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【第57話】時すでに・・・

注:この物語は、私の身に起きた「完全実話」ですが、
プライバシーに配慮し、登場人物や企業名等は原則仮名です

(前回より続き)

前回の記事では、その後、「未来日記とはかけ離れた現実」が綴られた、と書いたが、厳密には、「未来日記」とかけ離れていたというよりも、私の「願望」とかけ離れた結果、という表現の方が正しいだろう。

集客活動に成功したワークショップが、実際は失敗に終わってしまったのかと言えば、実はワークショップそのものは大成功だった。

ワークショップ参加者の9割以上は私達が集客したお客様であり、会場に用意した広い研修室は、文字通り満員御礼の大盛況だった。

当日、受付を担当してくれたコーチングの提携元の社員からも、東山さんと私は、その集客力を目の当たりにして、一目置かれているような扱いを受けた。

特に、直々に代理店交渉をした社長は、「こいつら、本当にやりやがった!」という、驚きと喜びを隠せない様子だった。

その後、何度か食事にも誘われるなど、提携先の企業として、正直、今後の活動にも期待されていたと思う。

私達がその期待にしっかり応えられれば、このまま、このコーチング会社とも良きパートナーシップを築いていき、経営も順調に行けたかもしれない。

しかし、実際には「時すでに遅し…」で、この頃の私たちは、もうすでに資金的な体力を使い果たしており、この後、それ以上の効果的な広報活動や、営業を行うための資金が底を尽き、このチャンスを生かすことが出来なかった。

先の話はともかくとして、前述の通り、この時に企画したワークショップそのものは、非常に充実感も達成感もあって、充分に成功と言えるものだったであろう。

参加したお客様にも充分に満足をしていただけたのではないかと思う。

準備も抜かり無く、流れもスムーズで、本当に、それこそ「未来日記」の通り、良い雰囲気で終わることが出来たのだ。

では、どの部分が私の「願望」とかけ離れた結果になったのか

それは、我が社にとって一番の肝心の、『コーチ養成プログラム』の申込だった。

ワークショップの参加費は、開催のための経費で消え、ほとんど収益にはならない。

多くの方に「コーチング」というものを知っていただき、興味を持っていただき、また体験していただく、という目的は十分に達成された。

この成果は、コーチングの提携元にとっては、望ましい結果に繋がったことは間違いない。

しかし、我が社にしてみれば赤字こそないが、短期的な採算面だけで考えれば、売上の折半を約束した肝心のプログラムのお申込が入らなければ、危機的な経営状態をすぐに好転させるような収益には繋がらない

当日は、数名からのお申込をいただき、また後日も、確かにお申込は数件あったが、そこから得た利益は、その月末の支払で露と消え、自分達の給料の足しにすら、ほとんどならなかった。

しかし、「未来日記」に書いた私の「願望」通りの結果は得られなかったが、

ワークショップの後に、現実と対比して、よくよく未来日記を検証してみると、実はある程度、「未来日記」に書かれた私の深奥にあった想いが、見事に現れていたことが分かった。

私は未来日記に、このように書いていた。

「終了後には、思った以上のお客さんがその場で申し込まれ・・・」

日記を書いた時には気づかなかったが、じっくりと自分の深い想いに耳を傾けると、

「もしかしたら、誰も申し込まないか…
せいぜい一人くらいはいるだろうか…」

と、心の底で感じていたことに気づいた。

これは意識的にそう思ったのではなく、無意識にそう思っていた自分がいたように、後から感じたのだ。

そういう意味では、ほんの数名でもお申込をいただいたのだから、確かに「思った以上」のお客様が申し込んでくれていたのだ。

ワークショップ終了後の「検証日記」に、私はこんなことを書いていた。

「・・・当たっていると言えば当たっているが、もう少し潜在意識をコントロールすべきだった。

確かに、ほぼ、そのとおりになった、と言えるが、肝心の売り上げ数値は大幅に外れていた。

その原因として考えられる事は、例えば本当の意味で満足するポイントが低かったりする事。

自己イメージの低さなどから来ているんじゃないか・・・」

(次回へ続く)


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