顎関節症の分類(原因別に分類してみると)
顎関節症は、病変の所在部位によって、
①咀嚼筋の障害を示す「筋性(筋肉が原因のもの)」と、
②③④下顎窩、関節円板、下顎頭、関節包など関節に障害のある「関節性(関節が原因のもの)」の二つに大別することができます。
一般社団法人「日本顎関節学会」が2012年にまとめた顎関節症の病態分類最終案によると、
①咀嚼筋痛障害(そしゃくきんつうしょうがい)【Ⅰ型】
②顎関節痛障害(がくかんせつつうしょうがい)【Ⅱ型】
③顎関節円板障害(がくかんせつえんばんしょうがい)【Ⅲ型】
a.復位性(ふくいせい)
b.非復位性(ひふくいせい)
④変形性顎関節症(へんけいせいがくかんせつしょう)【Ⅳ型】
①咀嚼筋痛障害【Ⅰ】
「咀嚼筋痛(そしゃくきんつう)」は、口を開け閉めする運動や食べ物を咬んだり、咬みしめた時に発生する「運動時痛(うんどうじつう)」を指します。安静にしているときに黙っていても痛みを感じる「自発痛(じはつつう)」や、指で押すと痛みを感じる「圧痛(あっつう)」だけではその対象となりません。また、レントゲンなどの画像診断で異常所見を認めないものとなっています。
「咀嚼筋(そしゃくきん)」として対象となる筋肉は“閉口筋(へいこうきん)”に属する「咬筋(こうきん)」と「側頭筋(そくとうきん)」、そして「外側翼突筋(がいそくよくとつきん)」と「内側翼突筋(ないそくよくとつきん)」の四種四対の筋肉です。
さらに開口筋に属する「顎二腹筋(がくにふくきん)」と「胸鎖乳突筋(きょうさにゅうとつきん)」が含まれます(図参照)。
自発痛:何も刺激を加えていないのに感じる痛み
[自発痛の起こる可能性]
炎症性痛において、侵害受容器が「内因性に」刺激される。
神経因性痛などで、求心路の中に、異常興奮した部位があり、異所性興奮 ectopic dischargeが発生している。
---突発する自発痛