2021年12月14日
【今日は何の日?】12月14日:忠臣蔵の日
元禄15年12月14日に、赤穂浪士47人が吉良邸に討ち入りをし、主君の仇討ちを果たしたことにちなんで制定された記念日
さて、今日の一話は?
「連行」
竹松さんのお宅は少し急な坂に面している。
深夜、ゴミ出しをしているときに、上から坂を下ってくる気配があった。
そろそろ日付も変わろうという頃。その時間、坂の下から仕事帰りの人が登ってくることはあっても、坂の上から人が降りてくることは滅多にない。
誰かしらとそちらを確認すると、坂を登ったところにある家のご主人が、黒い影のような男二人に両脇を抱えられて、坂道を引きずられながら下っていく。
街灯に照らされたご主人の顔色は真っ青だった。
何か病気でもされているのかしらと思いながら、坂道をとぼとぼと下っていく三人の後ろ姿を見送った。
翌朝、回覧板でその家のご主人の訃報が知らされた。
お通夜に行くと、竹松さんの見たその時間帯に亡くなったということが分かった。
両脇の黒尽くめの二人の姿が印象的で、忘れることができないのだという。
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――「連行」神沼三平太『恐怖箱 百舌』