「化粧前」って何?【舞台用語を覚えよう⑨】
こんにちは。
北村毅(きたむらたけし)です。
舞台用語をほぼ主観(?)で説明していく
【舞台用語を覚えよう】シリーズ
今日のテーマは「化粧前」です。
「化粧前(けしょうまえ)」というのは、メイクアップや身支度を整えるための鏡台で、劇場などにある楽屋での俳優個人のスペースを言います。
「スッピン」のことではありません。笑
『北村くんの化粧前めっちゃ散らかってない?』
というのは、
鏡の前にモノが散乱しているという意味であって、
「北村くんの素の顔面が散らかっている」わけではありません。
たぶん。笑
劇場によっては、鏡台に引き出しがついていたり、頭上に荷物を置いておける棚が付いていたりもしますね。
その与えられたスペースの中で各俳優が、
公演期間中にストレスのないように「自分にとって快適な空間」を創り出すのです。
↑ 写真のピンク色部分が一人分のスペースですね。↑
もちろんこれは、楽屋の規模や出演人数によって異なります。
大人数で大部屋を使用する場合などは劇場の鏡を使えず、
自前の鏡を持参したり、数少ない鏡台を共同で使用する場合もあります。
駆け出しの頃は、
『早く出世して自分の化粧前が欲しい!』
と憧れたモノです。笑
1.「化粧前」という言葉にはもう一つ意味がある
「化粧前」をセッティングするに当たり、
鏡台や楽屋を汚さないように、鏡前の机には「下掛け」と呼ばれる
ランチョンマットのような下敷きを敷き、
帰る際には、化粧道具にホコリが被らないよう「上掛け」と呼ばれるカバーを掛けます。
自分の現役時代の化粧前の写真とかなかったっけな〜
と思って探してみたら…
出たっ!!笑
アマチュア時代のがありました。19歳です。笑
大部屋などでは個々の下掛けを用意せず、鏡の前に新聞紙を敷いてしまう場合もあります。
それにしても汚い化粧前。笑
ちなみに
「化粧前」と同じ意味で「鏡前(かがみまえ)」という言い方をする人もいます。
ベテランの俳優さんの中には「鏡前」という言い方を嫌う人もいるのだとか…
僕個人的には「化粧前」より「鏡前」の方が分かりやすくて好きです。
だって「鏡」の「前」ですもん。ねぇ。笑
話が逸れました。
下掛け・上掛け・ティッシュカバー・座布団カバー etc…
宝塚などでは、鏡台の雰囲気を決定づけるこれらの布製品をひっくるめて
「化粧前」と呼ぶそうです。(←知らなかった。笑)
2.「化粧前」に出る「個性」
贔屓にしてくださっているファンの方から、
この「化粧前」をプレゼントしてもらっている先輩もいましたね。
デザインが全て統一されていて、なんだかとてもお洒落だったのを覚えています。
センスの良いお客様って素晴らしい!笑
僕は、初日祝いに先輩から
「ご自分のお名前入り」の手ぬぐいをよく戴いていたので、それを上掛けにしていました。
下掛けは使わなくなったタオルとかでしたねー。笑
どうせ汚れるし、お洒落なヤツは使いたくないのよねー。
(↑この辺がセンスない。笑)
宝塚出身の人なんかはフリフリがついたヤツとか、すっごい派手なヤツとかを使ってるイメージ。笑
宝塚では入団などのお祝いに「化粧前」をいただくことが割と普通だそうです。
作品ごとに「化粧前」を新調したりもするらしい…すごいなぁ。笑
そう。
で、この「化粧前」
楽屋での必需品なども個々によって様々なので、すごく「個性」が出る。笑
・常に整頓され、掃除の行き届いた「きっちりタイプ」・散らかり放題で、隣の人のスペースにまでモノを置いちゃう「自由人タイプ」・自作の棚まで用意し、快適さを追求する「DIYタイプ」・顔に似合わず(←失礼。笑)小物がいちいちカワイイ「ギャップ萌えタイプ」・ティッシュの箱が1日数mmずつ移動し、 知らない間に隣の人のスペースを狭めている「侵略タイプ」・舞台に関係のないモノばかりが置いてある「趣味満喫タイプ」・何もない人。笑 etc…
本番以上に長い時間を過ごす楽屋、
『化粧前を見れば性格が分かる』
なんて言われるぐらい、ハッキリと個性が出ます。笑
僕は「DIYタイプ」だったなぁ…笑
3.いろんな「化粧前」
先輩や仲間たちがTwitterにご自身の化粧前写真をUPしているので
↓ いくつかご紹介。↓
「君よ生きて」で共演した貴以ちゃん。
「赤毛のアン」でお世話になった梨絵さん。
四季同期のかっきー
「カーテンズ」でお世話になったマルシアさん。
自らSNSに晒してる人はだいたい
「ちゃんとした人」です。笑
本当の闇はSNSには出てこない。笑
むしろ「クセの強い人」を紹介したい…笑
普段、観劇しているだけではなかなか見ることのない「化粧前」
大好きな俳優さんが「どんな化粧前で舞台に臨んでいるのか」を
想像してみるのも面白いかもしれませんね。