不本意な受動」という感じ。心が躍っていない。能動ではないから。「やったるで!」とは思っていない。
ではどうすれば、納得が生まれるのか?
なにがあれば読者は、みずから歩み寄ってくれるのか?
課題の「共有」である。
これから論じるテーマが、読者(あなた)にとっても無関係ではないと知ってもらうこと。むしろ、今の自分にこそ切実な課題だと感じてもらうこと。
ああ、これだ。「課題の共有」が足りないんだ。
「切実な課題」だと感じられていないんだ。
もう少し自分の言葉に置き換えると、なぜその人がこの改善を求めているのかのWhyが分からない、ということだった。
そう感じた理由も分かってきた。同時に受けたフィードバックで「出しているアウトプットには満足している」という話があった。だとしたら「なぜ、改善が必要なのか?」というのが分からない。プロセスで多少課題があるのは分かるが、必要なタイミングに必要なアウトプットが出せていればいいんじゃないか? 違うとすると、何か別の課題意識があるのか?
ということで、その後にメールで「先ほどのフィードバック頂いた課題感はなんでしょうか?」とストレートに訊いてみた。すると、丁寧な答えが返ってきた。その中では、自分の想像していない状況が想定されており、それなら、もうちょっとがんばらなあかんなぁ、、、と思わせてもらった。「納得」した、のだろう。そして、納得する方が、力もやる気も出る。
元々、『取材・執筆・推敲』はライターのために書かれた教科書だ。勿論、目標振返面談で感じたモヤモヤを解消するため方法は書かれていない
でも、よく考えられた思考の枠組みは、他の事象にも転用が効く。たとえば、ビジネスでフレームワークと呼ばれているモノも、長い年月をかけて磨かれた枠組だ。
深く、深く、考えられたものは本当に偉大なんだな、と改めて思う。
良い本の射程は、長い。
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