2021年11月18日
【今日は何の日?】11月18日:いい家の日
【い(1)い(1)い(1)え(≒エイト8)】の語呂合わせにちなんで、不動産事業などを展開している株式会社アサツーディ・ケイが11月18日に記念日を制定。あなたにとって本当にいい家とは何か?家の在り方についていま一度考えてみる日です。
さて、本日の一話は?
「祖父の家」
明子さんの祖父の家は、主が亡くなった今では空き家となっている。
祖父宅はそこそこ金の掛かった木造建築で、夏場になると明子さんの実家よりもずっと涼しく、過ごしやすい。
そういう訳で、明子さんは気が向いたときにそこで寝泊まりする。
「ま、簡単な話よ」
祖父の家で過ごしている間にガタンと大きな音がしたら、まず音のした応接間に行く。
落ちた掛け軸を拾って、元の場所――壁に刺した釘に掛け軸の紐を掛ける。
掛け軸は日によって、落ちている場所が違う。
部屋の真ん中に落ちていることもあれば、隅に落ちていることもある。しかし、定位置の真下に落ちていたことは一度もない。
明子さんが妹と祖父の家に宿泊したある日、
「お姉ちゃん、昨晩青い人が玄関にいたよ」
と妹が言った。
翌日は、
「お姉ちゃん、廊下に赤い人がいたよ」
とも言った。
三日目の夜、明子さんは廊下の先の部屋で、祖父の姿を見た。
「おじいちゃんがまだ家の中をうろうろして悪戯してるのかもしれないわね。あたしも妹もおじいちゃんのこと好きだったから、怖いとは思わない」
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――「祖父の家」高田公太『恐怖箱 百聞』より