『ファートンいきもの記』【23】
今日の「いきもの」は≪ケガトカゲ≫である。
奴はどこかで強力な敵と戦ったのだろう。奴の後ろ足の一方は指が大きく曲がってしまっていて、もう一方は指がない状態であった。そして、そのケガを温暖なシンガポールで癒そうと思ったようだが、それだけでは回復が期待できないと考え、人間の医学の恩恵にあずかろうと見つかりやすい場所にいたのである。
奴の「とくしゅ(特殊能力)」は「我慢強さ」である。
見つかりやすい場所で人間を待つということは、他の動物に発見され攻撃されてしまうというリスクが高いが、人間に見つけてもらうためには分かりやすい場所で我慢強く待つ必要がある。奴は他の動物に攻撃されるかもしれないという恐怖に耐えながら、人間の救済を待っていた。私は奴を治療できなかったが、長い間待っている奴のことが気になり、一度保護をして、何匹かの昆虫を与えてから、再び奴が待機していた場所に戻すことにした。奴は無事に治療を受けられたであろうか。
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