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アレ何? っていう話し

以前から「アレは一体何だったのか?」と、非常に気になっていることがある。
ここ十年近くも気にしつ続けている為、前にも書いた気がするけれど特に有力な情報が何ら得られなかったので、もう一度記そうと思う。

今から約十年前。晩夏の夕暮れ時である。
その日、それまで辞めたり入ったりを三回ほど繰り返しつつ約十年近く勤めていた働き口を辞めた。
始めは単発派遣バイトの肉体労働だった。

その内現場を任させるようになり、物流システム開発の検証に携わったり、汗と埃にまみれる傍らコールセンターで店舗と業者との折衝に当たったり、ヤの字の運送会社のドライバー達に「荷物まだかよ」と凄まれたり、とにかく色々やった。
パソコンの「パ」の字すら扱えなかった自分が人殺し以外の大半のことを学ばせて頂いていた会社でもある。

「辞めてもまた帰って来るんでしょ~?」とかみんなに言われつつ、その時ばかりは会社の統合によってとても尊敬していた方がゴミ同然に飛ばされたり、ヤッテラレン!とばかりに続々と辞め始めていたので二度と戻るつもりはなかった。

本当に戻らないまま(辞めて良かった……)と思いながら現在に至るものの、後々残っている方々から「裏切者」扱いされた事は一生許さないんだからね!呪われるくらいなら呪ってやる!!貴様ら、死ねええええ!キィエエエエエ!!状態のまま、もう二度と関わることもないだろうなぁとも感じている。

「アレ」に遭遇したのは最終出勤日の事であった。

業務を淡々と終え、事務所に寄って貸与物を返却し、たった一人だけ残存していた人事主任に最後の最後に諸々の状況を謝罪され、苦しくても嫌でも大人でいる事は会社には必要なんだよと軽く愚痴られ、そんなのスターリンに屈した社会主義者の考え方だ!と、辟易としつつ会社を出た直後であった。

送迎バスはとっくに出てしまい、暮れ切った遠くの地平にはまるで自分と関係のない打上花火が見えていた。
辞めたくて辞めたくて会社と時間を掛けて話し合い、それでやっとこさ辞められたはずなのに、あっさりと最後を迎えてひどく虚しい気分に陥っていた。

とぼとぼ歩きながら、会社って何なんだろう。社会って何なんだろう。下らないとも思える「大人」が構成するこの社会で、果たして自分が生きて行く事は不可能なのではないだろうか? 

社会にとっての異物は、寧ろ自分の方なのだろう。とか、そんな余計で一円にもならない逡巡をしながら、横を通るトラックの風に煽られながら国道を背中を丸めて歩いていた。

名前の分からない背の高い雑草をブチブチ抜きながら、気分は完全に塞ぎ込んでいた矢先である。

「ヘイヘイナーイーーッ! エーブバデッエンジョイッ!!」

真っ暗な空から突然、イケイケでノリノリでハイスピードな爆音が聞こえて来たのだ。
えっ? 呆気に取られて頭上を見上げると、異様なヘリコプターが右手の空から飛んで来た。
底部についた丸型ライトが青色、赤色、緑、黄色などなど、とにかく派手にぐるぐる激しく回転し、ローター部にも回転する青色のライトが。

爆音でイケイケの音楽は間違いなくそのド派手なヘリから爆音で流れていて、「えええええ……何アレ……」とドン引き&呆気に取られている間に、左手の空の彼方へと姿を消してしまった。

アレはUFO……ではないが、自衛隊や報道のヘリでもなさそうだし……金持ちの、へりこぷたぁ??
とポカーンとしている内に、先ほどまで塞ぎ込んでいた気持ちが何だか馬鹿馬鹿しく思え、まぁいいやと思い直し、線路や道路に飛び込む事なく無事にお家へ帰る事が出来たのであった。

あの日、塞ぎ込んでいた気分を一瞬にして覆したあのヘリコプターの正体が一体何だったのか、もしもご存知の方、「私、乗ってました!」「ぼく、何なら操縦していましたけど……」「あっしが販売したヘリでゲスなぁ!」「それがしが、オーナーでごんす!!」ってな方がいましたら、そっと教えてくれると嬉しいです。
「へぇ~……」ってくらいなテンションで喜びます。

へりこぷたーの とくちょう

・底部に丸いLEDネオンが付いていて、七色がぐるぐる回ってるよ。
・ローターにも青いライトがついて、いっぱい回転しているよ。
・爆音で流れてたのはパラパラっぽい。EDMだとしたらだいぶテンポ速め。とにかくイケイケだよ。
・機影はいまいち確認し切れなかったけれど、大型ではない。警察や報道のヘリくらいの大きさだよ。
・多分、DJ KOOが乗っていた。多分だよ。

最近底部が四色くらいにゆっくり明滅しながら飛ぶヘリを発見しましたが、例のヘリは明滅ではなく「七色のLEDが激しく回転」でした。
全体的なイメージとしてはドン・キホーテがヘリを販売したら「アレだわ」って感じのヘリでした。

ではでは。

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大枝 岳志
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