あんまり覚えてないや

「この歌のタイトルがすごいと思う大賞」を仮に作るとしたら、確実にTOP5に入るのがMr.Childrenの『あんまり覚えてないや』だ。(あと、もう一つの当確が『名前をつけてやる』)
この曲の中では、彼女との夜の出来事、ふと降りてきた美しいメロディーなどを「あんまり覚えてない」けれども「とても美しい瞬間」として描く。
この組み合わせは、ひとつの概念の発見ではないかと思う。とても美しい瞬間は日常に溢れているし、後から振り返るとあんまり覚えていない。残滓のような微かな気持ちの揺れや、断片的な映像が頭の中に残るのみだ。少なくとも自分は。

とnoteを書いていると、「おきたぁい」と言ってこどもがベットから出てくる。布団をまだ被り続けりれないので、足まで隠れるスリーパーを着ている。長すぎて歩きにくいらしく、時々スヌーピーの柄のスリーパーを引き上げつつ歩く。
床にあるプリンターの前まで行き、「これなに?」と訊かれる。プリンターだよ、と答えると「やりたくなっちゃった」と続ける。ブームなのだ、プリンターが。
「ぎらふぁのこぎりくわがた」とリクエストが来る。東南アジアのクワガタ。大型で人気なのだ。パソコンを開きGoogleの画像検索で調べる。途中で出てきた一枚の画像を見て「こーかさすおおかぶと?」と子供が言う。確かに。検索は違う画像も出てくる。結局、コーカサスオオカブトのおもちゃの画像を印刷する。嬉しそうな子供は、昨日と一昨日にも印刷した虫の写真に今日印刷したコーカサスオオカブトを重ねていくーー。

他にもこんな瞬間があったと思う。
でも、あんまり覚えてないや。

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