2021年12月23日
【今日は何の日?】12月23日:テレホンカードの日
携帯電話、スマホの普及でだいぶ数が減ってしまったように感じる公衆電話ですが、NTTの前身にあたる電電公社が東京・数寄屋橋公園にテレホンカード式公衆電話の1号機を設置したのが1982(昭和57)年12月23日。このことにちなんで、NTTが記念日に制定しております。
さて、今日の一話は?
「案内」
ある夜、都内在住の小松さんは自宅を目指して運転していた。
するとカーナビが突然案内を開始した。
案内を開始しますの声に、地図を横目で確認した。目的地は福井県の実家だった。
何か操作でも間違えたかと、目的地を取り消した。
しかし、取り消すたびに実家への案内を始めてしまう。案内の声が気になるので、信号で停まるたびに取り消す。だがその夜、カーナビはずっと福井県の実家に案内し続けた。
自宅に着いた。明日はナビの修理のためにディーラーに持ち込まないといけないかなと憂鬱な気持ちでいると、自宅の電話が鳴った。もう深夜といっていい時間帯である。
胸騒ぎを感じながら受話器を取ると、電話の主は母親であった。狼狽している。
「お兄ちゃん? お兄ちゃん! お父さんがね、今死んじゃったの!」
小松さんは、電話口で母親を落ち着かせながら、先程のカーナビの誤動作のことを考えていた。
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「案内」神沼三平太一『恐怖箱 百眼』