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【映画解釈/考察】『寝ても覚めても』/『ドライブ・マイ・カー』「不条理な世界の存在として、それでも言葉の世界で生きようとする者たち」
『寝ても覚めても』(2018)濱口竜介監督 『ドライブ・マイ・カー』(2021)濱口竜介監督『ドライブ・マイ・カー』を扱った以前の記事で、『ドライブ・マイ・カー』は、不条理な世界を認めざるを得ない一方で、それでも言葉による新たな物語を創出して生きていく人々を描いた物語であるという解釈をしました。 そして、『ドライブ・マイ・カー』を見た後、再度、『寝ても覚めても』を見返してみると、非常に多くの共通点を発見することができ、『寝ても覚めても』は、『ドライブ・マイ・カー』に直接影
【映画解釈/考察】『ぼくのエリ 200歳の少女』『ボーダー 二つの世界』「引きこもりの物語の表象的存在としての異能者(亜人)とエディプス・コンプレックスの克服」
『ぼくのエリ 200歳の少女』(2010)トーマス・アルフレッドソン監督 『ボーダー 二つの世界』(2018)アリ・アッバシ監督 スウェーデン作家ヨン・アイヴィデ・リンドクヴィストによる原作・脚本 『ボクのエリ 200歳の少女』と『ボーダー 二つの世界』は、ともに、スウェーデンの人気ホラー作家ヨン・アイヴィデ・リンドクヴィストの小説を原作としている上に、自ら脚本に携わっています。 ヨン・アイヴィデ・リンドクヴィストは、もともとスタンダップコメディアンや手品師をしていたよう
【映画解釈/考察】スティーブン・ソダーバーグ監督『セックスと嘘とビデオテープ』「女の虚像に囚われた男と、視線の反転による開放」
『セックスと嘘とビデオテープ』(1989) 1.スティーブン・ソダーバーグ監督の映画作家としての凄み スティーブン・ソダーバーグ監督の長編映画デビュー作にしてカンヌ国際映画祭パルムドール受賞作でもある『セックスと嘘とビデオテープ』は、刺激的で挑発的なタイトルとは対照的に、男女関係を哲学的に捉えた、論理的なストーリーが展開されるプラトニックで、精神分析的な作品です。 そして、この作品だけで、ソダーバーグ監督の映画作家としての凄みを、充分実感することができる、そんな作品で
【映画解釈/考察】レオス・カラックス監督『ホーリー・モーターズ』(2012)「"眼差し"と"演じる"ことから逃れられない人間たちを、"映画館"に運ぶホーリー・モーターズ(レオス・カラックス監督)」
『ホーリー・モーターズ』(2012) レオス・カラックス監督 『ミスター・ロンリー』(2007) ハーモニー・コリン監督 『TOKYO!』(2008) オムニバス映画 『アネット』(2021) レオス・カラックス監督 『ホーリー・モーターズ』の寓話性と疑問点の整理 『ホーリー・モーターズ』は、2012 年(日本では 2013 年)に、レオス・カラックス監督の長編映画としては『ポーラ X』(1999)以来 13 年ぶりに劇場公開された作品です。公開前から、首を長くして、かな
【映画解釈/考察】『幸福なラザロ』/『夏をゆく人々』「イタリア人女性監督アリーチェ・ロルヴァケルと現代社会(狼)と失われつつある世界(羊)の間に漂う映像美」
『幸福なラザロ』 (2018)『夏をゆく人々』 (2014) アリーチェ・ロルヴァケル監督 『幸福なラザロ』は、『夏をゆく人々』のアリーチェ・ロルヴァケル監督の実在の事件をモチーフにした2018年のイタリア映画です。ロルヴァケル監督が、本作でも、脚本を書いており、カンヌ国際映画祭脚本賞を受賞しています。 『幸福なラザロ』でも、姉で、今のイタリアを代表する女優の一人であるアルバ・ロルヴァケルが、出演しています。また、村人を騙して搾取する侯爵夫人役を、『ライフ・イズ・ビ