2021年11月７日

１日１話、実話怪談お届け中！

【今日は何の日？】11月7日：湯たんぽの日

立冬を過ぎたこのころ、急に朝晩の寒さが感じられますよね。こんな季節には湯たんぽの温かさが恋しくなります。これから来る冬本番に向け、湯たんぽを用意したいということで、タンゲ化学工業株式会社が立冬の日を湯たんぽの記念日に制定しております。

さて、今日の一話は？

「湯たんぽ」

　濱田さんは口が悪い。
　飼っていた猫が行方不明になって一年経った。
　翌年、猫が一年ぶりに帰ってきた。
「畜生めが。何処で野垂れ死んだかと思ってたら、いきなり帰ってきやがるからね。でも朝になるともう消えちまうんだよ。恩知らずが」
　翌年も猫はやってきた。冬の間、足下だけを温めておいてくれる猫なのだという。
　姿は見えない。触れることもできない。
「あのバカ、俺に隠れて死にやがって。面すら俺に拝ませねぇ」
　濱田さんは続けて、
「今年の冬も来てくれるかなぁ」
　と小さく呟いた。

★

――「湯たんぽ」神沼三平太『恐怖箱　百舌』より

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