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日本の離島12&海外7!季節労働者として島に溶け込み採話した、本当は怖い南国の怪異談「離島の怖い話 南国心霊探訪」(濱幸成)※心霊動画付き!
国内12の島と海外7か国で蒐集した南国の怪奇談49話収録!
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あらすじ・内容
「みだりに動かせば祟る」
文字の解読を試みた調査員二人が怪死。
一部の島民しか知らない祟りの石碑とは…(父島)
国内12島+アジア7ヶ国
季節労働者として島に溶け込み採話した戦慄の南方奇談!
【八丈島】廃ホテルから椅子を盗んだ男を襲う恐怖…「パイプ椅子」
【父島】石碑の調査を試みた者が二人連続で怪死…「祟りの石碑」
【母島】右手の指が六本ある地蔵の曰くと怪現象…「六本指地蔵」
【硫黄島】島から持ち帰った旧日本軍の遺物が起こす怪…「遺品」
【徳之島】車の周りを囲む瘦せこけた霊の群れ…「フィリピン村」
【南大東島】納骨堂に出る生首とマントの怪人…「ピョンピョン」
【台湾】手前に火葬場、上に墓地があるトンネルの怪…「辛亥隧道」
【フィリピン】虫を使った恐怖の呪術…「マンククーラムの呪い」
他、国内12の島と海外7ヶ国で蒐集した南国の怪奇談49話収録!
◎本書に収録された島と国
★国内
伊豆大島/八丈島/父島/母島/硫黄島/種子島/屋久島/徳之島/南大東島/座間味島/宮古島/石垣島
★海外
台湾/香港/フィリピン/カンボジア/ラオス/タイ/インド
著者コメント
2021年に沖縄県の南大東島で季節労働をしたのを皮切りに、小笠原諸島(父島、母島)、小浜島、徳之島、伊豆大島と、2024年12月までに6つの離島で合計22か月間季節労働を行ってきました。
労働者として島に溶け込こんで怪しい話の数々を蒐集しながら、また、旅行者として離島を訪れた際にも出会った人々に取材を敢行し、本書には12島の話を収録することができました。
それらの離島の怖い話に加えて、2016年から始めた海外心霊遠征の際に蒐集した7カ国の怪談も本書には収録されていますので、それぞれの島や国々を想像しながら本書を楽しんで頂けると幸いです。
試し読み1話
フィリピン村 (徳之島)
徳之島の天城町にフィリピン村という場所がある。これは天城町が一九九〇年にフィリピンのネグロス島シライ市と姉妹盟約を結んだことを記念して作られた公園なのだが、長いこと交流実績がないために事実上の提携解消となっている。
その為、現在ではフィリピン村は放置されており廃公園となっているのだ。
公園横には川が流れており、少し上流には大きな橋が架かっているのだが、賭博好きな島民性を持つ徳之島では賭博で多額の借金を抱えてしまう方もおり、どうしようもなくなった場合にはこの橋から飛び降りることがあるという。そして、飛び降りた人の遺体は公園付近に流れ着くと言われており、さらに公園内のトイレの裏側には防空壕があり、その中には人骨があると噂されていることから、フィリピン村には多くの幽霊が出るとまことしやかに語られている。
ある時、岡さんは友人からこんな話を聞かせてもらった。
深夜に肝試しでフィリピン村を訪れ、裏に防空壕があるという公園のトイレ前に車を停めて、一度ライトを消した。
それからしばらく待ち、再びライトを点けると車の周りを骸骨のように瘦せこけた集団に囲まれており、急いで逃げ出したのだという。
この話を聞いた岡さんは、「そんなバカなことがあるか」と、成人式の終わった直後に父親にハイエースを借りて、そこに十人ほどの友人達をギュウギュウに押し込んで深夜二時にフィリピン村を訪れた。
そして、友人から聞いていたトイレの前に車を停めると、突然パチリとヘッドライトの明りを消した。しかし、友人達は人数が多いとはいえ急に漆黒の闇に包まれたことに恐怖を感じたらしい。後部座席からは「早くライトを点けろよ!」と幾つもの怒声が聞こえてくる。
「あぁ、わりぃわりぃ」
岡さんは謝りながらヘッドライトの灯りを点けた。辺りがぱっと明るくなると同時に、岡さんのすぐ目の前のフロントガラスに骸骨のように痩せこけた女がベッタリとくっついており、目が合った。
恐怖で体が硬直しながらも目だけで左右を見ると、正面の女だけでなく、車の周りはすべて骸骨のように痩せこけた集団に囲まれてしまっていた。
彼らは何をするでもなくのっぺりと車の周りで揺れており、その姿はまるで海中を漂うワカメのようだったという。
後部座席からは友人達の狂ったような悲鳴が響いており、岡さん以外にもその姿は見えているようだ。
岡さんは急いでギアをDに入れて車を発進させ、一番近くにあるコンビニエンスストアまで逃げ帰ってきたのだが、車から降りると駐車場内のライトで照らされた車のボディには出発前にはなかった泥が異様なまでにびっしりとこびり付いていた。
友人達はショックで口数が少なくなっており、後部座席で真っ青な顔をして俯いている。岡さんはコンビニへ入り日本酒を買うと、そのまま一瓶全てをハイエースに撒いてから一人ずつ友人達を家へと送り届け、翌日には父親にばれる前にしっかりと洗車して全ての泥を洗い流した。
岡さんは今でも時折フィリピン村に行ったメンバーで酒を飲むことがあるのだが、毎回必ずこの時の話が出るという。
心霊動画を特別公開!
本書収録の1話「パンプキンホール(宮古島)」に出てくる実際の動画である。書籍ではスクリーンショットしか掲載できなかったが、ここに動画を公開する。皆さんにはどう見えるだろうか?
著者紹介
濱幸成 (はま・ゆきなり)
1989年福岡県生まれ。心霊探検家、怪談作家。2024年12月現在、国内1100箇所、アジア11ヵ国で170箇所以上の心霊スポットの探索を行いつつ、世界の怪談蒐集も行っている。また、フィールドワークで蒐集した膨大なエピソードを携え、多くの怪談大会やオカルト番組、トークイベントに出演している。主な著作に『福岡怪談』、『アジアの心霊スポット100選』、『福岡の怖い話』(シリーズ2巻)。 その他参加書籍に『シンスポ 心霊スポット写真集』『実話怪談 怪奇島』、映像作品に『怪奇蒐集者 濱幸成』、『北野誠のぼくらは心霊探偵団 ゴーストハンターに密着せよ!』などがある。
好評既刊
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