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【第11話】夢と現実のギャップ

注:この物語は、私の身に起きた「完全実話」ですが、
プライバシーに配慮し、登場人物や企業名等は原則仮名です

(前回より続き)

社会人3年目を迎えた春。

他にやりたい仕事や転職先が見つかって、会社を辞めた訳ではなく、

とにかく会社勤めの毎日から逃げ出し、好きな時に寝て起きて、欲しいものを欲しいだけ買う…

そんな経済的自由、時間的自由を手にしたいという甘い考えだけで辞めてしまった。

ネットワークビジネスの会合に参加し、そこで活躍する人々を見れば、その時だけは「やっぱりこれで成功するんだ」という気分にもなるが、

いざ活動をしようとしても、周囲の風当たりも大きく、そもそも「この仕事がしたい!」と、仕事そのものに情熱を持って始めた訳ではなかったので、ネットワークビジネスの仲間と顔を合わせるのが嫌になり、親切にしてくれた人とも距離を置く様になってしまった。

それでも懲りずに「自力で成功してやる」と、気負いだけは一人前だった。

しかし、現実は厳しい。

当然、すぐに生活の糧を失い、食べるために、学生時代にもお世話になったことがある建設関連の工事現場のバイトで、生計を立てることになった。

事実上、今で言うフリーター生活だ。

しかも、体力勝負の重労働。

確かに、サラリーマン時代のような煩わしさはない。

しかし、保証や固定給もなく、埃まみれ泥まみれの毎日に、

「会社を辞めたのは間違った選択だったかな…」

などと、ふと思う事もあった。

ところが、成功哲学やプラスイメージを徹底的に頭に叩き込んで来たために、そのようなマイナス思考に、固くフタをした。

工事現場に行く時も毎日、成功哲学のテープを聴きまくり、自分に言い聞かせた。

「今は一時的に、生活のためにやっているだけだ。そのうち自由になって大金持ちになってやる」

当時、大学時代のあの失恋の後に、付き合った彼女がいた。

その彼女から、ギリギリの生活を送る私を心配して就職の話を何度もされたが、「必ず将来成功するから」と突っぱねた。

しかし、数ヶ月もそんな生活が続くと、彼女との仲までギクシャクし始めた。

観念に擦り込んだだけのモチベーションは長くは続かない

成功どころか、実際には生活ギリギリの収入。

まして、一向に成功の兆しなど見えて来ない現状に、自分の心も段々と屈し始めた。

不本意だけど、どこかに就職するしかないのか・・・

と徐々に思う様になった。

(次回へ続く)


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