UX勉強会/品質とUXピラミッド
顧客と接している企画、営業、サポートに集まっていただき、各フェーズの顧客体験(UX)を良くしていくために勉強会を実施しました。
顧客と接している人がUXの理解を深めることで、それぞれが担当しているフェーズで発生しているUX課題に気づきやすくすることが狙い。そうすることでより自然とUX改善に関する情報が集まりやすくなります。
今回のテーマは「品質とUXの関係性」
1.品質とは
ひとえに品質と言っても実際にはいくつもの種類の品質が存在します。
品質には顧客体験を良くする「利用品質」の他にも、設計や実装が関わる「製造側の品質」、6つの性能が含まれた「製品の品質」が存在します。
※ソフトウェア品質特性(国際規格ISO/IEC 9126)を引用
2.品質と顧客満足度/一元的品質
品質同士の関係性について説明するにあたり、狩野の品質モデルを利用させて頂きました。下から上へは「満足度」を示し、左から右へは「物理的充足状況」を示しています。
グレーの矢印1は、一元的品質(性能品質)です。
製品の物理的な性質の充足度に比例して顧客の満足度が上がったり下がったりする特性。「車の燃費」や「バイキングの品数」などが挙げられます。
充足されないと不満。充足されると嬉しい品質要素
3.品質と顧客満足度/当たり前品質
緑の矢印2は、当たり前品質(基本品質)です。
製品の物理的な性質が満たされていても、顧客にとって当たり前であり心理的な満足度の向上には影響しないが、不十分であると大きな不満を感じるような特性。「車のエンジンがかかる」「車のアクセルを踏めば進む」などが挙げられます。
充足されないと不満。充足されても嬉しいと思わない品質要素
4.品質と顧客満足度/魅力的品質
赤の矢印3は、魅力的品質(基本品質)です。
物理的な性質が多少悪くてもそれほど不満を感じないが、充実させることで顧客の満足度が大きく向上する特性。「電子レンジの完了を音楽で知らせてくれる」「羽の無い扇風機」などが挙げられます。
充足されなくても不満はない。充足されると嬉しい品質要素
5.品質と顧客満足度/無関心品質
文字通り顧客がそのことについて無関心な品質です。顧客のニーズは特になく、あってもなくても問題がない。「買ったばかりの商品に目に見えない傷がついている」「増刷した本は1g重い」などが挙げられます。
充足されてもされなくても、不満でも嬉しくもない品質要素
6.品質と顧客満足度/逆評価品質
充足させれば良いとは限らないという品質。
提供する側が良かれと思ってしていることが、顧客にとって嬉しくない場合がこちらに当てはまります。「お店に入ったらすぐにスタッフが話しかけてくる」「梱包が丁寧すぎて開封するのが手間」などが挙げられます。
充足されることで逆に評価を下げる品質要素
7.品質同士の補完
基本的に特定の品質の代わりを他の品質が補完することはできない。
例えば「魅力的品質」は高いけど「当たり前品質」が満たせていないケース。車を買ったらカーナビを無料で追加できた!けど、アクセルを踏んでも前に進まない。いくら魅力的な部分があっても車である意味がない...となってしまいますよね。
6.品質とUXの関係性
狩野の品質モデルとUXピラミッドを並べると図のような形で表現することができそうです。品質とピラミッドの各段を関連付けると対応すべき優先順位が見えてきます。土台となる「当たり前品質」が満たせてない中で「魅力的品質」に関する施策に注力するのは違うよねと判断ができますね。
学習会を実施して
参加者の声を紹介させて頂きます。
自社製品の品質がどのレベルを満たせているのか、いままでざっくりとイメージしていたものがはっきりとした。
顧客満足度の施策は情報整理が難しかった。改善や改良すべき品質の優先順位を付けやすくなってより説得力のある説明ができそう。
品質についての情報が整理されたことにより、現状の品質の理解や今後目指すあるべき姿へ向けて施策を立てやすくなれたのではないでしょうか。業務システムの場合、機能的で効率よく使えることが大切なのでUXピラミッドの下から4段目までが特に重要になってくると思います。