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アンラーン💣リラーン📚ためらわん♫run33
⭐陥りやすい「学び×遊び」のワナ⭐️
(これまでの虚栄を解きほぐす「unlearn」のため、頭の中を刷新する「relearn」を躊躇なく進めるための記録)
「学び×遊び」について試行錯誤の日々が続いております。先日も高校3年生の世界史のまとめになればと思い、歴史上の人物を用いて「しりとり」をするという仕掛けを用意してみました。駄洒落ですが、タイトルは「世界史りとり」です(結局、日本史の人物も対象としたので、「歴史りとり」が適切でしたね)。
最初に準備時間を設定し、世界史の教科書の中から様々な人物を探す活動をしました。それをワークシートの準備スペースに書き込んでいきます。ア行から多くの人物をリストアップする生徒もいれば、ア行からワ行まで一人ずつ探していく生徒もいましたし、なかなか思いつかなそうな頭文字の行を中心に固めていく生徒もいました。
当初は、生徒たちだけでしりとりをしてもらう予定でしたが、ある生徒が「先生も参加しますよね」と突然。その申し出を断るのは、どんな理由をつけたとしても、「逃げ」だと思われてしまうので、快諾しました。
準備時間が終わり、いよいよスタートです。社会科教師である私は頭の中にある人物を答えますが、生徒たちは調べておいたリストを見ても構わないというルールにしました。そして、自分のターンが来たらただ答えるではなく、それぞれが答えた人物を、自分のワークシートに順々に書き込めるような枠を設けました。
しりとり自体は、和やかな雰囲気で進み、私も何とか人物名が出てこないという事態は起こらず、授業終了時間を迎えました。途中「ト」で始まる人物がなかなか思いつかず、苦し紛れに「徳富蘇峰」を答えましたが、一応、歴史上の人物というルール確認をしてスタートしたのでセーフでした。あとで冷静に考えるとトマス・モアやトマス・アクィナスなどがあったなあと気づくものの、ゲーム中はトーマス・ジェファーソンが「ン」で終わるから駄目だと気づいただけで、他に思い出せなくなり焦ってしまいましたね。
もっとしりとり本番の時間を確保する予定でしたが、実際には準備段階の時間を延長することにしました。教科書巻末の索引を使いながら、ア行からワ行に分けた枠の中に、自分が覚えていた人物や気になった人物の名前を書いていくという準備段階は、単調ですぐに飽きてしまうのではないかと考えていました。しかし、生徒の様子を見ていると、この準備段階に対する集中力は高く、この活動自体が貴重な学びになっていたのです。例えば、ルイで始まる人物がかなり多いことに改めて気づいたり、王様は〇〇世で、最後が『イ』で終わるから、『イ』で始まる人物もたくさん探さないといけないなと気づいたりしていました。それから、ずっと人物だと思っていたけど索引から本文を確認してみると違ったなど、これまでの記憶の答え合わせみたいなものもできていました。
こういったゲーム形式を利用すると、何となく「楽しかった」で終わってしまうことが起こりがちです。当初はゲーム形式の楽しさがあれば何とかなるだろうという思いで、今回の授業を構築していたというのが本音のところです。これは「学び×遊び」のワナであり、安易にゲーム形式を採用するときに陥ってしまう状態です。
しかし教科書を使って、歴史上の人物をリストアップするという活動の中にはしっかりと「学び×遊び」があり、生徒の集中力のおかげで、私はただしりとりをやって終わりという情けないまとめを避けられたわけです。
「『学び×遊び』の仕掛け人」を目指すなどと偉そうなことを言いながら、本質的な部分をないがしろにした小手先の仕掛けで終わってしまうところでした。今回も生徒たちに助けてもらいました。反省の連続でございます。
アメリカの作家・経営者であるジェイ・エイブラハムの言葉に次のようなものがあります。
「小手先のテクニックで一時的にお客様を増やすことができたとしても、それだけではすぐにお客様は離れてしまいます。競合よりもずば抜けて高いレベルでお客様に感謝の気持ちを持つこと、彼らが何を必要としているかを理解することが非常に重要なのです。」
とりあえず「しりとり」という形式を採用すれば、何となく「楽しい」でやり過ごせるし、学びの要素もあるんじゃないか。そんな小手先の考えで、私は「学び×遊び」のワナに陥っていました。それは刹那的な「楽しい」でしかありません。生徒たちの心にしっかりと響き、残るような「楽しい」は一体何であるのか、それを真剣に考えることが、「学び×遊び」の本質に迫る唯一の道と考えねばなりませんね。
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