【コラム7】「脳」を創造した偉大なる"何か"と ~成功法則・願望実現法 その2~(前半)
コラム『心の旅の協力者』7
「強く心に思い描いたことは現実化する」……
少し前、このような題材で書かれた本や手法がかなり注目され、世界的ベストセラーになるなど、成功法則や願望実現法を学んで来た人に限らず、広く一般的にこの言葉が認識されるようになった。
しかし、そのような「思いは実現する」という手法を実践しようと試みた、数多くの人たちが、
「一生懸命に強く願ってみたけど実現なんてしない」
と挫折していると聞く。
または最初から、「そんなに都合良く思った事が実現なんてする訳ない」と諦めてしまっている人も多いようにも思う。
「思いは実現する」という法則は、手に持ったリンゴを離したら地面に落ちる、という物理の法則に近いぐらい、実はシンプルな仕組みだ。
では、なぜ実現できない人がいるのだろうか。
実はここには “からくり” があって、本当は「思った通り」に実現されているのだが、そのことを正しく認識出来ていないだけなのだ。
頭で「思おう」とする行為は、言い換えれば「そうは思えないから思おうと努力している」という表現もできる。
つまりそれは、もっと深い意識の部分では「思っていない」という証拠でもあり、その深い意識の通り「思っていない」という思いが現実に現れているのだ。
成功法則や願望実現法は、宇宙の法則や心理学、行動科学など、科学的根拠に基づいて体系化したようなものも沢山あって、それらは非常に有効的なものも多く、
実は、物理法則に沿ったものであるならば、本当にそれらを「正しく確実に実行」できれば、ほぼ100%の割合で「目標を達成する」ことが出来るだろうと私は捉えている。
しかし、先ほどの「思いが実現する」という法則と同様、やはりこのような手法を実践しようと試みても、なかなか成功出来ない人が数多くいることも事実だ。
そしてそのような人たちが目標を達成出来ない大半の理由は、本人は正しくやっているつもりでも、結局は「正しく出来ていないことが原因」と言えるだろう。
例えば、アファメーションなども、その意味や正しいやり方をきちんと理解して、正しく継続していかなければ、むしろ逆効果になってしまう事すらある。
「正しく出来ない」から「成功できない」と言ってしまえば非常に単純でその通りなのだが、このコラムを書くにあたって、「なぜ正しく出来なくなってしまうのか」を、もう少し「心」という観点から深く考えてみた。
一度でも、成功法則や願望実現法を使って成功を試みた経験のある人であれば、結果として今、成功を掴んでいようとそうでなかろうと、
成功法則の論理や手法などに出逢ったその瞬間は、「私にも出来そう」「これを実行して成功しよう」とモチベーションが湧き、実践しようと一度は思ったのではなかろうか。
その時の想いの強さや、手法への信頼の度合いなどは、今は論点に置かないでおく。
とにかく多かれ少なかれ、やる気になったからこそ、やろうと思ったことは事実だろう。
そして、やろうと思っただけではなく、実際にやり始めてみたのであれば、人生のある地点に自分なりの「目標」を設定し、それに向けて進もうと何かしらの意識や行動、努力などを行ってみたのではないだろうか。
しかし、だんだんと時間が経つにつれ、そのやる気を阻むような障害が生まれたり、意識が他に向いてしまったり、どうしても出来ない自分が出て来てしまう。
あるいは、人や環境などの外的要因によって、継続を拒むような事象に突き当たったかもしれない。
また、時には目標を達成するため頑に継続を押し進めると、何かを犠牲にしてしまう可能性もあり、そこには精神的(あるいは身体的)な苦痛を伴うこともあるかも知れない。
更には、確かにある程度は自分の目標を達成しても、なぜか満足感や達成感が得られないままの人もいるのではないだろうか。
私自身、能力開発教材の販売会社にいた頃は、まさにこの通りの状況だった。
次々に目標を達成すればするほど、虚しさが増すのだ。
願望実現の一つの例を出して考えてみよう。
例えば、自分の立てた目標が「5年後に起業して金持ちになる」ということだったとする。
そして、5年後に起業するためにイメージトレーニングし、必要な行動計画を立てて、一つ一つ確実に実行する。
起業の目標達成のためなら、どんな事にも犠牲を厭わず、例えば家族との時間を削ったり、睡眠時間や休息時間を割いたりして、目標達成に向けて努力する。
しかし、このように目標達成のために多くの犠牲を払い続けていたとしたならば、それは同時に強烈な苦痛を伴う可能性がある。
家族の中に亀裂が生じる様な現象が出てしまったり、身体的な疲労が重なって病気に侵されるかもしれない。
苦痛を乗り越えてそれでも目標を達成しようと我慢を貫けば、その無理が心にも歪みを生み出し、無意識に自分の顔や性格などに現れ、周囲との人間関係を壊してしまうことすら、あるかもしれない。
通常、このような極限の状態に追い込まれる手前で、苦痛に耐えられなくなるか、大きな障害によって、達成出来ない様な環境に追い込まれることの方が多い。
または、間違ったプラス思考の使い方をしてしまうと、「苦痛」という信号すら麻痺させてしまう危険もある。
果たして、こうやって手に入れた起業という目標達成は、必ずしも本人にとって、幸せと言い切れるだろうか。
確かに、人によっては、それで幸せを手にする人もいる。
しかしそれが、全ての人に当てはまるとは限らない。
これはあまりに当たり前のことだが、多くの人がこの当たり前の視点を見失い、目標を設定する。
また、別の角度から言えば、幸せになることが、「5年後に起業して金持ちになる」ことだ、と自分で設定した瞬間に、「起業してお金を手にするまでは幸せではない」と自分で決めてしまうようなものだ。
本来の私たちは、この瞬間瞬間の「今」が常に「幸せ」そのものであり、そのことに気づいているかどうかだけのことだ。
この「今、ここ」「この瞬間に幸せ」の真理についてはあまりにも奥が深く、話がそれてしまうので、また今度、別の機会にお話しようと思う。
さて、ここから前回のコラム「成功法則・願望実現法 その1」の最後に触れた、「成功法則や願望実現法の落とし穴」について書き記したいと思う。