電話の相手は???
私は、小学生時代の4年生からサッカー部に入っていた。練習は土曜日の放課後と水曜日あたりにあったような感じで、他の日は各自で練習していたような気がする。あまり熱心ではなかったので、よく覚えていない。
私は上手くなかったし、友人に誘われて入っただけで、本心は早く帰って吉本新喜劇を見たかったし、駄菓子屋にも行きたかった。ただ唯一の左利きというだけで、試合に出してもらっていたが、私はベンチで観戦する方がよかったという変な子供だった。
夏休みに入ると、隣街のサッカーグランドで練習を行う。学校の運動場は狭すぎて、本当に狭すぎて、とても試合なんてできる状況ではなかったので、サッカー好きのみなさんには、広いグランドでのびのび練習や試合を楽しめる嬉しい時が来たみたいだが、私は狭いグランドの方が良い!
隣街のグランドには現地集合で市バスに乗って行く。初めてそこに行く前日に、電話がかかってきた、もちろん携帯電話など存在していない時代、母から私にだと電話に出ると、マシンガンのような早口で一方的にしゃべくり倒す相手だった。「あしたやねんけどばすのじかんやけねんけどおれなんじにのったらええんかなほんでなにもっていくんかなとにかくいっしょにいこうや<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<」
何を言っているのか全くわからない。誰なのかも検討も付かない!
「ところでお前誰や?」と聞くと、軽いトランス状態の彼は、「おれやおれやおれやんか!」と早口で返してくるので、ちょっとこわくなり、約束をして電話を切った! 誰???
明くる朝バスに乗ると数人の顔見知りが乗っていたので尋ねるが、誰もかけてきてないらしい。次のバス停からも数人乗ってきたが違うみたいだ!
本当にこわくなってきた。
グランドに着くと、すでに半分以上は集まっていた。が、全くわからない。練習どころではなかった。明日も練習がある!
案の定また、電話がかかってきた!昨日と同じ早口でしゃべっていたが、
途中でさえぎった。「今日、来てなかったやろ!」また、早口で「きょうな<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<」わかったからと一旦、落ち着いて聞いた!「ところでお前誰や?」
「おれやおれや」また昨日と同じ!
「おれって誰やねん?」当然の問いかけだった!
「おれや、(○○○いち)やん!」
名前は知っているが、遊んだことのない彼であったが、何故私に?
「明日は来るんやろ?」
「いくでー!」 しかし、来なかった。
そもそも彼は、サッカー部だったかな?
結局電話もそれっきり、聞くところによれば、部員ではあったが、ほとんど練習には参加していないらしい。そして、辞めたらしい。
夏休みが終わって、(○○○いち)の元気そうな姿を見てホッとしたが、、、
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