2021年12月27日
【今日は何の日?】12月2日:ピーターパンの日
1904(明治37)年12月27日、イギリスの劇作家 ジェームス・バリーの童話劇「ピーターパン」がロンドンで初上演されました。原作は、最初は「小さな白い鳥」というタイトルでしたが、加筆修正を経て「ピーターパン」となったそう。イギリスでの公演が大ヒットし、ニューヨークでも上演されるなど、世界中で話題となりました。
さて、今日の一話は?
「アドバルーン」
母が子供の頃実家は看板屋で、一階が作業場、二階が住居になっていた。
建物は大きな寺の敷地に隣接していた。
作業場の壁には小さな子供が這い出せるくらいの穴が開いている。
飼っていた犬や猫がよくいなくなるので、夜中に抜け出して度々捜しに行った。
穴の向こうは墓地だったが、然程怖いとも思わなかった。
その日も猫を捜しに出た。
名前を呼びながらウロウロしていると、ゆらゆらと赤いものが浮いているのが見えた。
何かの宣伝用のアドバルーンだろうか、寺の本堂くらいはあるように思えた。
いや、違う。
よく見れば、目鼻のようなものが付いている。
上部には七三に分かれた頭髪さえあった。
目線をバルーンの下に転じれば、体育座りした男の細い身体があった。
赤く巨大な頭だけがゆらゆら揺れている。
途端に酷い恐怖に襲われた。
後ろも見ずに逃げ帰った。
以来、夜中に抜け出すことはなくなった。
穴を抜けて出ていった犬猫達は、一度も戻ってこなかった。
◆
「アドバルーン」ねこや堂『恐怖箱 百眼』